アルザス級(ALSACE)級戦艦
同型艦
要目(新造時)
備考 「ガスコーニュ級」の後継艦として計画建造された超大型戦艦。また、フランスが最後に計画した戦艦でもあります。 同級は第二次世界大戦後のフランス本土の政府により計画されたもので、当初は単に初期の計画通り「ガスコーニュ級」の二、三番艦として予算通過されたのですが、海洋列強国が次々と大型戦艦を建造する流れに乗るため、そして海外に成立したもう一つのフランスを名乗る反徒たちが「リシュリュー級」を全艦保有している事などから、これに対抗・凌駕するため砲塔を一つ多く搭載し、防御力を格段に強化した同級に計画が変更された経緯があります。 つまり本級は、不肖の片割れに対抗するという目的もありましたが、他の欧州海軍を仮想敵としたものではなく、太平洋の列強を意識して建造された初めてのフランス戦艦という事になります。 このため、改定時の最大改訂案では、船体をさらに大きくし(満載7万頓以上を予定)、18インチ砲を三連装で3基搭載した案もありましたが、自国にそれ程巨大な主砲の開発能力がない事と、少しでも早く建造を行うべきだと言う向きが強かったことから、既存の主砲システムを応用しただけのオーソドックスな案にまとめられました。 本級のレイアウトは、それまでのフランスの新造戦艦に比べると実に平凡で、1、2番砲塔を背負い式にして後方に3番砲塔、そしてそれぞれの主砲のすぐ後ろには副砲、舷側には多数の防空火器。砲塔が4連装砲塔という特徴こそ生きていましたが、各国で多く建造された戦艦と何ら代わることのない姿をしており、このため実にバランスのとれた艦様をしています。 また、「ダンケルク級」から続くというよりは、フランス艦の伝統とも言える重防御は本級にも強く反映されており、実際の装甲防御力は、対向者を意識して装備が断念された45口径18インチ砲に対応するものが施されています。 この点では、ドイツ戦艦と似たような仕様とも言えますが、スーパーチャージャーを搭載したヘビーシェルを打ち出す38センチ砲12門の砲力も極めて強力と言え、フランス海軍が新時代の「戦列艦」として同級を誇りに思っているのも無理ないと言えるでしょう。 また、カタログデータでは実にバランスの取れた高速戦艦である事には変わりなく、各国の戦艦を総合的な戦闘力で評価するとある研究機関でも、同程度の戦艦の中では最も高い評価を同級に与えている節があります。 運用実績も良好で、欧州最良の戦艦と呼ばれています。 なお、2番艦の「ノルマンディー」は、世界で最後に就役した戦艦で、第三次世界大戦中盤以後の幾多の戦役で姿が見受けられた事も重なり、同国の象徴のような印象を世界に与えることにもなりました。