■解説もしくは補修授業「其の九」

 さて、これほど日本軍に都合よくビルマ戦線が推移するでしょうか。
 恐らく単独では否と答えるしかないでしょう。
 確かに一九四三年春までなら日英の戦力はほぼ拮抗しており、制空権もどちらの手にあるという状況にはありませんでした。ですが、一九四四年に入れば連合国の圧倒的な物量が全てを飲み込むようになり、これが史実であるなら、終戦までにビルマのほぼ全域から日本軍は叩き出されてしまいます。しかし、日本陸軍単独では補給路(泰面鉄道)が完成しないため、一九四四年に入らないと、攻勢作戦を取る事はできません。
 しかも日本軍は、一九四四年春に無謀としか言いようのない攻勢作戦を行って自らの戦力を枯渇させて、防御に必要な戦力すら失って成すところありませんでした。そして連合国の物量の前に十五万人以上の日本軍将兵がもみ潰されていきます。
 これは日本がよほど有利な状況を作り上げない限り規模の大小の差はあるが訪れる破局であり、この時点で英国が降伏しているなどという架空戦記らしいフラグが成立しない限りあり得ない事でしょう。もちろん、日本の軍事力が史実の数倍あれば話しもまるでかわってきますが、ここでは史実と同じ日本という想定なので、どれほど楽観的に考えても日本軍には一時の栄光を与えるしかないでしょう。
 日本が支那事変を起こさず、戦争開始時点での基礎体力がもう何割か大きければ話しも違ってくるような気もするんですけどねぇ・・・。

 そう言うワケで、ここでの展開は日本側に他よりもやや甘くしています。
 インド四億人の手助けがないと、ここじゃ勝つどころか土俵に残ることすら難しいですからね。

■フェイズ十
 「全般状況と日本の総力戦体制」