●海軍

 定数11・5万人・海上保安隊含む

 海軍は、日本の軍事予算の約半分を消費する巨大組織。組織内に、陸海空全ての軍事力を有しており、世界的に見ても規模はアメリカに次ぐ大きさ。中でも、アメリカ以外で唯一大型攻撃空母を持つ事は、海上プレゼンスに大いに貢献している。また、戦略原子力潜水艦も運用しており、空母のシステマティックな運用と合わせて、莫大な予算を消費している。

 ・組織・編成
  ・組織・編成
・連合艦隊
  第一・二・四艦隊(空母機動部隊)
  第三艦隊(揚陸支援艦隊・水上打撃艦隊)
 ・地方隊
 ・潜水艦隊
・海軍航空隊
・海軍陸戦隊

・海上保安隊(コーストガード)

 ・主要軍港
択捉、大湊、横須賀(母艦)、舞鶴、呉(母艦)、佐世保(母艦)、高雄

 ・海軍航空隊基地(大規模型)
択捉、下総、厚木(母艦)、岩国(支援)、大村(母艦)、鹿屋、金武、台南、硫黄島

 ※海軍航空隊
 文字通り、海軍の持つ航空戦力。攻撃空母に属する各種航空機群、基地所属の対潜哨戒機、各艦艇搭載のヘリ部隊、強襲揚陸艦所属航空隊と多岐に渡っている。運用する機体の種類は空軍を上回わり、単独で空軍に匹敵する機数を誇る。ただし、長距離航空輸送力は脆弱。
 艦艇搭載部隊は、主に航空母艦上での海上機動任務になり、攻撃的な機体が多いのも特徴。
 その規模の大きさから、「もう一つの空軍」とも呼ばれる。

 ※海軍陸戦隊
 文字通り海軍が保有する地上戦力。その任務は米海兵隊のような強襲上陸ではなく、核兵器搭載艦艇の警護、各海軍施設の警備などの役割を担う。例外として、海上からの偵察活動が含まれる。近年では、海上での対テロ・対海賊任務が重要度を増している。
 このため、歩兵戦闘中心に訓練された6個大隊を持つ。
 第一〜四が各鎮守府所属で(横須賀、舞鶴、呉、佐世保)、第五が核兵器警備、第六が辺境施設の警備になる。
 日本海軍は、伝統的に初期の教育で「兵隊」の教育として陸戦訓練を行う。そこで選抜された兵で構成されるため、兵員全体の質は高い。ヘリによる降下訓練を施される事が多いなど、空挺部隊やいわゆる特殊部隊的傾向が強い。
 一方では、海軍が有する大型の強襲揚陸艦は陸軍部隊を輸送するのが目的なので、海軍陸戦隊がまとまって乗艦することは少ない。
 部隊総数は、常設で3500名程度と小規模。ベトナム戦争の頃に、一時倍近い規模に膨れあがった。
 装備は、各種ヘリ、小型ボート、軽装甲車、迫撃砲、各種携帯型ロケット又はミサイルまで。ほかは、重機関銃以下の歩兵装備になる。戦車、重砲などの重装備は持たない。
 任務の性格上、「海軍の番犬」と呼ばれる事もあるが、ベトナム戦争や湾岸戦争にいち早く派遣されるなど、身軽さや即応性を活用して各地に派遣されている。このため一部の国からは、日本の侵略の尖兵と呼ばれる。
 なお、白い碇マークをあしらった黒いベレー帽を被ることから、ブラック・ベレーと呼ばれることもある。

 ※海上保安隊
 海上警備と沿岸防衛のため、海軍の海上護衛総隊と各鎮守府を基幹に新たに編成された組織。
 組織上は、海上警察活動を専門に行うため、兵部省ではなく内務省に属し、軍隊ではなく海上警察である。しかし、母体が海軍なので、海軍との関係は比較的良好。装備の一部は、海軍の旧式装備を流用している。
 1950年の海軍再編成の折り、「海上保安隊」として海上警備を担う組織として正式発足。
 また、日本国に属する広範な地域での臨検、海賊対策を想定しているため、小規模な国家の海軍を上回る装備、能力を持つ。
 近年は、国境近辺の海域での海賊活動阻止のため、高速艇の大量配備が進んでいる。
 人員規模は、約1万5000人。
 国内では軍に含まれないが、海外では含まれている。

