■あとがきのようなもの

 最初に提示したように、ディーゼル戦艦大和はほとんど活躍できませんでした。最後の登場も、かなり無理矢理とならざるを得ませんでした。でも空重量にして喫水を何とかクリアすれば、数字の上では当時のスエズ運河でも何とか越えられる筈です。
 とはえい全体の内容そのものは、外交が少し違った場合の第二次世界大戦、アメリカの不参戦、枢軸の勝利が基本テーマであり、その点はぶれなかったかと思います。
 ですが、アメリカやソ連ほどの国力がないと、総力戦フルパワー状態の列強を完全に屈服させるのって、他の国ではほぼ不可能なんですよね。その点は演出でもなんでもない筈です。また、スターリンとヒトラーが相容れない以上、そして暗殺事件が起きない以上、枢軸諸国によるソ連の滅亡については、こんなもんだと思います。

 戦後については、多少「ダーク・エンド」のような形にしてみました。しかし、こうした想定でよく見かける、日本が都合良くドイツを見限ってアングロ同盟にすり寄るという可能性は、ほとんど無いと思います。しかもこの世界は、1920年代から日独関係が良好なので尚更でしょう。
 ただ実際の所、こんな混沌としたままの終戦だと、私たちの世界の第二次世界大戦後のような色分けされた状況になる可能性は低いでしょうね。とは言え、戦後世界での二大陣営による対立は米ソ冷戦へのオマージュであり、全体主義の陣営が片方を占めるので可能性としてはそれなりに高いんじゃないかと思います。
 なお戦争展開そのものは、皆様了解されてる通り日本を多少頭よく動かしているので、本来の想定をシュミレーションしたら、日本がもっと不利になっている筈です。戦に勝って勝負に負けた、みたいなオチなんじゃないでしょうか。
 とはいえ、多少日本が不利な戦争をしたところで、血を流さなかったアメリカが戦後世界の覇権を握ることもないでしょう。アメリカの国民感情も随分違っている筈です。ドイツ(+ヨーロッパ)についても同様に、メンタル面が大きく違うだけでなく、物理的にも世界の覇権は握れないでしょう。
 またアメリカは、参戦なしで産業界がフル稼働しなかったので、私たちのような経済的覇権を得ることはまず無理でしょう。1920年代に作くった巨大な工業力は、1950年代に使われないまま朽ち果てて行くことになります。第二次世界大戦による生産力の膨張と拡大もありません。となれば、世界規模での大量生産大量消費社会の進展も大きく遅れる事でしょう。当然ですが、アメリカの国際的地位も低いままでしょう。ドイツも、ナチス自身の政策が延々と自らの首を絞め続ける筈です。そうした世界なので、実のところ中華民国の高度経済成長もかなり怪しいです。
 場合によっては、どっかで核兵器を用いる大規模な戦争が起きるんじゃないでしょうかね。
 とはいえ、1950年代前半までにもう一度大戦争が起きれば、最終的にはアメリカの一人勝ちの世界が現出ですけど……。

 それでは、また別の平行世界で合いましょう