フリードリッヒ・デア・グロッセ(FREDERICH DER GROSSE)級戦艦
同型艦
要目(新造時)
備考 他国が無条約時代に対応したさらなる大型戦艦を建造するのに対して「シャルンホルスト級」では威力不足と判断された事から、第二次世界大戦中に起工された大型戦艦。 その目標は、仮想敵国たるアメリカもしくは一応の友好国であるイギリスの新造戦艦にあるとされ、そのため16インチ高初速砲の搭載に踏み込んでいます。 これを、「シャルンホルスト級」以上の射撃システムを搭載した主砲塔に納める事で主砲の発射速度の維持・強化を図るなどの努力もなされ、それまでのドイツ製巨砲の特徴である1ランク上の砲に匹敵する能力を持っており、6万トン級の船体に16インチ砲の8門装備と言う、他国に比べると一見軽装備ながら十分満足しうる戦闘力を保持していました。もちろん、その装甲防御力は、中距離射撃においてなら実質的には45口径の18インチ砲にすら耐えうる構造を持っているとされており、重防御で定評のあるドイツ戦艦の寵児としての側面は維持していると、世界的には評価されていました。 ただし、この時点においても副砲と高射砲を混載している点は、日英米が両用砲として副砲と高射砲を統一しているのに比べると若干古くさいとも言えます。もっともこの点は、フランス、イタリアの戦艦も同様でしたし、欧州の狭い海では戦艦と言えど軽艦艇と直接対峙する場面も多いと見られ、まだまだ副砲が必要と認識されていましたので、一概に旧式であると断ずることはできないでしょう。 そして、これまでとの最大の違いはその装甲配置と船体の見えにくい点での変更です。 比較的分かりやすいのが、艦首あたりの構造がより外洋での行動に適した形にされ、それまでのドイツの海防戦艦的性格のものから、外洋航行にも優れたものとされています。 また装甲配置は、それまでのドイツ艦が艦の戦闘力を維持する事を目的とせずに、艦が浮いている事を目的としたものだったのが、日英米と同様に戦闘力の可能な限りの維持を目的としたものに変更されています。これは、ドイツでの戦艦戦力の増大とアメリカとの本格的対立を考えた為とされていますが、それまでの設計が遠距離での砲撃戦をあまり前提としていない点に、ドイツ人自身がようやく問題を感じたからだというのが通説となっています。 また、それ以外の点では、「シャルンホルスト級」で採用された船体設計、ディーゼルと蒸気タービンの混載、艦上部構造物の類似など非常に似通っていましたが、前後に背負い式に装備された主砲とその他の構造物の調和と重厚さから、本級をもってドイツの戦艦設計は頂点を迎えたと言われています。 なお、本艦の建造には、条約明けと共に徹底改装されたMJ12で同じ16インチ砲搭載(ただしこちらは旧式の45口径砲)の「ビスマルク級」の改装、運用経験も活かされており、そのためより艦様が少し似ていて、「ビスマルク級」がさらなる改装で同じ主砲を装備してからは統一行動をよくとるようになっています。