■ウェルカム、ゴルディロックス・ゾーン

■大東島 基礎データ

●MAP 01 (海を仮想想定上で取り除いた、大東島及び西日本列島及びその周辺部の衛星画像)


地理


南北2000km(最大) 、東西500km(最大) 、北は北緯49度から南は北緯30度まで広がっている。
一見二つの島に見えるが一つの島で、南北に細長い。
面積は約69万平方キロメートル(※島の面積としてはボルネオ島に次ぎ世界第4位)。
中央部が地峡でつながった大小2つの陸塊は、北の大きい方を新大東州、南の小さい方を旧大東州と呼ぶ。
面積は新大東州が約46万平方km、旧大東州が約23万平方kmである。 (※合わせて日本の本州のほぼ三倍の大きさ。)

地形の変動が起こらず長期の浸食を受け続けたことから、本州とは異なり利用できる平野(+台地)が面積の9割近くを占める。
急峻な山地が非常に少ないことから、河川の数と流量は全般に少なく流れは緩やかである。 現在は、島内最高峰でも2000メートルに満たない。1000メートルを超える山脈でも斜面は非常に緩やかで、最高峰が500メートル程度の標高の山だと感覚的には「大きな丘」程度となる。

一方で、巨大な陸塊のまま大東洋を押し渡った影響で、海岸部の地形は砂浜や低地よりも絶壁状で海岸線になる地形が多い。平坦な陸が終わるとすぐに20〜100メートル程度の落差がある巨大な「壁」となり、小さな砂浜などの先にそのまま海に出る、というのが大東での一般的な地形だった。氷河期が終わって温暖化が進んだ時期も、平野部が海水面の下になることもなかった。2011年の東日本海大地震の時には、津波の多くは大東島の巨大な「壁」に当たっだけで済むという効果も発生している。
例外は最後の氷河期が終わって以後発達した河川の河口部の沖積平野と一部の海岸線だけになる。このため、天然の良港となる場所は限られている。

現在、北極プレート下に沈み込みつつある太平洋プレート上にあるため、大東島西部ではときおり地震が見られるが、西日本列島の本州近辺に比べると遥かに少なく安定している。地形にも断層といったものは皆無だ。
しかし時折プレート境界に近い場所では、 大規模な地震が発生する場合がある(プレートがずれた後の揺り返しによる地震が主)。
降水量が西日本より少ないため、西日本列島より森林被覆率は低い。新大東州北部の森林資源は現在も豊かではあるが、旧大東島の森林は17世紀以降大規模な破壊に見舞われ、現在でも森林被覆率は30%程度にしか回復していない。(原生林は、新大東州北部の一部にしか残っていない。)
 

●MAP 02 (スケール、名称など)


歴史人類が定住するまで

 1億6000万年前にローラシア大陸西端から分離した陸塊が大東島である。
 同島東岸各所に正断層が見られるため、島南部から引き剥がされる様にローラシア大陸から分離していったと推測される。
 当初太平洋プレート上を西北西に移動していた古大東島は、インドプレートがユーラシアプレートにぶつかった4000万年前に真西に移動方向を変え、日本海溝付近まで移動した。
 およそ1000万年後には大東島は北極プレートに飲み込まれ、日本列島に付加体となって一体化するものと考えられている。
 ちなみに、ローラシア大陸から分離する時に、当時ローラシアに住んでいた生き物、その祖先の多くも道連れにしたため、遺伝的にユーラシアよりもそちらの遺伝子の系譜を有する生き物が多い。特に植物において顕著。一部は、どういう経緯かいまだ解明されていないがほ乳類にまで及んでいる。

 西日本列島を含めた日本を形成する島々のなかでは、圧倒的に古くから存在する島である。
 古大東島は1億年前には3000メートル級の山々が存在したと考えられているが、太平洋プレートを西に移動するうちに侵食によりブリテン島と同様の大規模な平野が形成された。

 大東島は過去のいかなる氷河期でも、ユーラシア大陸と陸続きであったことはなかった。新大東州北部に10世紀頃まで生存していたとみられる(20世紀初頭の目撃証言もある)「隠鼠人」は約10万年前に渡来したとみられているが、正確な年代や渡来方法は解明されていない。
 最新の遺伝子解析によると、このヒト科ヒト属のクロマニョン人の親戚は約7万5000年前のスマトラ島トバ火山噴火後の人類の減少期にボトルネック効果により大きくその姿態を変えた現生人類の子孫であると見られている。
 なお、氷河期によっては、大陸と大東島の間は冬の間は流氷により完全凍結する為、この間移住してきたという説が有力となっている。しかしこの時期、対岸となるユーラシア大陸北東部に人類が到達した形跡が存在しないため、「隠鼠人」は人類学上での謎の一つとされている。加えて、人類としては特徴のある外見のため、オカルトの題材とされる事もある。

 次に、大東島に現生人類が住み着いたのは、1万5000年前に北東アジア方面から本州の東北地方に旧石器時代人が定着したのと同時期に、大東島に縄文人と同一のルーツを持つ集団が移住したと考えられている。
 正確な年代はB.C.13000年〜12000年ごろだと推定される。 まだ海を越える船を人類が発明していない時代のため、最後の氷河期に冬季に固く凍結した北の海を越えてきたと考えられている。
 以後、全島に広がり、約1万年の間は狩猟採集を基盤とした縄文文化が継続した。
 3000年前(紀元前1000年)、マレーシアやインドネシア、フィリピンからマレー・ポリネシア系の遺伝子を持つ主にチャモロ人(茶茂呂人)が移住してくる。茶茂呂人は大東島南部から北上し、同島中央部で大規模な戦闘がみられた。 そして茶茂呂人により台湾島発祥と考えられているアウトリガー・カヌーが伝えられ、これが広まって日本列島と大東島の交流と移民が開始されたと考えられている。
 2500年前、縄文海進期末期に本州から弥生人が訪れるようになると、既に茶茂呂人に圧迫されていた北方系縄文人は本州系弥生人の文化と積極的に同化し、稲作がはじまった。 これが「古大東人」となる。
 その後、西日本列島の有守島辺りから「アイヌ人」がたどり着き、新大東州の西部に住むようになる。

