■あとがきのようなもの
この度も、おつき合いいただきありがとうございました。 さて今回は如何だったでしょうか。いつもの事ながら、非難囂々のシュプレヒコールが聞こえるのは私の空耳でしょうか(笑) こんなに都合良くいくわけない。都合の良い面だけ取り上げすぎている。欧州列強はこんなに甘くない。こんなの日本人の動きじゃない。などなどなど、色々な言葉があることと思います。 でもまあ、やるからには派手な方がいいでしょう。 そう開き直って、今回は進めてみました。 途中からは戦争ばかりだし、いい感じに厨二病チックになったのではないかと思います。 また、当サイトの「太陽帝国」といくつか状況が被ってしまいましたが、これは単に私自身が当時の日本発展の最短ルートと一つだと思っている道を被らせたからに過ぎません。それに進出順路や進出場所が似ているのは、地理的な要素が強いので、こればかりは変えようがないと思います。それでも、もう少し変えようがあったのかもしれませんね。
さて今回の目的は、永遠の地平線を目指して、とにかくどこまで日本人のテリトリー広がるかという点に尽きます。だから一度も拡大と歩みを止めませんでした。倒れるときも、常に前のめりです。 ただし、大航海時代と植民地帝国主義時代の中で海洋植民地国家建設には邁進してもらいましたが、日本列島自身が20世紀の近代覇権国家になるかどうかまでは考えていません。国民国家を作ってはみましたが、作ったという以上のものでもありませんでした。 信長様が作った疑似封建帝国が、国民国家や議会制民主主義に至るのは時代が求めるからであり、別にそれ以上の理由はありませんでした。織田皇帝家による直接統治なんて、近代化を目指すならば選択肢としてあり得ません。もし20世紀になっても皇帝の直接統治なんてもんがあったら、中華国家並に衰退一直線でしょう。また、日本列島を中心とする国以外に、天皇という政治システムは必要のないものです。せいぜいが、英連邦のような形を取る程度に落ち着く筈です。 日本のテリトリーが地域ごとにバラバラになるのも、ガバメント(統治)という点から見れば自明の理だからです。それに普通に考えれば、世界中に広がる巨大帝国が一カ所からの統治で簡単に維持できる道理がありません。膨張限界に達した瞬間に、次は手放す段階にどうしても入ってしまいます。 蓬莱が独立に至るのも、文明の進歩と時代を考えれば当然過ぎる結果に過ぎません。史実との大きな違いは、そこに誰が立っているか、という程度のものでしょう。 一方では、とにかく日本が広がるためだけに、地球上での大人口地帯である中華中央部とインドには極力手を付けさせないようにしました。多数の人間の統治には、とにかく労力がかかります。また今回は、日本人が広がるのではなく、日本語と日本の文明圏、文化圏がどこまで広がるかが目的だったかもしれません。そういう点では、比較的人口が希薄なアフリカにあまり手を付けなかったのは失敗だったかもしれません。 また、この世界の日系国家には、日本人以外も沢山住んでいます。蓬莱の主要構成民族は、日系を過半数以上かつ中心にしつつも、日本語を話す中華系、先住民系、白人系など様々です。日中以外のアジア系は、歴史的経緯から日本の勢力圏以外ではあまり広がっていません。それに東南アジアの多くは、20世紀入るまで人口自体が少ないですから、人口拡大及び拡散要素が低いでしょう。むしろ日本人が人口希薄な東南アジアに開拓移民して、人種構成を一部で塗り替えている可能性の方が高いでしょう。 また蓬莱内の黒人は、蓬莱が奴隷を受け入れない国土なので、新大陸に住む人は史実に比べると少ないでしょう。他にも、イギリス系(アングロ系)が少ないのはもちろん、欧州系の移民もかなり少なくなります。また新大陸にあまり白人を向かわせないために、ドイツを早期に固めてみました。移民圧力の低いフランスの大陸利権を残させたのも、白人移民を増やさないためです。イタリア系、東欧系移民は、南米で多く発生しているでしょう。ブラジル、アルゼンチンなどでの人口拡大は、史実より早く起こっている筈です。東欧系移民は、北ユーラシア連合(大蝦夷)にも来ている筈です。 そしてヨーロッパ全般が、19世紀後半から20世紀初頭にかけて(南北戦争から第一次世界大戦頃)、史実では北米と豪州から得ていた食料があまり来なくなるので、自動的に人口増加が鈍化します。丼勘定では、イギリス、アイルランドで10%近く、ヨーロッパ全体で5%の人口が増えなくなります。つまり史実の20世紀初頭で約3億人いた白人のうち(ロシア除く)、この世界では1500万人〜2000万人(恐らく1700万人ぐらい)が生まれてこない事になります。