リットリオ(LITTORIO)級戦艦
同型艦
要目(新造時)
備考 イタリア海軍が、フランスの「ダンケルク級」、「リシュリュー級」の建造に対抗して、1934年と38年に2隻ずつ計画・建造した条約型戦艦です。 条約型戦艦なので基準排水量は対外的には35000トンとされましたが、実質的には41000トンもあり、それまで改装された戦艦の新技術蓄積を反映させた近代的な戦艦として完成しています。 最大の特徴は、カタログデータではアメリカ海軍の50口径406mm砲を凌駕する50口径38.1cm砲です。 当初は、40.6cm砲6門搭載という案もありましたが、製造実績のある38.1cm砲に落ち着き、装備数も9門と戦艦としては妥当な門数になっています。 イタリアの技術的な限界から主砲発射速度が遅いのが難点でしたが、50口径と言う長砲身から放たれる砲弾の威力は欧州随一と言っても良く、列強が建造した条約型戦艦の中では近接砲戦能力は最も高い数値を示しています。 また、防御構造においては、独自のものが取り入れられており、特に水雷防御は燃料タンク内に衝撃圧吸収用の円筒を設けるという方法を採用しています。 ただ、水線部装甲は11度のテーパーをつけて350mmと、これだけなら列強の戦艦と比べても重防御なぐらいに直接的な装甲があるとされていましたが、実際は80mmの被帽破壊用硬化鋼と250mmの隙間を空けて280mmのKC装甲の2層で装甲が施されている形になっており、さらに水平甲板は100mm、他の装甲板を合わせても148mmしかなく、これが防御力に関してては各国の間でも低い評価しかされない最大の原因になっています。 さらにイタリア艦最大の特徴として、地中海という波の穏やかな海での高速力を発揮するために、喫水幅比を大きく取り、また球状船首を採用するなどの努力がなされています。 このため、地中海での速力試験では130000馬力の出力ながら、計画通りの30ノットの最大速力を達成しており、速度重視の設計を行うイタリアらしい戦艦と言われるに至っています。