黒姫型装甲巡洋艦

同型艦
黒姫 1943年1月就役 1950年2月改装

要目
項目 数値 武装 数値
基準排水量 38500t 主砲 45口径41cm砲  連装3基 6門
全長 248.0m 副砲 なし
全幅 27.5m 高射砲 65口径10.0cm砲  連装8基 16門
機関出力 164000馬力 艦載機 3機
速力 34.0ノット 水線部装甲 305mm
航続力 18ノットで8000浬 甲板装甲 127mm+37mm

備考
もともと穂高型の当初の運用目的は、水雷戦隊に所属しての艦隊の旗艦任務と敵砲撃部隊の排除にあった。また、その高速と重武装を活かして空母機動部隊の護衛、主力艦隊の補助戦力などあらゆる機動的任務に投入されることを想定されていた艦でもある。
だが、2番艦の黒姫は、戦時で建造を急いだ事から主砲の手当が間に合わず、やむなく保存状態にされていた、旧式の41cm45口径 連装砲を手直しして搭載している。さらに、主砲に似合った装甲を持たせようとしたり、艦尾の延長をしたりと、主砲に似合った形に近づけようと建造中に強引に設計を変更し、他の艦とは違った仕様となっている。このため、黒姫を世界最強の水雷戦専用艦という言い方をする者もいる。

太平洋戦争では、その初陣において敵戦艦と図らずも夜間戦闘を強いられ、大きな戦果を挙げたが大きな損害を受けることとなり装甲巡洋艦の限界を示し、休戦を待たずにドックに逆戻りし、これを機会に大改装が施される事となった。
そしてこれを機会として、建造当初からイレギュラー的な存在となっていた事から本艦を一種の実験艦として、各種新装備を優先して配備される事が決まり、以後何度もドック入りしては新装備を満載し、第三次世界大戦においてその力をいかんなく発揮する事となる。

第一次改装の目玉は、それまでの中古の41cm砲に代わり新型の主砲を搭載する事にあった。
それは試製「F」砲塔と呼ばれる新型の主砲射撃システムで、ドイツ海軍との技術交流の結果生まれた新型発砲システムをもっていた。
その最大の特徴は、主砲射撃速度の早さであり、完全自動化された揚弾、装填システムは1.2トンもある超重量弾とそれを射ちあげる装薬を、平均20秒に一回、最初の5分程度なら15秒に一回の割合で運ぶ事ができ、それにより圧倒的な弾薬投射を実現する事にあった。
ただ、その性格上非常にデリケートな構造を持ち、新型艦に装備するのが躊躇されていたので、実験的にこの艦に装備される事となったのだ。しかし、結局たいした問題もなく主砲の運用実績は良好で、「神速」の主砲射撃を実現し、瞬間的にはアメリカのモンタナ級にすら匹敵する弾薬投射量を発揮し、中距離砲撃戦において無類の強さを発揮した。しかし、砲身の摩耗が早くこれが最大の悩みの種とされた。
また、50口径の新型主砲射撃システムを搭載する事からバーベットからの改装が行われ、財務担当者からは新造した方がいいとさんざんな言われようだったが、一部の大艦巨砲主義者からの熱烈な支援の元改装は行われた。ただ、問題としてそのシステムの高価な事があり、結局以後の他の艦へは改良型の廉価システムが導入されるに止まっている。
また、装甲もその大半が新型の装甲材に換装され、これにより同じ厚さながら20%以上の直接防御力の向上を実現し、バイタルパートの一部は45口径46cm砲すら耐えうるものとなった。
それに併せて、重量増加にも対応でき本艦が率いるべき従属艦艇の速力向上にも対応できるような高出力機関への換装や、防御力のさらなる改訂などが行われ、全く別物と言っても過言ではないぐらいの改装が施されることになった。
このため、改装終了後はまるで新造艦のようであり、多くの将兵が間違えたと言われている。
また、1949年からの再度の改装では対空砲ばかりが積み上げられていた旧航空機運用スペースを含む上部構造物の改修と新型装備の艤装が行われ、第三次世界大戦勃発時において、戦場の全ての情報を管制できるほどの高度な索敵、通信指揮システムの搭載し、さらに完全な誘導弾運用艦として面目を新たにし、投入された戦場において一個艦隊に匹敵する戦果と活躍を示しその存在感を誇示した。

その戦闘は、日本側が装甲巡洋艦の「黒姫」、「穂高」他駆逐艦4隻に対して、敵側は戦艦2隻、重巡洋艦3隻、駆逐艦6隻からなる有力な戦力だったが、夜間戦闘となり、そのため前大戦の教訓からどちらも電探の作動すら行わない無線封鎖状態での対面となった。
そして、いまだ夜間見張り能力に優れていた日本艦隊は、いち早く敵艦隊を発見、そして黒姫はその概略方向に向けて対艦誘導弾を一斉発射し敵を大混乱に陥れた。距離1万5千という近距離から放たれた16発の10式対艦誘導弾は、完全な奇襲となった事からその5割以上にあたる9発が命中、一瞬にして敵戦艦、重巡洋艦1隻を大破脱落させ、駆逐艦一隻を撃沈してしまった。
当然その直後から砲撃戦となったが、ここでも黒姫の新型主砲の圧倒的な速射性能はいかんなくその効果を発揮し、圧倒的な弾薬投射量により残る敵戦艦を砲撃開始5分で沈黙させ、戦闘終了までに戦艦以外にも残る重巡洋艦と駆逐艦1隻を葬っていた。
他の味方艦の戦果をあわせれば敵戦力全滅という、パーフェクトゲームを演出する事になる。
しかもこれは、敵軍のレーダーが全力作動状態になったとたんに、黒姫が試作品の電波妨害装置でパラージ・ジャミングしかけた事で敵軍がさらなる混乱に見舞われたからに他ならない。
この大戦果に両軍は大きなショックを受け、以後の戦闘に大きな影響を与えることになる。

そして黒姫はその後も、さらに改良された強力な通信指揮システムもあり、第三次世界大戦において夜間戦闘部隊や前衛打撃艦隊の旗艦任務に就き活躍する事となる。
この事から、その名前もあり黒姫の事を「ブラックプリンセス」と呼んだり、水雷戦隊旗艦として多数の従属艦艇を従える事から「女帝」と呼ばれるなど、排水量からすれば分不相応ともとれる異名を持つことになる。(もっとも大型戦艦並の予算を食っているが。)
ただ、最後の改装後はそのあまりの装備の多さから、大型艦にありながらややトップヘビーとなり、またミサイルを発射する前に一発受けたら轟沈間違いなしと言われる装備から、その凶悪な姿と活躍とは裏腹に実際運用する将兵達からはあまり好かれなかったと言われ、この艦を好むものは一種の物好きだとされたと言う。
火力戦主義者が生み出した一種の妄想の実現とも言えるかもしれない。

第二次改装後(1950年2月)
項目 数値 武装 数値
基準排水量 40500t 主砲 55口径40.6cm砲  連装3基  6門
全長 256.0m  高射砲 60口径12.7cm砲  連装8基  16門
全幅 27.5m 誘導兵器 10式対艦誘導弾 連装8基  9式対空誘導弾 連装2基
機関出力 192000馬力 艦載機 ヘリ3機
速力 34.5ノット 水線部装甲 305mm
航続力 18ノットで8000浬 甲板装甲 127mm+50mm