■近代から現代にかけての流れ

 ※箇条書きに追いかけていきますが、我々の世界と2世紀ずれていると考えてみると分かりやすいと思います。

・21世紀前半

・21世紀前半の重工業について

 北東アジア各地で、初期の産業革命が進展。
 華南、日本が、四半世紀近く他の地域を先取り。少し遅れて後元が追随。
 華南は自らの国土内に一通りの資源(石炭、鉄鉱石、銅鉱石、綿花)があるが、日本は鉄鉱石、綿花が不足するため海外進出を加速。このため、規模はともかく進行速度では日本が徐々に有利となっていく。
 日本による大東合邦国以外の新大陸経営が大きく進展。特に、良質の石炭と鉄鉱石が大量に採掘しやすい豪州大陸での開発が急速に進展。

・21世紀後半の重工業について

 後元は、大陸横断鉄道の敷設などでユーラシア開発が進み始めると爆発的な重工業の拡大が進み、第二次産業革命の先駆けとなる。後元の後ろは、華南と大東合邦国が追いかける。日本は新大陸経営と海洋支配を進めるも、重工業の規模の面ではやや遅れていく。大量に蓄積した資産を用い、いち早く金融国家に舵を切る。
 21世紀中頃に、イスラム世界、ヨーロッパ世界に産業革命の波及が始まる。しかしそれは、北東アジア諸国の進出と侵略を伴ったものとなる。
 21世紀後半の半ばを過ぎた頃から、ようやくヨーロッパの先進地域での産業革命が始まる。新教地域のイングランド、スウェーデン、ブルゴーニュが先駆けとなる。トルコの圧迫を受ける中欧、地中海地域、ロシアは様々な面で産業革命は本格的に出来ず。

・21世紀の世界情勢

 日本は大東以外の新大陸各地の経営を、華南はインド進出を、後元はユーラシア大陸西進を大幅に強化。
 後元はウラル山脈を越えてボルガ川流域に進出し、ロシアとの間に戦争が頻発。「元露戦争」では、工業化を成し遂げた後元の圧倒的優位となる。サハ鉄道(=大陸横断鉄道)が完成した21世紀後半からは、国力的にも後元の圧倒的情勢となる。
 21世紀中頃からの北東アジア諸国の間では、アフリカ進出競争が徐々に熱を帯び始めるが、まずは協力してヨーロッパ勢力の排除に動く。既に南アフリカを有する華南が圧倒的優位で状況を進める。
 華南は、近代型植民地帝国として、環インド洋帝国の建設へと傾いていく。

 ケマル朝トルコは、イスラム世界の様々な文物の近代化を強力に推進し、産業革命も始める。そして産業革命に必要な資源獲得の為、黒海を挟んで対岸に位置するウクライナ進出を強化。ロシアとの衝突や紛争が増える。そして反ロシアと言うことで、後元との同盟関係を締結。
 東と南の二方向から強い圧迫を受けたロシアは、その後急速に縮小。今まで西と北から圧迫していたスウェーデンも、21世紀中頃からはむしろロシアを支援するようになる。
 何度も「ロシア戦争」が起きるが、基本的にロシア(+ヨーロッパ世界)とトルコ、後元による戦争となり、ロシアは領土を次々に奪われ分割されていく。このため21世紀中にロシアは事実上滅亡。21世紀末には、後元はスウェーデン、ポーランドと国境を接するようになる。
 またケマル朝トルコは、「大トルコ」復活を掲げて21世紀中頃からバルカン半島への進出を強化。

 21世紀中頃、華南・大東同盟と日本との間に大規模な戦争(※「大東洋戦争」)。日本は辛うじて勝利するが、莫大な戦費回収の為に植民地に強い負担を強いる事となり、その対価として各地の自治強化を認める。
 21世紀末には、南大東、中大東、南洋の各地が事実上の独立を達成。日本は一度衰退し、巨大な「日本連邦」の形成を始める。
 日本から独立した大東合邦国は、21世紀半ばには総人口が1億人を越え、21世紀末には2億人を突破。自力での産業革命もあり、列強として急速に頭角を現す。21世紀半頃から海外進出を行うようになり、まずはカリブ海の覇権を求めて日本と衝突。日本との戦争に勝利してこの地域での覇権を手に入れ、その後北大西洋の海上覇権を手に入れ、アフリカ進出を強めるようになる。

