●あとがきのようなもの

 あーっ、しんどかった。

 ではなくて、本当に長らくおつき合いいただきありがとうございました。
 今回は異常なほどの長編で、いつものように「あとがきのようなもの」を書き始めたらキリがないので、出来る限りサラッと終わりたいと思います。

 ちなみに本作は、構想から執筆終了まで足掛け約11年。文字総数約185万字、原稿用紙換算で約5000枚という、私にとって最大級の作品となってしまいました。私個人としては空前絶後です。
 まあ、ぶっちゃけ、こんなに長い話しは二度と書きたくないですけどね(苦笑)

 また、構想当初とは現実世界での世界情勢がかなり変わってしまったので、それに影響されて実質的にオチが付けられませんでした。

 さて皆様、今回は如何だったでしょうか?
 私個人としては、当初はごく軽い気持ちで「史実と違う点」をすくい上げつつ、日露戦争後から現代に至るまで追いかけていこうと始めた作品なのですが、「史実と違う点」が曲者でした。
 その事は、第二次世界大戦を書き始めてしばらくするまで気付かず、気付いた時にはもう手遅れでした。そして気付いた時点で風呂敷を小さくすれば良いのに、この際だからと開き直って出来る限り重箱の隅をつついてやろうと筆を加速させることにしました。ですが、これがさらに失敗というか、長編化を促す事になりました。
 さらに言えば、全体として蛇足が多くなったと思います。

 一方で、書きたいことを出来る限り詰め込むことが出来たので、私自身は十分満足できました。中でも、今まで一番書きたかったことを思う存分書けたので、本作を書いて良かったと思っています。
 書きたかった事というのは、お分かりかもしれませんが英本土奪還作戦と一連の大規模な洋上戦闘です。
 プロ・アマチュア、市販小説、ネット小説を問わず、第二次世界大戦もしくはそれに類する戦争で、私は今まで「大西洋側からの、まともな英本土上陸もしくは奪回作戦」を見た事が無かったので、これを書くのが長年の悲願の一つでした。
 最低でも、上陸作戦だけでも書きたいと思い続けていました。
 そしていざ書くに当たり、どうやったら一度は逃げ出した英本土に実力で戻って来られるか。その場合の互いの戦力差、情勢、時代などなどを踏まえて、随分昔から色々考えた末の集大成と呼べるものが書けた事は、私の時間犯罪、架空戦記の執筆上での一つの区切りが付けられたと思っています。
 逆に言うと、今まで溜めていアイデアなど殆ど詰め込んだ作品になったとも言えますので、執筆が止まっているものを含め、別作品をこれ以上書く理由もかなり薄れてしまいました。

 なお、この世界の第二次世界大戦の基本コンセプトは、騎士物語やRPGのテンプレ展開です。
 「悪辣な魔王(ドイツ)に国を追われた流浪の王子(自由英)が、仲間達(日米+ソ満)の助けを得て国へと帰還し、そして魔王を倒す」といった感じですね。
 そして実質主人公の日米は、戦争序盤は自分たちの本国で弱い敵と戦い、徐々に強い敵と戦って敵本拠地を目指すという構図になっていました。呉越同舟で味方になる赤い悪魔は、最初から最後までハードモードプレイになりますけど(笑)
 それと第二次世界大戦での満州(軍)は、当初予定は道化役だったのですが、気が付いたらトリックスターな雰囲気になってしまいました。

 それではまた別の平行世界で逢いましょう。


 文責:扶桑かつみ

 追伸:
 本コンテンツの脱稿は2019年内でした(※推敲は別です。)。このため2020年初からの新型肺炎に関する事には一切触れませんでした。
 とはいえ、本世界は中華地域が経済的に隆盛していないので、色々な条件を考えると未曾有のパンデミックは起きてない可能性がかなり高いでしょう。
 チャイニーズ自体が史実の7割な上に、訪れる人も少なければ海外にも出ていきませんからね。