■インスパイア・ファイル04
 「新世紀ヤマト 海軍補完計画」
 ●原典:「新世紀エヴァンゲリオン」

 1994年のアニメ作品。
 あまりにも有名な作品につき、解説その他、詳細は全て割愛します。

●インスパイアへ

 キリスト教への冒涜としか思えないような各種SF風な設定はおおむね無視。
使徒(米軍)vsEVAシリーズ(大和級戦艦)という状況再現のみを目指す。
 「エヴァ・シリーズ」は大和級戦艦、「使徒」は米海軍、「第三新東京市」は日本が極秘に建設した南洋要塞、「エヴァ量産型」は米最新鋭戦艦群(おそらくは改モンタナ級)とする。
 それ以外の過半は見なかった事にする。架空戦記に作り物の神話や少年少女は不要だ!(笑)

 では強引にスタートしてみよう。

●プロット

 セカンドインパクトから15年。
 西暦1942年の夏、専守防衛を掲げた筈の平和国家日本に、ついに侵略者の魔の手が伸びる。

「15年ぶりか」
 呟く要塞副司令をよそに、司令官は着任したばかりの新米艦長に対し冷酷に命令を下す。
「初号艦出撃。敵を殲滅せよ」

 ドイツ帝国軍のパリ包囲で呆気なく終わった第一次世界大戦。
 1925年に勃発した第二次世界大戦。
 これを人々は、それぞれ「ファースト・インパクト」、「セカンド・インパクト」と呼んだ。
 近代に入った戦乱の中でも、人類に与えた破壊が余りにも大きかったからだ。
 第一次世界大戦はカイザーの博打が大当たり。1871年以来、パリの町をドイツ人の軍靴が踏みにじった。
 最初の世界大戦で、ベルギーがドイツの衛星国化し、フランスは賠償として植民地の半分を失う。それなりの金額で賠償金だけで済んだイギリスも、アメリカ独立以来の政治的な大敗に意気消沈。あまりの呆気ない大敗に、欧州世界、特にそれまで帝国主義を主導してきた英仏では、モンゴルの衝撃以来の大きな出来事として受け止められた程だ。
 いっぽう、わずか一年の戦争では部外者が大きく儲けることもなく、参戦しなかったロシアも革命の火種を懸命に消すだけの日々を過ごしていた。遠隔地にある列強だった日本とアメリカも蚊帳の外に過ぎなかった。
 そして世界はドイツの一人勝ちという状況に恐怖し、憎悪をつのらせ、逆にドイツは中華主義的考えを肥大化させていく。
 そんな不完全燃焼の世界が再燃するのは必然だった。

 二度目の破滅の撃鉄は、トルコ革命だった。
 しかし、世界の覇権を争う列強にとって口実などどうでもよかった。
 最初の大戦後もさらなる膨脹外交を続けたドイツが、次は世界の覇権を賭けて英米露連合が激突する。
 先の戦勝でさらに調子に乗ったドイツの坊ちゃん皇帝は、自らの妄想と現実を重ね合わせてしまったのだ。
 それは本当の悪夢の始まりとなった。
 二度目の戦争は6年の長きにわたり、1925年〜30年まで続いた。
 欧州大陸で無理矢理大地に帰ることを余儀なくされた人の数は、最低でも1000万人に達した。戦災に連動する惨禍や餓死による死者を合計すると3000万人にも達すると見られた。
 戦争だけでも十分悪夢だったが、悪夢はさらに拡大する。
 第一次大戦をけっきょく中立国で過ごしたロシアは、二度目の大戦では積極的に参加。しかし、いまだ本当の意味での総力戦に絶えられない経済が崩壊。戦争による困窮から社会主義革命がついに発生。しかし革命は中途半端な形でしか成功しかせず、皇帝と貴族が否定されただけで社会的混乱のみが拡大した。1000万人の死者、餓死者が出たと言われるも、その後強力な指導者が現れることはなく、ロシアの大地に必要な筈の絶対者を失って迷走していく。
 人類へのトドメは、大戦晩年に発生した世界規模のインフルエンザだった。
 突如発生したとしか思えない空前の疫病ため、世界中で億の単位の死者が出たと言われた。塹壕の劣悪な環境にあった兵士達も、三人に一人が天国へと転属していった。
 もはや戦争や革命どころではなかった。