 ヨーロッパ世界では、アジアの進出に対向するため強力な民族国家の形成が進む。急先鋒はドイツで、遂にドイツはほぼ民族的な統合と統一国家を作り上げる。ブリテン島でも、イングランドとスコットランドの合併が行われる。北欧では、立憲君主制のスカンディナビア連合王国が成立。しかしこの頃までに、ヨーロッパはほぼ全ての海外植民地を喪失。植民地商業帝国を作り上げたブルゴーニュも衰退し、ヨーロッパの大国として以上の地位は維持できなくなる。
 そして民族国家を作った程度では、巨大すぎるアジアの列強に対向できないため、ヨーロッパ全体での軍事同盟や経済協力、さらには「連邦化」に向けての動きが出てくるようになる。

 21世紀末、アジア世界による世界分割がほぼ完了。帝国主義が全盛期を迎える。
 後元帝国は、中華地域北部全域、中央アジア、サハ全域、ロシアを飲み込み、領土面積では世界最大の国家となる。
 華南帝国は環インド洋帝国を建設。インドを征服し、アフリカ大陸東岸、南部をほぼ牛耳る。しかし、21世紀半ばの戦争による敗北と後遺症で混乱期に入り、権民革命が発生。皇帝が廃位され、華南共和国となる。
 日本は、直接的な領土は多くを失うが、東南アジア、大東洋の覇権は何とか維持。大東合邦国は21世紀半ば以後膨張傾向が続き、大西洋を越えてアフリカ西岸、さらには北部への進出を強めつつ、ついにヨーロッパ世界に手を付ける。進出と戦争の結果、ポルトガルを併合し、イスパニアを属国化。さらにジブラルタル海峡も両岸を押さえてしまい地中海にも入り込み、ヨーロッパ世界と激しく対立する国家となる。
 しかしヨーロッパ世界は、同盟や協商などで一致団結してアジア世界と対向する事を選ばず(選べず)、民族国家となったことでそれぞれの対立が先鋭化して、ヨーロッパ世界での争いを優先。一方のアジア世界も、利害一致以外で連携は取らず。

・22世紀前半

・世界規模での近代化が進展。以後は映像による記録が取られるようになる。

・後元とトルコは、ロシアを征服した後は欧州進出を巡って徐々に協力から対立に移る。
・大東合邦国は、イスパニアを巡りフランスなどと対立。
・ドイツと後元が旧ポーランドを巡り対立。
・「独華同盟」。ドイツは華南と同盟。トルコ、大東、日本もドイツ寄り。華南とトルコ、日本は、ドイツが後元の膨張を抑えることを期待。大東はドイツが強大化すれば、フランス、ブルゴーニュの抑えになると期待。
・「独元戦争」。ドイツは事実上の祖国防衛戦争に勝利し、父祖の地と言える東プロイセンを完全奪回。ポーランドの支配権も得る。近代化も合わさって、列強の末席にのし上がる。
・ブリテンは伝統の反フランス政策から大東、日本に接近。
・ヨーロッパでは、ブリテン、ブルゴーニュ、ドイツによる協商関係成立。
・脅威を覚えたラテン諸国は華南に接近。
・「欧州は世界の火薬庫」とアジア世界で呼ばれる。

・「ベルファスト事件」。北アイルランド独立派によるブリテン王族の暗殺事件発生。
・ブリテン、動員の開始とアイルランドへ宣戦布告。続いてフランスが、カトリック教国救援を名目にブリテンに宣戦布告。以後連鎖的にヨーロッパ列強の動員開始と宣戦布告が続く。
・ドイツの動員に後元が待った。しかしトルコも動員開始し、これに連動して後元も動員を開始。当初はウラル以西での動員に止めるつもりだったが、華南の過剰反応により全国規模に。そして華南でも動員開始。
・「世界大戦」勃発。
・日本(人)勢力圏は当初は中立。

 

・「世界大戦」

・「同盟」は後元、フランス、イタリア諸国、「連合」は華南、トルコ、ドイツ、ブリテン。欧州列強では、ブルゴーニュ、スウェーデンが中立。
・主戦場はヨーロッパと中華中原の二カ所。後元とそれ以外の戦いが主となる。ブリテンはフランスとアイルランドを巡る攻防を続けるが、規模は限られる。
・後元は、本国近辺では華南と全力で戦い、欧州ではドイツ、トルコの猛攻とロシアのゲリラに悩まされる。
・しかし華南に対する侵攻では大きな成果を収め、揚子江流域まで占領。だがその後は日本の連合側での参戦と、華南に対する大規模な援軍、さらに大東の参戦に伴う華南への大軍投入で侵攻が完全に押しとどめられる。
・大東が戦争後半に連合側で参戦。後元の華南封鎖のための無制限通商破壊戦が原因とされる。
・後元は八方ふさがりとなり戦争経済も行き詰まる。
・アジアでもヨーロッパでも勝利が得られず、徐々に敗北しつつあるため、国民の厭戦感情が増大。平行して、属領などの少数民族の反発が強まる。
・後元でクーデター。皇帝は紫禁城から逃亡。シャムに亡命。
・後元帝国の崩壊(自壊)と分裂。

