◆ニタインクル公国
総人口 840万人
首邑 新浜
元首 公王(女王)
首相 なし
国家形態 公国制
国力比重 6(帝国全体で100)



●特徴
地理
 その国土は、ニタインクルの北島(キィタモショリ)と南島((ン)ナミモショリ)を本土として、フィジー諸島、カレドニア島、バヌアツ諸島より構成されるが、気候的には大きく、ニタインクルとメラネシアに分かれ、ニタインクルは温暖な「森の国」として、メラネシアの島々は常春の地上の楽園として有名で、どちらも非常に過ごしやすい風土となっている。
 また、政府の方針もあり、自然環境には格別の注意が払われており、産業国となってもその公害基準が厳しいため、自然破壊はほとんど進んでいない。

政治
 他のアイヌ地域同様公国制を採っており、公王自らが直接統治を行っている。
 公王には、最初の王が女性であった事から、巫女としての修行を経た公爵家の女子のみ(養子も認められている。)がその地位に就くことができるとされ、この国の大きな特徴となっている。
 また、公王にして巫女である事を求められ、年老いた場合巫女として後代に託す事が通例とされている事から世襲ではなく、15歳以上をもって即位し、50歳をもって公王を退位、次代に託すのが慣例となっており、さらに、アイヌ本国同様幾人かの候補の中から公王を選出する選王制度も持っている。
 ちなみに、緑豊かな大地である事から、諸外国からは「森の国」の名を贈られ、その成り立ちもあり穏やかな国として見られる事が多い。
 このためか、近代的な産業国家にありながら、その風土は非常に古風で、本土のアイヌ人ですら、昔のアイヌを見るようだと言われる。
 また、小さいながら精強な軍を保有している事は、あまり知られていない。


文化
 当初は、日本とアイヌの共同開発が進んでいたが、アイヌに主権が移ってからは、純粋なアイヌ系の国として建設が行われ、新国家建設能力に長けたアイヌ官僚の手により、歴史上最も整備された公国制国家として建設が進められた。
 同時に徹底したアイヌ文化の浸透が行われ、本土のアイヌ王国で廃れてしまった風習すらいくつか残しており、ニタインクル本土そのものがアイヌ人にとっての文化の特別保護区のような役割を持っているとすら言われている。
 また、その支配地域にある、カレドニア、フィジーにおいては、本土とは打って代わって、現地文化が尊重されており、その対照をなしてもいる。
 また、ニタインクル本土の先住民族のマオリ族は、日本人の進出による疫病が原因で激減、さらに日本、アイヌの移民の中民族的に同化されてしまい、一部にその文化の痕跡を残すだけとなっている。
 なお、ニタインクルは日本語で「森の国」と言う意味で、まさに名が体を表すという典型となっている。


産業
 中心産業は、19〜20世紀初頭においては、モンゴルによって普及したアイヌ伝統の放牧が主流だったが、産業の近代化にも力が入れられ、第二次世界大戦以後は、精密機械工業にその重点がおかれ、現在においては日本帝国内はもとより世界的にも機械工業の国として認知されており、「太平洋のスイス」と呼ばれる事もある。
 また、カレドニア島には巨大なニッケル鉱山があり、近年の需要の伸びもあり、その開発に力が入れられている。
 なお、日本帝国における南半球唯一の拠点として、漁業基地が設けられており、当然漁業も盛んである。


歴史
 1642年、オランダ人アベル・タスマンが「発見」。この時ニュージーランドの名前が付けられた。
 その後18世紀初頭に日本人によって「再発見」され、1759年瑞穂諸島と改めて命名、領土化される。以後日本とアイヌ共同の支配領域として少しずつ開発が進む。
 開発当初は、日本の江戸幕府の下部組織である移民省がアイヌ政府と共同で行っていたが、1824年の日英戦争の結果、その帰属がアイヌに移管し、名前もニタインクル諸島に三度改名され、以後アイヌ型の国家としての建設が進められた。
 以後、アイヌ人たちはこの国を一つの政治的実験地域と認識し、積極的に開発を行いアイヌ的人工国家を半世紀かけて作り上げることになる。
 また、19世紀後半日本全土を覆った革命にも無縁で、また他に紛争になる地域も存在しない事から日本帝国でもっとも平和な「森の国」として認知されている。


第二章 日本帝国内のその他の地域