 その間日本は、第一次世界大戦後にドイツによって解消させられた日英同盟もあって初期は中立で過ごして莫大な富を築き上げ、さらに中国大陸への浸透を強めていた。
 しかし、日本の動きにすでに第二次世界大戦に参戦していた筈のアメリカが強く反発。第一次世界大戦後からアジアでの経済的膨脹を強めていたアメリカは、大戦積極参加のカードを切って欧州列強を黙らせ、日本以上に好き勝手な行動に出る。市民の欲望のまま動く身勝手な民主義国家の悪しき実例の現出だ。
 欧州での戦争に関係なく、日本近海と東シナ海に大艦隊を派遣。日本の膨脹を牽制するための示威行動を行う。
 アメリカの横暴に日本側が過剰反応。稼働戦力の過半をアメリカ軍の前に展開。

 この頃日米は、10年程前から行われていた建艦競争のピークに至りつつあり、米「ダニエルズ・プラン」は完成、日「八八艦隊計画」も戦時景気の予算増大を受けて半数以上が完成していた。
 アメリカは欧州への派兵もあるので、戦力は自身の半数程度。対する日本はほぼ全力。双方の戦力は互角。
 膨大な数の戦艦群が、日本近海南方で睨み合うことになる。
 それは次なる悲劇の始まりとなった。
 小笠原事変と呼ばれる、硫黄島近海での軍事衝突の勃発だ。
 この時の戦闘で、日本は米太平洋艦隊を辛うじて撃退。
 敗北したアメリカも、自らの無定見すぎた外交、逼迫する欧州戦線、自らの軍事力不足もあって、日本との本格的戦争を行うことなく地域紛争で終幕させる。
 日米の不用意な紛争は、欧州の連合国にとって一日も早く収拾してほしいのも、紛争早期収拾の大きな理由だった。日米どちらかの裏にドイツがいるのではと言われたが、世界も日米の対応を黙認。世界は再び欧州での地獄へと向き合っていった。

 1931年、ようやく講和会議にこぎ着けた。
 ロンドンおいて行われた講和会議で、ドイツ帝国の解体とロシア帝国消滅が確認された。
 敗北したドイツ以下の同盟国諸国は、いちおうの勝利者となった米英など連合国によって骨抜きにされてしまう。
 しかし連合国だったロシアでは、既にレーニンを亡くしていた共産主義政権もリーダーが現れることないまま自壊。旧ロシア帝国は民族ごとに四五分裂。多数の独立国誕生の後ロシア中央部に成立したのは、求心力の低いロシア共和国だった。
 いっぽう日本以外見るべき列強のないアジアだったが、中華民国は強大なドイツという幻想に踊らされて、早期に同盟国側に立って参戦。英米など国内にはびこる外国勢力を激しく攻撃。これに対して連合国は、日本の参戦を強くうながした。
 日本もアメリカとのゴタゴタが納まると、形ばかり欧州に兵力を派遣すると同時にドイツの植民地とドイツを後ろ盾にした中華民国に対しても宣戦を布告。
 中盤より連合国側に立って参戦し、戦勝国となっていた。
 英仏など欧州列強も、中国大陸やアジア各地で列強利権保護にまわり、形ばかりだが欧州にも派兵した日本の外交姿勢を高く評価した。アメリカとの不用意な軍事衝突についても、アメリカ側に責任がより大きいと判断していた。
 しかも日本は、戦争のほぼ全期間を商売に明け暮れ、戦争前に数倍する国力を作り上げていた。
 対する欧米列強は、第一次大戦によって強大化していたドイツに大いに苦戦。世界一の工業力となっていたアメリカが早期参戦したにも関わらず、戦争は一進一退の攻防となり、欧州の全てが大きく疲弊していた。