これはウィーン会議から以後百年間にヨーロッパから移民した白人の約3割に匹敵します。史実で南北戦争から第一次世界大戦までにアメリカに移民したのが約2600万人ですので、世界の食糧の流れを考えると、この過半数以上が存在していない計算になります。逆にヨーロッパでは近代化に伴う人口増加と食料不足によって、飢饉への恐怖が移民を促す可能性もあります。 加えてアメリカやオーストラリアが食い物を外に出さずに自分たちだけで食べてしまうので、19世紀半ば以降爆発的に増えた世界中の人口も抑制される筈です。 一方シベリア方面に関しては、調べるとウラル山脈より東側って、ほとんどずっと半ば超人口過疎地帯なので、東から逆に突進させればどうとでもなるんじゃないか、なんて思いました。ロシア人がウラルより向こうに広がるのは、かなり時代が進んでからで、実質的にはシベリア鉄道を引くぐらいからです。20世紀が始まった辺りでも、ウラル山脈より東には白人(ロシア人)は多く見積もっても500万人ぐらいしかいません。(※それ以前では、統計数字を探すこと自体がかなり難しいです。) まあ、あんなに寒かったり乾燥したりする地域に日本人がゾロゾロ出向くのかと言えば、かなり疑問もありますが。 とにかく今回は、人口希薄地帯に対して日本人に花見の席取りを先んじて行わせるのが目的みたいなものだったので、その点から温かい目で見ていただけたらと思います。 人口に関しては一応表にしてみたので、ご参考ください。
・日本人(日系人)人口 (1901年統計)
※世界総人口 約16億人。 ※日本本土には、小琉球(台湾)、北蝦夷(樺太)を含む。 ※日系人の目安は、血統的に日本民族の血を50%以上有している場合。 ※50%以下25%以上を含めると大幅に増加するし、アジア系との混血は外見上の見分けが困難であるため割愛。 ※蓬莱の総人口の約80%が有色人種で、日本人以外は先住民、中華系が中心となる。アングロサクソン系の比率は、総人口の10%に満たない。この頃の白人は、アングロ系、ドイツ系、アイリッシュ系が殆どとなる。 ※欧州全体の総人口は4億人弱程度(ヨーロッパ全体の人口増加が若干抑制され、ロシアが史実よりも既にしぼんでいるため。トルコ除く)。
※ちなみに、史実世界のこの時期の日本人人口は約4500万人ほどでしかない。つまり日本人(日系人)は、約5倍に膨れあがっている事になる。
なお、この先の世界ですが、具体的には何も考えていません。超巨大な『日本連合』や『環太平洋連合』が出現するのか、広がりすぎたツケで欧州列強に反撃されて滅ぼされるのか、単にグダグダで過ごすのか、内輪もめばかりで世界の半分を舞台にした第二次戦国時代でもしているのか、それは皆様それぞれが気軽に思いをはせて頂ければと思います。 それに19世紀後半ぐらいからは、ヨーロッパ全体が日本圏全体を自らの繁栄と存続に対する脅威と認識する可能性が高いので、場合によってはオール・ヨーロッパvsオール・ニッポンの大戦争という可能性も十分以上あるでしょう。そしてヨーロピアンとニッポニーズの大戦争の舞台となるであろうアジア、アフリカ、ロシアは、容赦のない戦争でとんでもなく荒廃するんじゃないでしょうかね。 でもまあ、異星人が攻めてくるか巨大隕石でも落ちてこないい限り、20世紀の勝者は蓬莱連合で確定なんですけどね。全面核戦争のMAD(相互確証破壊)ですら生き残りそうです。ロシアとチャイナの植民地地域全部も事前に抱えたようなもんだから、力技で事実上の「地球統一(世界征服なんて野蛮な言葉を使ってはいけません(笑))」すら可能でしょうね。蓬莱と北亜で、中華を無茶苦茶に踏みつぶしたり、欧州をサンドイッチにすら出来るはずです。欧州も余程の事がない限り、簡単には一つにならないでしょうしね(日本連合との戦争でボロ負けぶっこくとか)。史実と同じように、内輪で大戦争という可能性も十分ありますし。 蓬莱側に問題があるとすれば、20世紀が幕を開けた時点で史実アメリカ以上に外に膨張する気を国民が持っていないという事でしょうか。まあ、国家としては経済の拡大のために外に出ていくので、時期の差こそあれ史実のアメリカの近似値になるでしょう。 そして一番恐ろしい時期は、1930年代から1950年代にかけて。日系国家全体で世界人口の4分の1以上に達するし、チャイナとインドを除外したら世界の半分の人口を抱えている計算になります。国力そのものも、欧州列強同士がぶつかる世界大戦などなくても世界の半分に達するでしょう。 日本列島もドエライペットを育ててしまったもんです。捨てたくなるのも当然ですね(笑)
それでは、また別の並行世界で会いましょう。
文責:扶桑かつみ