・後元に新たに成立した蒙古臨時政府は連合と停戦。
・戦争は後元の敗北。フランスなどは早期に戦争を投げ出す。
・講和会議で蒙古臨時政府は承認されるが、もと後元領の大幅な割譲とロシアの復活と中央アジアなどの独立。
・講和会議閉会後、もと蒙古臨時政府で再び革命。臨時政府が倒され、より急進的な共産主義政権が成立。
・「蒙古社会主義共和国連邦」成立。(→蒙古連邦)
・革命のため賠償などは取れなくなり、干渉戦争も失敗。蒙古連邦は、幾らかの領土を実力で奪い返す。
・蒙古革命では、華南共和国が最も大きな経済的打撃を受ける。
・革命戦争の最中、もともと後元の属国状態の朝鮮も連鎖して赤化。

・戦後、中華中原の荒廃に伴う華南の衰退と経済的困窮。
・華南、戦後復興と経済再建のため、インド、アフリカ植民地からの過剰な搾取。このため、植民地地域で大規模な暴動や独立運動に発展。かえって国力を消耗。
・華南、経済復興の失敗に伴う赤化運動の後に、その反動で急速に全体主義化。全てを体現したような独裁者が出現。
・華南、「大中華帝国」の復活を掲げる。国号も「大中華帝国」とする。蒙古連邦が激しく反発。
・日系新世界、経済面を中心にして大幅な躍進。
・戦争特需により、大南や南大東大陸諸国も大きく発展。
・ヨーロッパでは、同じく戦争特需の恩恵を利用したブリテンの躍進と膨張。
・ドイツ、トルコは後元と激しい陸戦を続けたため、ブリテンと違って国力が大きく疲弊。

・ブリテンと華南が対共産主義で同盟。その後、ロシア、トルコなども参加。
・「枢軸」という国家集団を作り上げる。
・戦後フランスは混乱状態。
・フランスは遅れた農業国のままだった事もあり戦後は色々な面で国威低下。内乱が起きて、ブリテンと大東、ブルゴーニュによる進出合戦の場となる。近隣のブリテンが、状況を優位に進める。
・フランス進出問題で、ブリテンと大東の対立深まる。
・ブルゴーニュの混乱を発端とした「フランス紛争」。
・ブリテンは、フランス北部一帯を占領するが、フランスはマルセイユに臨時首都を置いて徹底抗戦。ブリテンに反抗的な国がフランスを援助。特に大東が支援を強める。このため、もともと反仏親英のブルゴーニュ、ドイツはブリテン寄り。
・ブリテンと華南が協商関係を締結。
・政治主義の違う蒙古連邦と華南共和国の対立が徐々に加熱。
・蒙古では革命の拡大を、華南では「大中華帝国」の復活を約束
・「蒙華不可侵条約」中華世界の握手に世界が驚愕。
・華南共和国、東南アジア諸国を侵略、またインドなどから各所にも侵略。
・「生存圏」や東アジア統一を掲げた華南の一方的侵略。
・「第二次世界大戦」勃発。

 

