超戦艦 「日本武尊」
「日本武尊」要目(1945年8月?)
デザイナーズ・メモ 今回のお題(2002年1月)は、『旭日の艦隊』(荒巻義雄著:中央公論社刊)における超戦艦<日本武尊>です。 今回はイラストリクエストがあったので、作成してみました。
え〜と、言い出すとキリがないので、デザイン面での事を交えながら少し考えてみます。 なお、この旭日艦隊の建造コンセプトは「奇想」です。まず、それをお忘れなきよう。 また、手元に原作がないので、うる覚えの記述を思いだしながらなので、間違いがあればご容赦ねがいます。
まず、基本スペックから見てみましょう。 史実の軍艦「大和」とほぼ同じ船体に、より進んだ発想による装甲の着装、ダメコン・チームを多く確保するための膨大な船員数(乗員4000人)を確保、そしてより強力な主砲である50サンチ砲の装備です。 これだけ見ると、単に防御により重点をおいた紀伊級のように思えます。 しかし、デザインを見るとまるで違っています。まず、50サンチ砲が三連装で2基装備されています。ですが、これはあの世界特有の技術進歩で軽量砲が開発されたと言うことで、クリアできるでしょう。実際、50年代の冶金技術なら可能です。 ただ、問題はその装備位置です。そうです、異常に高い位置に主砲が装備されているのです。しかも、両方とも・・・と言うよりも、装備の大半が空母の飛行甲板ぐらいの高さの所に存在していることになります。それを表すかのように、煙突は1930年代の日本空母と同じように設置されています。まさに「奇想」です。しかも、説明ではそれでいてなお敵の攻撃に対して十分な防御が施されていると言うことです。 つまり、あのデザインだと完成してドックから出た途端に転覆してしまう可能性大ということです。もしそうでないなら、艦の上にある構造物の大半がほぼ装甲が施されていないと言う事になります。少なくとも高速転舵は厳禁です。ですから、このデザインにおいては、まず主砲などの装備位置を大和型とほぼ同じ位置にしています。おそらく、これで初春級真っ青のアクロバット的な転舵時の大傾斜という事態はさけられると思います。
これで、最大の問題はクリアしたので、後は可能な限り原作に忠実な装備を雄大な船体に盛り込んでいきます。 そして、完成した姿が上のものとなります。 個人的には、大和+ソビエト海軍のキーロフ級+防空巡洋艦というイメージを持ちました。 ですから、「戦艦」と言うよりは、「重打撃艦」と言うのが相応しい名称ではないでしょうか。 少なくとも、甲板に大破壊力を持った誘導弾を埋め込んでいるような艦には、対艦砲撃戦はしてほしくありません。
なお、原作で気に入らない装備は、1950年頃の技術想定で多数改訂してみました。 一番目立つ変更は、煙突だと思います。そうです、ガスタービン艦にしました。(船員数がめちゃ減少してしまうが・・・) これなら速力の自在な変更が可能で、さぞドイツ軍もビックリする筈です。 次に艦前部に装備された、艦対艦・地誘導弾を3×6基の常識的配置に変更しました。(本来は20基装備してます。) これは、こうしないとこの区画にまともな防御区画が作れそうにないからです。 また、艦後部に装備されていた、垂直発射式と思われる対空ロケットを、まともな対空誘導弾に変更しました。 この装備が、いかなるものなのか私は知らないのですが、この時代にVLSが実現できるとはあまり思えないので、 米軍の様な装備としました。もちろん、専用の誘導電探も装備します。(ただ、装備位置は結構問題ありです。) そして、各種防空火器を制御するための高射指揮装置を多数設置し、各高射砲にも補助の電探をつけ同時対応能力を高めておきます。 ついでに、どうみても旧式の12.7cm砲にしか見えない高射砲とあまり高射砲に見えない15cm砲のデザインを自動装填式のものに変更しました。 (どうしてもスペース的に搭載できないので、装備数は若干減少しました。) もちろん高射砲については、艦首と艦尾に設置するという「奇想」な装備位置を常識的位置に改め、さらに、電探装備をアメリカ戦艦並に充実させました。
かくして、超戦艦「日本武尊」は、空母機動部隊の直衛に最適な防空重打撃艦となってしまいました(汗)
う〜ん、やっぱり私がすると面白みのないデザインになってしまいました。 予想していたとは言え、リクエストを下さった幸就様に少しでもご満足いただけたのなら幸いです。