■長編小説「虚構の守り手」

●コラム「史実関連資料」

 ●日本帝国陸軍

 終戦時(昭和19年8月)満州を中心に、いまだ日本陸軍が多数駐留しており、彼らが一斉に造反する事で日本の混乱がもたらされたと言っても間違いない。ここでは、彼らの初期兵力について少し見ていく。

 昭和19年8月時点での主要駐留部隊

 ・満州
戦車第1師団(拓) 編成地:満州、補充担当(福岡)
独立戦車第1旅団
第11師団(錦)  編成地:善通寺(四国)
第12師団(剣)  編成地:久留米(九州)
第23師団(旭)  編成地:熊本(九州)
第25師団(国)  編成地:満州、補充担任:大阪
第57師団(奥)  編成地:弘前(東北)
第71師団(命)  編成地:満州、補充担任:旭川
第107師団(凪) 編成地:満州、補充担任:弘前(東北)
第112師団(公) 編成地:満州、補充担任:久留米(九州)
機動第1旅団(関東軍直轄)
第15国境守備隊(虎頭国境守備隊)
 ※他の国境守備隊は、本当に形だけとなる。虎頭要塞は、40cm砲をはじめ巨砲が多数ある大規模な要塞。

 ・朝鮮
第79師団(秦)  編成地:羅南、補充担任:朝鮮

 ・華北
第39師団(藤)  編成地:広島、補充担任:広島
第59師団(衣)  編成地:華北、補充担任:柏
第63師団(陣)  編成地:華北、補充担任:宇都宮
第117師団(弘) 編成地:華北、補充担任:柏(編成間無し)
第118師団(恵) 編成地:華北、補充担任:京都(編成間無し)

※支那派遣軍から「大陸日本」に合流する戦力の多くは、距離の問題から華北の部隊が殆どだったが、一部に華中、華南に居た部隊も独断で動くなどして小規模で合流している。

 ・満州国軍(総兵力 約8万名)
 基幹部分には日本人将校が多く、満州国の軍隊というよりはゲリラ討伐用の日本軍としての性格が強い。
 ・第1〜第5軍管区
師団規模で各1万から1万5千名程度。
 ・興安警備軍
東西南北とあり、各大隊規模。
 ・江防艦隊
河川警備艦隊。規模は極めて小さい。

※史実昭和20年8月時 関東軍隷下部隊
 師団24、戦車旅団2、旅団1、独立混成旅団9、国境守備隊(虎頭要塞の第15国境守備隊)等を基幹とする兵員約75万、火砲約1000門、戦車約200両、飛行機200機程度。うち、在満日本人による終戦間際の根こそぎ動員数25万人。華北、朝鮮からの移動が合計5個師団。
 終戦時の朝鮮半島では、在朝鮮軍のほとんど20万人が済州島に展開。米軍上陸の可能性があるため。

※史実昭和17年9月 戦力ピーク時関東軍隷下部隊
 師団14、戦車師団2、戦車旅団1、騎兵旅団1、国境守備隊13、独立守備隊9 独立砲兵聯隊19、独立砲兵大隊14
兵員約65万、戦車675両、装甲車155両、飛行機750機

※史実昭和20年8月時 支那派遣軍隷下
 終戦時(昭和19年8月)、支那大陸には27個師団、34個旅団、計100万の大軍を擁し、その大半は大陸の奥深くに展開していた。
 また、「一号作戦」通称「打通作戦」を推進中で、昭和19年8月初旬だと第二段階を終えたばかり。華北は警備用の部隊が主力。

・在満州の陸軍航空隊(昭和19年8月初旬)
 飛行中隊数/約56個
 航空機総数/約600機

●初期の大陸日本の人々

 満州国、朝鮮には、1944年末の時点で約7500万人の人が居住している。しかし、全てが日本帝国の支配下にあり、関東軍を中心にした日本の強大な軍事力と、官僚専制制度が一元的な統治を可能としていた。
 ここでは、そうした中での一般日本人の数について考えてみる。



