■はじめに■
●コンセプト:
宇宙レベルでのちょっとした神様のイタズラで、日本列島が十倍の陸地面積(と150%の標高)となった世界。 しかし日本列島と周辺部の変化以外、地球の他の場所は可能な限りそのままとする。
●一目見た印象:
最初に地図を作った上での私自身の第一印象は、「統一国家なんて超無理ゲー」でした。 だから、統一国家にして「俺Tueeeeeー!」な「超日本」や「チート日本」を作る気はあまりありません。 というか、マジで無理です。 ですから、むしろ巨大列島内に多数の国が分立する世界の構築を目指せればと思います。 目標としては、長い視点での「日本文明」「日本文明圏」「日本世界」の構築になるかもしれません。 しかし、お祭り的な要素を完全に棄ててしまうのも味気ないので、「超日本」を目指す道筋についても考察できればとも考えています。 最低でも「日本連合」は目指したいですね。
●コンセプト・テーマ:
日本がもっと広ければ、大きければと、単純に考えたことはないだろうか。 そんな脳内エンドルフィン全開(全壊)な、お花畑的妄想の彼方にある世界を少し覗いてみたい。
今回のテーマは身も蓋もない。 「日本列島の大きさ(面積)が十倍だったら」である。
もはや言うまでもないが、自己肥大的な「中二病」の末期症状でしかなく、上品に表現してもギャグのネタぐらいの意味しかないものだと思う。 だが今回は、あえて少しばかり真面目に追いかけていければと思う。
さて、最初に言ってしまおう。 日本列島が十倍の面積になったからと言って、この世界の現代日本の総人口が12億人住んでいたり、GDPが史実日本の十倍になる可能性はかなり低いだろう。 いや、可能性は多分ゼロに限りなく近い。 それに我々の世界での食料自給率40%、石炭、石油の輸入量が2億トン前後という数字が、同じように十倍になったら悪夢のような数字でしかない。 この数字が十倍になると、世界(地球)がまともに支えられなくなってしまうからだ。 一方では、日本列島が大きく広がるのだから、どれほど都合良く解釈しても気候条件が同じという事もあり得ない。特に南北に広がると、九州南部が亜熱帯や熱帯だったり、北海道がタイガやツンドラになるだろう。 とてもではないが、我々の世界のような気象条件で収まる大きさではなくなってしまうので、避けられない問題だ。
また一方では、広い地域を大和朝廷や各時代の幕府のように、それなりの中央集権の単一国家で統治できるのかという疑問も当然起きるだろう。 アメリカやロシアのような開拓国家ではない筈なので、短期間で文化や文明自体が広がる可能性もかなり低い。 そうなると言語の統一ですら難しい筈だ。 「単一民族」もかなりハードルは高い。 また、何とか統一国家ができたとしても、文化、言語、単位、通貨などを統一するのも非常に手間となるだろう。
だが、仮に十倍の日本が統一されるとしたらいつ頃なのか、どのぐらいの期間続くのか、さらには19世紀程度の時代に列強となれる近代国家を建設できるのか、などの疑問も尽きない。 今回は、まず最初に様々な疑問に対する一例を現実世界の視点から提示してから、話しを進めて行ければと思う。
なお、日本列島の面積を十倍にすると、合計で約378万平方キロメートルになる(※沖縄、北方領土含む。)。 本州だけで約230万平方キロメートルで、グリーンランドより少し大きく世界最大の島になる。 九州だけでも、もとの日本とほぼ同じ面積だ。 しかし日本を大陸にするには、全体を一つの島と想定してもオーストラリア大陸程度が必要と仮定すると、約20倍の面積が必要になる。本州を大陸にするなら、ざっと30倍ぐらい必要だ。30倍までいくと、縦横の長さが10倍になってしまう。 だが一方で、東西もしくは南北に長く広がっているので、地域全体の規模は大陸に匹敵する。 つまり、この世界は「日本大陸」ではないが、「インド亜大陸」は440万平方キロメートルなので、「亜大陸」と言っても問題は少ないだろう。 また、十倍もの大きさにしてしまうと、見た目でも島と言い難いし、地質学的にも大陸と同じ地盤(岩石)で構成されている地域が多くなる筈なので、そう言う点からも島とはいえないかもしれない。
そこで、島と大陸の間という意味で「亜大陸列島」と名付けてみた。 この中途半端さこそが、日本らしいのではないだろうか。