 その後世界は、二度の戦争への反省から平和路線を歩む。
 大きく膨脹した日本も、自らの主力艦隊の壊滅、横目でドイツの末路を見た事、敗者の中華民国から海南島と満州全土を割譲したため協調外交を重視した。新たに発足した国際機関、国際連盟の理念をより高次元で守るとして、自ら専守防衛を掲げた平和国家をアピールした。
 日本にしてみれば、中長期的な勝ち逃げを図ろうとしたものだった。
 だが日本の躍進に、アジアの市場独占を目指すアメリカが気に入らないのは確実。それを肌で感じる日本の中央は、アメリカの横やりを避けるためにも世界平和の旗手となるような国際アピールを強くしたのだ。だが、時代はいまだ暴力を肯定する時代。強い武力を持たないことをは、国家・民族としての死を意味する。
 日本、そして日本海軍は、水面下で巨大軍備の建設を画策。対するアメリカも、いつか日本をねじ伏せ、アジアを我がものにせんと牙を研いでいた。
 そうした日米の動きは、日本の水面下の計画では「海軍補完計画」と呼ばれ、アメリカでは「委員会」が設置され、対外戦略を主導するようになる。

 そして日米の軍事衝突から15年。
 数々のすれ違いから、日米は再び戦火を交える事になる。
 いまだ戦艦こそが絶対とされる世界において、日本が包囲を続けるフィリピンを救出すべく、そして日本の生命線である南洋通商路を遮断すべく、アメリカ艦隊が日本の南洋要塞群へと押し寄せる。

 なお日本が計画した「海軍補完計画」は、二つの骨子から成り立っていた。
 目に見える大きな変化は、南洋諸島の積極的開発に伴うインフラ整備を、インフラの過半を有事の際は軍事転用できるように整備した事だった。
 中核となるマリアナ諸島やトラック諸島には莫大な設備投資が行われ、東洋一と謳われる飛行場や大きな護岸を備えた港が整備された。換金作物の集約的栽培と遠洋漁業の発展に伴い地域人口も大幅に増加し、いつしか一大産業地帯となっていた。
 そして有事の際に南洋の近代的設備を利用するのが、海軍休日終了と共に極秘に計画・建造された超巨大戦艦群だった。
 しかし国を傾かせるほどの予算を傾倒して整備されつつあった超巨大戦艦は、アメリカの突然とも言える宣戦布告にほとんどが間に合わなかった。
 アメリカも日本が何か水面下で行っていると薄々察知していたのだ。
 もっとも、1942年の開戦の時、日米はともに「八八艦隊」、「ダニエルプラン」、さらにはそれ以前に建設した戦艦の過半を先の戦いで失っていた。しかも戦後成立した厳しい軍縮条約のせいで、条約で認められた枠以外での新鋭艦艇は条約解消後に計画された建造半ばの艦がほとんど。セカンドインパクトの頃とは比べものにならないぐらい海軍力は低下していた。
 自ずと、完成するそばから新鋭艦を投入しあっての激突となる。
 特に戦力の逐次投入は、初戦で日米の空母群がマーシャル諸島沖合で相打ちとなった事で強まっていた。

 まずは、日本の「八八艦隊」の生き残り、十三号艦を改造した通称「零号艦」と米新鋭戦艦が激突。「零号艦」が敗北。
 「零号艦」は大破炎上しつつも、友軍の援護でなんとか撤退に成功。艦長は重傷を負ってしまう。
 トラック前面にまで米艦隊に迫られた日本だったが、ここでギリギリ間に合った新兵器「初号艦」を投入。「初号艦」は、圧倒的破壊力で襲来した米艦隊を殲滅する。

 開発名称「初号艦」の真の名は「大和」。満載排水量7万5000tに達する超超弩級戦艦だ。46センチ砲から打ち出される砲弾は全ての敵を粉砕し、強固すぎる特殊装甲は敵の全ての攻撃を受け付けなかった。

 その後日本は、アメリカの戦力逐次投入をさらに促すべく、緩慢なフィリピン包囲を続ける。これに対してアメリカは、長距離補給作戦と、フィリピン救援に邪魔な日本の南洋要塞群攻撃を何度も行うという図式で戦争は推移する。
 アメリカ軍とすれは、南太平洋から回り込みたかったが、英国(英連邦)は中立維持を堅持して進出や侵攻は不可能。北太平洋は一時期を除いて海の難所。だいいちフィリピンからは遠すぎる。
 アメリカは、日本軍が待ちかまえる中部太平洋を突破するしかなかった。
 戦艦部隊、巡洋艦群、水雷戦隊、空母、ウルフパック、重爆部隊、突然の前線基地建設、それらの複合。さまざまな戦力を、世論に煽られるまま出来るそばから投入する米軍。だが、日本の「初号艦」、「弐号艦」、再生された「零号艦」と南洋要塞群の前に全て敗退。うず高く損害を積み上げていく。大和シリーズによって壊滅した任務部隊の数は16にも登った。