・「第二次世界大戦」

・日本が華南に宣戦布告。日本連邦諸国も日本本国に倣う。
・インド洋、中近東の対立でトルコも対華南宣戦布告。
・戦争が一気に拡大。
・アジアの主戦場は、東南アジアと両シナ海、インド洋と広く、東アジアでは華南と日本の海上覇権、制空権を競う戦争になる。
 東南アジアから琉球、台湾、呂宋が主戦場。日本領の台湾は、華南軍の強襲上陸で占領下となる。日本は琉球死守を図るも、苦戦を強いられる。インド洋では、トルコが防戦一方に追い込まれ、アラブ地域が主戦場となる。
・蒙古、中央アジアへ進駐。ロシアも領土割譲など圧迫。
・「ロシア戦争」で、蒙古がロシアに突如侵略。
・ロシア側に付いたドイツなど中欧諸国も蒙古に宣戦布告。ロシアに援軍派遣。本来ならトルコは反蒙古だが、華南との戦争と「蒙華不可侵条約」のためロシア救援には動かず。
・短期間でロシアは敗北し、欧州諸国の援軍は間に合わず。
・今度はドイツの国境線が最前線となる。
・華南軍、蒙古領内に突如侵攻。
・「蒙華戦」開始。
・この結果、華南とブリテン、ドイツ、そしてロシア救国政府による軍事同盟がなし崩しに成立。
・また、トルコとドイツ、ロシアなどが敵対状態になり、ヨーロッパでの戦火が拡大。
・華南軍の電撃戦により、北京など華北部の主要都市陥落。短期間で蒙古連邦は中華中原の領土を奪われる。ロシア方面でも戦線を大幅に後退して縮小。蒙古連邦は首都を満州奥地に疎開。ロシアが、奪い返した旧領土で国家の復活を宣言。
・しかし蒙古連邦は屈せず、その後泥沼の戦争となる。
・日本、大東は、羽合の真珠湾にて「大東洋憲章」発表。連合軍がほぼ正式な形となる。
・華南の全体主義打倒こそが最も危険だと定義し、蒙古連邦と同盟締結。

・各陣営
・連合:日本(+連邦)、トルコ、共産蒙古、フランス(+大東)
・枢軸:華南、ブリテン、ドイツ、救国ロシア

・大東がブリテンに事実上の最後通牒。
・ブリテン海軍が、大東本国最大の海軍根拠地(新箸鎮守府)を奇襲攻撃。
・大東国民が、ブリテンの「卑怯な騙し討ち」に怒り狂う。
・大東も連合軍側で参戦。
・ブリテンは、大東勢力圏のイベリア半島、モロッコなど、大東の拠点を「解放」という美名のもとに次々に占領。アフリカ西部沿岸も占領。一時は北大西洋の制海権も握り、カリブ海にまで遠征。
・バミューダ沖海戦でブリテン海軍が大敗。
・ブリテンによる新大陸侵攻は中止。以後ブリテンは、大東に対して守勢に回り大西洋の戦争は転換。
・大東合邦国は、参戦の1年目にはブリテン海軍を大西洋東部に押さえ込み、2年目には日本と共に台湾奪回、欧州でも北アフリカ奪回、イベリア半島上陸。3年目にはブリテン島への上陸作戦を決行。4年目にはフランスからドイツへ侵攻。
・その間、大東の貸与政策により、日本、蒙古が息を吹き返して各所で反撃。戦闘が激化。
・戦争5年目に、連合軍は華南南部に強襲上陸作戦。華南を南北から挟撃。華南が豪語した「海の長城」機能せず。
・戦争7年目、首都南京陥落。大中華帝国(華南共和国)が滅亡。
・ドイツに原子爆弾投下。ロシア、ドイツ降伏。
・日本人社会を中心にした「連合軍」の勝利。

・戦後すぐ、「解放」した地域を巡り、蒙古と日系国家の間に大きな溝。
・蒙古連邦は、多くの領土を「民意」を理由に併合してしまう。ロシアなど占領下においた国には、親蒙の共産政権を樹立。
・華南はしばらく連合軍の軍事占領下に置かれ、植民地のほぼ全てが独立や国連委任統治領となる。しかし蒙古軍と他の連合軍の占領地で徐々に対立が進む。
・最終的に華南は、揚子江を境界線として南北に分断。
・旧華南南部と華南植民地は、ほぼ全てが日系国家群の影響下となる。
・インドなどは、華南からの独立を達成。
・欧州の枢軸陣営は、主に大東の占領下となる。
・同じ連合軍陣営の大東合邦国と蒙古連邦は、ロシア領内(ドニエプル川)で歴史的な握手。
・この結果、黄色人種がついに全欧州を征服したと言われる。
・連合軍各国も戦争で大きく疲弊。
・逆に、日系新大陸国家群の多くは、さらに発展。大東の経済的、軍事的覇権は全世界の半分に匹敵するほど圧倒的となる。
・日本、日本連邦内の独立、自立傾向が一層強まる。
・中欧、北欧は、蒙古(+共産ロシア)の脅威を前に大東などと関係深める。
・トルコ、「アラブ連邦」へ向けて大きく変化。

・22世紀後半

・大東合邦国の巨大な経済覇権の時代
・「冷戦時代」
・蒙古連邦による共産主義の拡大
・蒙古連邦と日系諸国連合による二大対立時代 
・「冷戦時代」
・「汎日系」
・「冷戦崩壊」
・「超大国・大東合邦国」
・「ヨーロッパの時代」

・我々の現代と同じ時代へと至る。