 
人口(21世紀初頭現在)

大東島は、世界的に見て農耕に適した多雨温帯のため、大東島2州の人口は2億1000万人と島人口としては世界第1位(2001年現在。2位はジャワ島)である。
(西日本列島の本州は、人口9000万人で世界第3位)
大東島の人口分布は旧大東州に1億5000万人が居住し、本州よりも人口密度は高くなっているが、平野が多いために感覚的な過密感は本州ほどではない。
人口密度自体は300人を若干上回るが、人の分布の雰囲気はヨーロッパの人口密度が比較的高い地域に近い。
人口6000万人の島の北部に広がる新大東州は、感覚的にもヨーロッパに近い。
人口100万人以上の都市は人口密度の割に少なく、首都東京を含めて11都市ある。
最大の人口を擁する都市は、和良平野東部に位置する統合日本国首都”東京”であり、1600万人(2001年現在)である。

●MAP 03 (20世紀〜21世紀にかけての大東島)

 
気候

山地が少ない為に積雪も少ない。夏季には慢性的な水不足に悩まされている。
北緯40度以北は冷帯湿潤気候、以南は温暖湿潤気候または西岸海洋性気候に分類される。
本州と大東島の間を通る東海黒潮が島の西部を暖めており、島の東部に比べ温暖となっている。
冬は黒潮上を季節風が通過するため、北大西洋海流が北欧に及ぼすような冬季の寒さの緩和作用が受けられる。
よって、同緯度地域に比べ、熱帯性の植物や魚貝類の分布の北限がのびている。
また、黒潮(北太平洋海流)の影響で、南端部の海は亜熱帯に近く、一部では珊瑚礁すら形成される。
上記のような黒潮の恩恵は、本州・有守州では限定的である。

東北部は親潮の影響により全般に寒冷である。
親潮は通常1月頃から大東島東岸に沿って南下するようになり、4月頃最も南に張り出す。
親潮系の冷水の異常南下は冷夏をもたらす可能性が指摘されている。
東北太平洋岸では夏の暖かくて湿った空気(太平洋高気圧)が親潮によって冷却され霧が発生することが多い。
台風は旧大東州では上陸することがあるが、大抵は熱帯低気圧となっているため、恵みの雨以上の影響はない。
逆に冬の新大東州北端部は、「低気圧の墓場」の地域に属する為、非常に厳しい気象に見舞われることがある。
島の北端は、海流や風向きの関係で、真冬の一時期は流氷が漂着する。

●MAP 04 (気候区分、海流概要)

●MAP 05 (日本、大東近辺の海流概要)

◆地下天然資源

中生代に形成された瀝青炭が旧大東州南部で産出される。埋蔵量は700億トン(世界第5位・年産4億トン程度)と推定される。
新大東州北部では金(※現在でも僅かに採掘が続く)、鉄鉱(※埋蔵量10億トン程度。20世紀半ばにほぼ枯渇)、他少量のレアメタルが産出される。
石油、天然ガスは全く産出しない。
1980年代からは、新大東州の龍嶺山地南部で大量のレアアースが発見されて開発が進む。

●MAP 06 (採掘される以前の地下天然資源分布図)


農業

主要な農産物は米(ジャポニカ種)である。
水資源が不足しているため、陸稲と水稲の作付面積はほぼ同等である。
近年は新大東州中部〜北部において乾燥に強い小麦の生産が急速に伸びており、統合日本の食料自給率を底上げしている 。
また島の北部では、18世紀頃からジャガイモの栽培が広く行われている。
また南北に非常に長い島のため、農作物の分布も広く豊かである。亜熱帯性からタイガ(針葉樹林帯)まで植生のある島は、地球上でも大東島だけである。
副食としては、北の新大東州を中心にして、古くから肉食、酪農が行われている。18世紀以後は、島の北部で羊の放牧も進んだ。

●MAP 07 (17〜18世紀の農業分布図)


●注釈:「ゴルディロックス・ゾーン」

英語で恒星からの距離が生命を発生・進化させるのに適した領域のこと。ハビタルゾーン(生命生存可能領域)とほぼ同義。
地球上に例えるならば、温帯地域の事になる。
意訳すると「ちょうどええ塩梅のところ」



神視点からのいいわけ

 カリフォルニアが大東島となった結果、一つの島が誕生しただけでなく海流の流れや地域によっては気象の変化も起きている。
 特に変化が大きいのは北アメリカ大陸のアラスカで、同地域はユーラシア大陸北東部のオホーツク海沿岸ぐらいに厳しい気候となっている。また、北太平洋沿岸の一部気象条件も我々の世界よりも寒冷になっている。
 日本列島も、この世界では有守州とされている北海道は、特に太平洋岸(東日本海岸)は温暖で中世から稲作が可能となっている。

 また、北太平洋海流自体が大きく変化しているので、地球規模での気象条件の変化の可能性も十分考えられるが、この世界では局所的な変化に留まるものと想定する。
(※細かく設定したければ、それこそ「地球シミュレーター」が必要になるかも(笑))