 いつまで経ってもフィリピンを救援できない自国軍隊を前に、厭戦気分をつのらせる合衆国市民。ギリギリの勝利の連続に疲弊する大和シリーズと南洋要塞群。
 そして、アメリカの圧倒的生産力は、遂にヤマトクラスの量産に成功する。
 突如押し寄せる9隻の巨大戦艦。
 要塞本部に上陸してくる米戦略海兵隊。
 対するは、それまでの戦いで半壊した南洋要塞群と壊滅状態の大和シリーズ。
 今ここに、日米の存亡を賭けた「海軍補完計画」に終止符が打たれる!?
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 う〜ん、きれいにまとまったなぁ(笑)
 あ、そうそう、人類にリセットに対するオマージュは、日本の無条件降伏ね。つまり、日本がリリンでアダムがアメリカ。
 となると、だれがカヲル君になるなのかな〜(笑)

閑話休題?:
 使徒の米軍へのインスパイア

第参使徒 サキエル
 新型の大型戦艦群。史実のサウスダコタ級相当。
第四使徒 シャムシエル
 レキシントン級を大改装した巡洋戦艦。チクリと痛いが打たれ弱い。
 大和に報道班が同乗して混乱。大破、座礁して解析されてしまう。
第伍使徒 ラミエル
 奇襲攻撃で南洋要塞に俄に出現した米前線基地。目前の爆撃拠点として要塞破壊を画策。
 オマージュのため強力な要塞砲設置。大和シリーズは、試作の強装薬弾で遠距離から撃破。
第六使徒 ガギエル
 潜水艦群。日本本土で完成したばかりの弐号艦の完熟航海中の日本艦隊と、米通商破壊部隊の遭遇戦。
 弐号艦デビュー。日本側は護衛艦多数を失う。
第七使徒 イスラフェル
 2隻の大型戦艦の襲来。レーダー連動の発砲同調装置装備。大和シリーズも発砲同調装置を使用して撃退。
第八使徒 サンダルフォン
 米軍前線拠点の浮きドックとそこで整備中の戦艦の捕獲作戦。
第九使徒 マトリエル
 中型の陸上機部隊の襲来。絨毯爆撃が主戦法で要塞中枢にまで侵入。
 不慮の事故で要塞がシステムダウンするスキを突くも、艦艇からの高角砲弾幕により呆気なく撃退。
第拾使徒 サハクィエル
 超重爆撃機(B29)。成層圏よりダムバスターを持って飛来。
第拾壱使徒 イロウル
 ハワイの暗号解読班。カウンター・インテリジェンスで撃退。
第拾弐使徒 レリエル
 夜間攻撃。空荷の囮攻略船団をエサにしてウルフパックが強襲。大和一時行動不能になる。
第拾参使徒 バルディエル
 反逆戦艦「信濃」?!(何をどうすればいいのか、スッゲー謎)
第拾四使徒 ゼルエル
 米新鋭戦艦「超超モンタナ」級。大和シリーズを追いつめるも、日本の勢力圏で大破、座礁。日本に技術解析されてしまう。
第拾伍使徒 アラエル
 超重爆撃機(B29)が、成層圏から強力なジャミングをして通信・電探の全てを封じる。
第拾六使徒 アルミサエル
 大和シリーズの対応不能の攻撃。零号艦爆沈。
 (空母艦載機の攻撃もしくは特殊工作部隊の破壊工作か?)
第拾七使徒 タブリス
 講和使節団到来? 交渉決裂。最終決戦へ……。

 強引にインスパイアしようとしても、いまいちシックリこないもの、設定しづらいものがありますね。まあ、PS2版のエヴァ2なら、ほとんど腕力でぶちのめせるようにデータ化されているので、艦艇や戦力に置き換えやすいかもしれませんが。
 そういえば、PS2版なら、最大でエヴァ5機+JA改という頭数でインスパイアできるから、量産型9隻に勝てるかも(笑)