映画『陰陽師』 
−あらすじ・キャスト・スタッフ−
あらすじ

---西暦七九四年---
「長岡京」成立から僅か十年しか経たずに「平安京」に遷都を行った年。
それは以降四百年続く「平安時代」の幕開けだった。

まだ闇が闇として残っていた京の都、平安京---
この世とあの世が曖昧に交差し、鬼・怨霊・妖怪たちが人と渾然と存在した時代。
暗黒に世を鎮め、この世との調和をとるものたちがいた・・・。
「陰陽師」と呼ばれる男たちである。

右近衛府中将 源博雅(伊藤英明)は、怨霊にとりつかれた上官の命を救うべく
当時切っての陰陽師・安倍晴明(野村萬斎)のもとを訪れた。
晴明の家を訪れた博雅を出迎えたのは式神の密虫(今井絵理子)。
それが偶然、目の前で蝶に変身してしまう摩訶不思議な世界に最初はとまどいをおぼえたが、
人を食ったようでどこか憎めない晴明に魅力を感じ始めていた。
そして晴明ももた殿上人には珍しく、真っ直ぐな心を持つ博雅に心をひらいて行く。

そのころ内裏では陰陽頭・道尊(真田広之)による奏聞の儀が執り行われていた。
その中で’都の守り人’の出現を予言する。
それは帝の子を宿し臨月を迎えた左大臣・藤原師輔の娘・任子のお腹の子を指していた。

ほどなく任子は男子を出産し、敦平と命名された親王の存在により左大臣・師輔の地位は
揺るぎ無いものになった。収まらないのは既に娘・祐姫に帝の子、広平をもうけさせていた
右大臣・藤原元方(柄元明)である。
孫の将来と自分の地位があっという間にかき消されたのである。

一方で晴明は最近、都のあちらこちらでものの怪が蠢き始めてたことを感じていた。

ある夜、生まれたばかりの敦平の身に異変が起きたことを告げに博雅が屋敷に駆け込んで来た。
晴明はその話を聞くやすぐに、親王に強い”呪”がかけられていることを察知した。

晴明はこの謎と呪を解くために、不思議な過去を持つ女・青音(小泉今日子)を呼び寄せ、博雅、
密虫らとともに帝がいる内裏に向かう。

しかし親王に込められた呪の意味は、これから晴明たちのまえに巻きおこる想像を絶する事件の
前触れにすぎなかった。

長岡京が十年で遷都を強いられた「大いなる謎」と絡み強大な運命が晴明を襲い始めた。
キャスト
役名 役者名
安倍晴明 野村萬斎
源博雅 伊藤英明
密虫 今井絵理子
青音 小泉今日子
瓜の女 宝生舞
中納言 石井愃一
岸部一徳
祐姫(望月の君) 夏川結衣
早良親王 萩原聖人
道尊 真田広之
スタッフ

監督/滝田洋二郎
1955年12月4日富山県生まれ。74年向井寛が主催する獅子プロに入社。
コメディタッチの中にも情感溢れる見事な演出感覚で、多数の成人映画を手掛ける。
85年発表の「コミック雑誌なんかいらない!」がニューヨーク映画祭で絶賛され注目を集める。
以降、「木村家の人々」(88年)を皮きりに日本映画界を代表する演出家の一人として
話題作品を立て続けに発表。
本作品「陰陽師」は、自身初の時代劇作品として更なる才能とジャンルを開拓する。

原作/夢枕獏
1951年1月1日神奈川県生まれ。日本SF作家クラブ会員、日本文芸家協会会員。
77年SF専門誌『奇想天外』に「カエルの死」でデビュー。
81年初めての新書『幻獣変化』を出版。
82年「キマイラ・吼」シリーズ第1作『幻獣少年キマイラ』(表紙&挿絵 天野喜孝)を発表。
以降、「サイコダイバー魔獣狩り」、「闇切り師」、「飢狼伝」、「大帝の剣」、「陰陽師」などの
各シリーズが立て続けにベストセールスを記録。89年に『上弦の月を喰べる獅子』で
第10回日本SF大賞。98年『神々の山嶺』で第11回柴田錬三郎賞を受賞。
01年に岡野玲子によるコミック『陰陽師』が第5回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞。
山岳、冒険、幻想小説などの分野で広範な読者を魅了し続けている。
また歌舞伎俳優・坂東玉三郎のために書下ろした
『三國傳来玄象譚』(台本:93年歌舞伎座で上演)、『楊貴妃』(作詞)など、
小説以外でも多彩な才能を存分に発揮し注目を集めつづけている。

キービジュアル・コンセプトデザイン/天野喜考
1952年静岡県生まれ。
竜の子プロダクションで作品のキャラクター設定を担当した後、
フリーになり、雑誌・絵本等にファンタジー画、装幀画を発表、出版界から注目を浴びる。
83年第14回星雲賞受賞。86年の第17回まで4年連続受賞。
その後、ゲームソフト「ファイナルファンタジー」のビジュアルコンセプト、舞台美術など
創作の場を広げる。95年頃より、パリ、ニューヨークでリトグラフの制作を開始。
97年、99年と二度にわたりニューヨークで大規模な個展を開催。
上野の森美術館をはじめ、国内での個展開催は数知れない。
現在ではNY展にて発表したオリジナル作品“HERO”を、ゲームをはじめ出版や映像など、
様々な展開に向けて製作中。
またニール・ゲイマンとのコラボレーション“The Sandman :The Dream Hunters"は
00年ヒュ―ゴ賞にノミネート、00年アイズナー賞を受賞。
また、画家として00年ドラゴン・コンにおいてドラゴン・コン賞、ジュリー賞をそれぞれ
受賞している。