日本皇国の防空直衛艦(駆逐艦)
睦月型駆逐艦
新造時(1926年時)
改装後(1941年時)
睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 長月 菊月 三日月 望月 夕月 |
要目
項目 | 数値 | 武装 | 数値 |
基準排水量 | 1315t | 主砲 | 65口径10cm砲 連装2基 4門 |
全長 | 102.7m | 機銃 | 40mm連装機銃4基 8門 25mm単装機銃6基 6門 |
全幅 | 9.2m | 魚雷発射管 | なし |
機関出力 | 38500馬力 | 爆雷投下器 | 2機 |
速力 | 37.3ノット | 爆雷投射器 | 1機 |
航続力 | 14ノットで3600浬 | 爆雷数 | 18発 |
備考
峰風型系列に属する最後形式だが、各国の艦艇の戦闘力増強に対抗するため、強力な雷装を装備され就役した。
特に3連装でまとめられた61cm魚雷は、日本海軍の戦術ドクトリンにより生み出された強力な魚雷で、
以後の駆逐艦において魚雷が廃止されるまでこの大きさの魚雷が装備される事になる。
1940年頃には峰風型同様老朽化し、対潜、対空駆逐艦として徹底的に改装され運用され、全て機動艦隊に配属されていた。
改装の特徴は、新型の両用砲とその射撃システムの装備で、ややトップヘビーになったが新型防空艦の半分の能力を持たせる事に成功し、
その改装目的を達成している。
そして、太平洋戦争初戦においての空母戦で重要な役割を果たし、艦隊防空の一翼を担い活躍している。
ただし、もともと老朽化していたことから太平洋戦争終結後の1943年には早々に退役し、
新造の秋月型へとその役割を譲っている。
■秋月型防空直衛艦
同型艦
1937年計画艦 | 秋月 照月 涼月 初月 新月 若月 |
1939年計画艦 | 霜月 冬月 春月 宵月 夏月 満月 |
1940年計画艦 | 花月 清月 大月 早稲月 山月 浦月 |
要目
項目 | 数値 | 武装 | 数値 |
基準排水量 | 2701t | 主砲 | 65口径10.0cm砲 連装4基 4門 |
全長 | 134.2m | 機銃 | 40mm連装機銃5基 10門 25mm単装機銃12基 12門 |
全幅 | 11.6m | 魚雷発射管 | 61.0cm 四連装1基 4門 |
機関出力 | 52000馬力 | 爆雷投下器 | 2機 |
速力 | 33.0ノット | 爆雷投射器 | 2機 |
航続力 | 18ノットで8000浬 | 爆雷数 | 32発 |
備考
艦隊防空用のワークホースとして1937年に計画された防空直衛艦。ただ、計画がじょじょに大きくなり、
結局旧来の軽巡洋艦並の排水量となり、予算的な意味では失敗作とも言われている。
だが、駆逐艦とは違うという事で、船体など主要な部分には思い切ったブロック工法による簡略構造を採用し、
極めて量産性に優れており、これは後に瑞雲型駆逐艦などその後の艦へと採用されている。
もっとも、この時点ではまだまだ不徹底で、日本艦特有の優美さを外見上では保っている。
新たな艦隊ドクトリンに従い、空母機動部隊の直衛用として多数が建造され、空母機動部隊の外堀として太平洋を縦横に駆け回る事となる。
■改秋月型(高月型)防空直衛艦
同型艦
高月 菊月 望月 夕月 朧月 桜月 香月 美月 愛月 霧月 風月 雪月 |
要目
項目 | 数値 | 武装 | 数値 |
基準排水量 | 6450t | 主砲 | 60口径12.7cm砲 連装6基 12門 |
全長 | 163.0m | 機銃 | 40mm連装機銃12基 24門 25mm単装機銃12基 8門 |
全幅 | 15.9m | 魚雷発射管 | なし |
機関出力 | 80000馬力 | 爆雷投下器 | 2機 |
速力 | 33.0ノット | 爆雷投射器 | 2機 |
航続力 | 18ノットで9600浬 | 爆雷数 | 32発 |
砲を主装備とした防空専門艦の決定版として、1944年度計画、1944年度計画で計画・建造された防空専門艦。
その特徴は、新型の60口径12.7cm砲の連装砲塔を6基、その射撃管制装置を3基装備していることであり、
そして、その装備を可能としている、駆逐艦としてはあまりにも雄大な艦形にある。
これが諸外国なら十分に「巡洋艦」と呼ばれるべきものであり、実際同程度の艦を建造した各国においては、
このクラスを「防空軽巡洋艦」として建造している。
つまり、「駆逐艦」としてなら極めて贅沢な艦であり、海軍大国である日本だからこそ建造できた「駆逐艦」と言えるだろう。
なお、第二次世界大戦とそれ以後の軍拡に従い芸術的な艦艇デザインは影を潜め、簡易構造を採用したある種素っ気ない外見となっている。
これは、日本海軍がこのクラスを戦時でのワークホースとしての役割を期待しているからであり、
損傷、早期の修理による戦線復帰を前提にしているに他ならない。
このため、水上打撃戦に不可欠とされる重厚な装甲はほとんど施されておらず、構造によって攻撃に耐えるシステムになっている。
ちなみに、「改秋月型」とされているのは、敵対国に対する予算面などでのカムフラージュをするため。
■睦月型防空直衛艦
同型艦
睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神無月 十六夜 三月 |
要目
項目 | 数値 | 武装 | 数値 |
基準排水量 | 6650t | 主砲 | 60口径12.7cm砲 連装2基 4門 |
全長 | 165.0m | 機銃 | 40mm連装機銃12基 24門 |
全幅 | 15.9m | 誘導弾 | 50式対空誘導弾 連装2基 4基 |
機関出力 | 84000馬力 | 搭載機 | 対潜哨戒回転翼機1機(露天搭載・限定運用可能) |
速力 | 33.0ノット | 爆雷投射器 | 2機 |
航続力 | 18ノットで9600浬 | 爆雷数 | 24発 |
1949年度の海軍補充計画において計画・建造された新世代の防空専門艦。
12隻を一気に建造するという事から、コスト低減のために睦月型をタイプシップとし、
その装備や部品を多数流用していたが、艤装面においては大幅な改訂が行われている。
その特徴は、主武装として対空誘導弾の発射装置と誘導装置の一式を2セット分(同時に4発の対空誘導弾が発射可能)が
装備されている事で、さらに対潜装備も従来の爆雷に代わり、
対潜哨戒回転翼機を搭載できるようにする事で補われている。(固定装備はできなかったが)
そして、新型電波兵器の艤装も重なり、その姿も新世代の艦としての貫禄十分なものになり、
日本海軍・空母機動部隊の新たな「盾」として期待され、その期待に違わない活躍を示すことになる。
なお、船体その他の多数を流用しながら、大量の新装備を施すことから意外に多くの図面が引かれ、
設計案が決定するまでに20種類近いデザインがなされた。
そして、この時の紆余曲折は、第三次世界大戦の艦艇建造に大きな貢献を果たす事になる。
初期計画案(A1012案)
初期計画案(A1016案)