■解説もしくは補修授業「其の四」

 さて、いよいよ架空戦記の山場の一つ、山本とニミッツの運試しとも言えそうな「MI作戦」です。
 ただし、ハワイ作戦、インド洋作戦、珊瑚海海戦の状況から、この作戦に南雲艦隊は、六隻の空母を動員できるようになっています。しかし、南雲艦隊に随伴すべき金剛級が一隻しかあてられない為、第二戦隊より、《伊勢》《日向》が護衛として分派されます。そしてこれにより、南雲部隊はレーダーを持つ事になるという、ご都合主義的解釈は如何でしょうか。
 今までの想定が全て通過しているのなら、それほど無理はないと思います。《伊勢級》の最高速力の低さが少し気になるところですが、後に同程度の速力の《隼鷹級》空母や《長門》が大きな問題もなく運用されている事を考えると、許容範囲ではないかと思います。
 また、空母の搭載機や戦術についてはインド洋や珊瑚海での戦訓を活かし、航空隊の再編成の際に戦闘機を若干多めに搭載するようになっているとします。
 数字的には、各母艦一〜二個分隊(三〜六機)の艦戦の増加、その分艦攻・艦爆の減少となります。さらに艦載機が《隼鷹》に取り上げられた《鳳祥》は不参加になり、各正規空母には史実で《隼鷹》に配備される予定の戦闘機隊が一部組み入れられているので、数字合わせもある程度なんとかなる筈です(笑)
 なお、《扶桑》《山城》《鳳祥》を参戦させなかったのは、今までに史実より派手な戦争しているのでその分の燃料を節約させるためとなります。

 そして、アメリカ軍はこの世紀の大艦隊を空母《ヨークタウン》《ホーネット》《ワスプ》の三隻で迎撃する事となります。他方面(モレスビー)に戦力を取られたため、ミッドウェー守備隊も史実より少し弱っちくなっています。
 戦力比は史実の四対三ではなく六対三となり、航空機差も基地機を含めても四〇〇対二五〇で一・六倍の格差となります。パイロットの質の差を考えると、攻撃力の差は二倍以上と見ても特に問題はないかと思います。
 こうなると、結果は火を見るより明らかでしょう。ミッドウェー島攻撃隊も史実の五割増の戦力で第一次攻撃するのですから戦力の不足はないでしょう(当然二次攻撃の必要はなし)。伊勢の電探により、ある程度敵の行動を察知できるから、あれ程無様な奇襲・損害を受けることはないでしょう。さらに直援戦闘機も若干多くなり、当然爆弾も格納庫内には散らばっていません。
 さらに、日本側は大型母艦、艦載機の数が多くなるので、精神的にゆとりも大きいでしょうから、索敵も通例に従って通常の二段索敵される可能性が大きくなり、米艦隊発見が遅れる事は少ないでしょう。
 そして、ここからランチェスターモデルに従えば、ミッドウェーの存在を加味してもアメリカ機動艦隊の勝利の可能性はさらに低くなります。真っ正面から殴り合えば、アメリカ軍は全滅し日本軍は損傷艦こそ出せ勝利する事となる、というのが順当な結果となってしまいます。
 なお、日本軍には幸運の女神様が常に付いている、という大前提なので、不幸な被弾や誘爆はないものとしますので、ここでの日本正規空母の撃沈ありません。
 それでこそ、日本マンセーな架空戦記と言えるでしょう(w


■フェイズ〇五「セカンド・ステージ」