●はじめに

 正直なところ、史実通りの貧乏日本が「八八艦隊」を持てるのかという意見には、私自身否定的な意見の方が強くあります。とはいえ、史実と大きく違う状況での「八八艦隊」というのも、実のところ魅力に欠けるのも事実です。
 そして何より「八八艦隊」が挑戦者たる日本の旗頭となってアメリカ、イギリスに立ち向かうからこそ、彼女たちの魅力は何倍にも輝く筈です。「八八艦隊」は近代社会のチャレンジャーたる日本の旗頭として実に相応しいと言えるでしょう。
 とはいえ、道のりは大変険しいのが現実です。貧乏日本では、彼女たちの姿すら見ることは至難の技と言えます。だからこそ、安易に日本の国力を大きくするべく歴史を大きく変更するという、半ば手段と目的を取り違えたような方法が採られがちになってしまいます。
 そこで今回は、出来る限り歴史を弄らないで「八八艦隊」を実現するべく、歴史の変更は最低限としたいと思います。
 まずは海軍が陸軍よりいっそう強い発言権と政治力を持たせるターニングポイントですが、今回は「グレート・ウォー」に起こしたいと思います。消耗が少ないと思われる海軍だけを大量に派兵し、ユトランド沖海戦などで大活躍してしまった、などと想定するれば架空戦記的には「アリ」でしょう。
 そして「八八艦隊」を予算面で作るボーナスとして、海軍の積極参戦による大戦中での日本への発注増額を置きます。これで日本の外貨が一時的であれ少し増えるし、「八八艦隊」をなるべく早く作るための工業力も少しは大きくなるかもしれません。ドイツから何か分捕れれば、申し分ないでしょう。そしてさらに、日本の無駄遣いを減らす為に「シベリア出兵」が早期収拾したと改変します。
 なお当然ですが、「ワシントン海軍軍縮会議」は決裂します。
 大きくは以上の変化をもって、「八八艦隊」の行く末を見ていきたいと思います。

 ちなみに、「IJN88」という表題は、アメリカ海軍からの視点で書いてみたいと思ったので名付けました。言うまでもありませんが、「インペリアル・ジャパニーズ・ネイビー(の)八八(艦隊)」という意味合いです。表題も、最初は「帝国海軍・八八艦隊」か「IJN-88Fleet」にしようかとも思っていました。
 ですが、予告を出してすぐに、「アイ・ジェイ・エヌ・エイティーエイト」って、やっぱり「総選挙」で人気を競い合ったり、請け負い企業が改装工事の順番決めたりするんですか、と笑われてしまいました。この言葉を聞いた時、「はい?」と思わず漫画的な受け答えをしてしまうほど私にとっては意外だったのですが、まあ「時代」ということなのでしょう(苦笑)
 表題は「FLT48(四八艦隊)」とかにした方が良かったのかもしれません。取りあえず、なんかしゃくだったので、戦艦のヴァリエーションは増やしてみる事にしました(笑)

 それでは今回も虚構の世界に参りましょう。