 ●日本帝国海軍

 ■日本海軍の残存艦艇
 (1944年8月15日時点・状態は史実準拠)

■戦艦:9隻
《金剛》《榛名》
《伊勢》《日向》《扶桑》《山城》
《長門》
《大和》《武蔵》

■航空母艦:15隻
《瑞鶴》
《雲龍》《天城》

《隼鷹》
《瑞鳳》《龍鳳》《千歳》《千代田》
《大鷹》《雲鷹》《神鷹》《海鷹》

(《信濃》《葛城》《伊吹》)
 ※( )内は未完成艦

■重巡洋艦:14隻
《青葉》
《妙高》《那智》《足柄》《羽黒》
《高雄》《愛宕》《摩耶》《鳥海》
《最上》《熊野》《鈴谷》
《利根》《筑摩》

■軽巡洋艦:13隻
《多摩》《北上》《木曾》
《五十鈴》《名取》《鬼怒》《阿武隈》
《能代》《矢矧》(《酒匂》)
《大淀》
《鹿島》《香椎》
 ※( )内は未完成艦

■駆逐艦:
・峰風型:(15 → 7)
《澤風》《灘風》《汐風》《秋風》《夕風》《野風》《波風》
・神風型:(9 → 5)
《神風》《朝風》《春風》《旗風》《夕凪》
・睦月型:(12 → 3)
《卯月》《皐月》《夕月》
・吹雪型:(24 → 5)
《浦波》《敷波》《曙》《潮》《響》
・初春型:(6 → 3)
《初春》《若葉》《初霜》
・白露型:(10 → 2)
《時雨》《五月雨》
・朝潮型:(10 → 4)
《満潮》《朝雲》《山雲》《霞》
・陽炎型:(18 → 7)
《不知火》《雪風》《天津風》《浦風》《磯風》《浜風》《野分》
・夕雲型:(20 → 8)
《長波》《藤波》《浜波》《岸浪》《朝霜》《早霜》《秋霜》《清霜》
《島風》
・秋月型:(8 → 6)
《秋月》《涼月》《初月》《若月》《霜月》《冬月》
(※未完成艦は4隻)
・松型:
7隻就役。1隻戦没。1944年内就役予定9隻。

■潜水艦:
潜水艦:
《伊8》《伊12》
《伊26》《伊36》《伊37》《伊38》
《伊41》《伊42》《伊44》《伊45》《伊54》《伊56》《伊58》
《伊46》《伊47》《伊53》
旧式潜水艦:
《伊153》《伊154》《伊155》《伊156》《伊157》《伊158》《伊159》
《伊162》《伊165》
《伊177》《伊182》

※潜水空母の《伊13》《伊14》、《伊400型》は全て建造中。
※呂号潜水艦は割愛。

■その他:
給油艦:《速吸》《州崎》
補給糧:《間宮》《伊良湖》

■備考(1):
 1944年8月15日に建造中だった艦艇のほぼ全てが、建造延期状態を維持。その後、一部の艦艇を除いて建造中止、解体になっている。
 日本分裂時点で、空母とその他の艦船の殆どは日本人の復員任務に従事するか各地で整備状態。潜水艦のほとんどは、連合軍の命令で事実上の活動停止を命令されている。
 このため、クーデターに加わったのは、戦艦、巡洋艦の約3割、駆逐艦の2割程度になる。

■備考(2):
 戦後五年以内に、日本列島に残った艦艇のうち休止機関の多くが予備役もしくは退役・解体。
 賠償艦は大型艦ではなし。連合軍の調査のみ受ける。
 1950年で日本列島に残る大型艦は、戦艦《大和》《武蔵》《長門》《金剛》《榛名》、空母《信濃》《瑞鶴》《雲龍》《天城》《葛城》のみ。軽空母、低速軽空母は改装して各種支援母艦に戻すか、装備を全て外して民間に払い下げ。