・艦艇
・常備艦隊
 航空母艦:3隻
  「翔鶴」(原子力・8万7千トン)
  「蒼龍」(原子力・8万5千トン)
  「飛龍」(原子力・8万5千トン)
  「加賀」(通常動力・8万トン)※練習艦
※10年に1隻程度で新造艦を建造。

 強襲揚陸艦:3隻
  「大隅」「下北」「国東」
※国産の空母型艦艇。3万トンクラス。米海軍ほどではないが、優秀な強襲揚陸能力を持つ。

  電子指揮艦:1隻 「三浦」
※70年代にライセンス建造した米「イオージマ級」を、電子指揮艦に大改装したもの。

 大型水上艦艇:35隻
  防空巡洋艦:10隻(イージス・1万トン級)
  防空駆逐艦:2隻(6千トン級)
  汎用駆逐艦:22隻(5〜7千トン級)
 沿岸防衛用艦艇
  汎用海防艦:8隻(2〜4千トン級)
  コルベット:12隻(1千トン級)
  高速ミサイル艇(小型):12隻
  掃海艇:31 隻(+母艦2隻)
 支援艦艇・他
  各種揚陸艦艇:7隻(小型〜中型LST)
  高速補給艦:8隻(2万〜4万トン)
  各種母艦(潜水・掃海):4隻
  練習艦・実験艦・予備艦・他:多数
  砕氷船:2隻(1隻は南極観測用、もう1隻はオホーツク海警備用の海防艦扱い)

※1:沿岸防衛は、80年代後半より人員削減のため、汎用型の高速ミサイル艇が各部隊に配備。その後、多目的コルベットを多数整備中。
※2:練習艦・実験艦・予備艦の中には、予備に回された駆逐艦や海防艦があり、短期間で戦闘任務に就ける艦艇も多い。また、予備艦の数は常時2個戦隊分確保されている。
※3:空母3隻のうち1隻は、実質的に予備扱い。他2隻が長期整備や改装の時に実働。残り1隻は予備役+練習空母扱いで、稼働艦が減っている時に練習空母として使用。
※4:防空巡洋艦は人員の関係から追加建造は難しいが、通常の半分の能力を持った簡易イージス艦の建造が進んでおり、DDGとDDの垣根が低くなっている。
※5:旧式化した艦艇は、多くが諸外国に売却されている。特に汎用駆逐艦、海防艦のニーズは多く、艦齢20年を経過した艦艇の過半は売却されている。
※6:イージス装備艦のうち4隻は、常にミサイル防衛任務に向けられている。
※7:戦艦はモスボール保管状態。予備役として艦籍名簿に名を留める。

・潜水艦隊
 戦略原子力潜水艦:6隻 (1・6万トンクラス)
 原子力潜水艦  :12隻(6000〜7000トンクラス)
 通常潜水艦   :8隻 (2000トンクラス)

※1:戦略原子力潜水艦は、90年代に建造されたトライデントD搭載の二世代目。艦名には、旧海軍の戦艦名を付けている。
※2:近日、旧式の2隻を巡航ミサイル搭載型にして、核軍縮も同時に行う予定。
※3:攻撃型原子力潜水艦は二〜三世代目にあたるが、現役の場合最も古いものでも艦齢20年。
※4:毎年一隻、通常、原子力のどちらかの潜水艦が就役している。原子力潜水艦の艦名には、明治時代の巡洋艦の名を付けている。
※5:練習潜水艦として通常、原子力各1隻ずつの旧式艦が常に存在。他にも実験艦隻などで数隻保有。有事には現役復帰も可能。
※6:海軍艦艇は日本海軍で退役すると、その多くが各国に安価売却されるため、艦齢は平均15年程度で維持されている。ただし原子力潜水艦、空母は輸出対象外。
※7:近年、潜水艦を総数で6隻増強が決定。これに伴い、各艦の現役状態を伸ばす予定。

・海上保安隊(コーストガード)(定数約1・5万人)

 巡視船・装備数概要
  大型ヘリ搭載巡視船:21隻
  砕氷巡視船:5隻(北方専用)
  中型巡視船:33隻
  小型巡視船:35隻
  小型高速巡視船:21隻
  中・小型巡視艇:多数

  各種航空機:約90機(予備約50機)

※予算の制約もあって正面規模は限られている。しかし、海軍の「お古」を多数流用した予備艦艇、航空機を有するため、有事の際にはかなりの規模拡大が可能。

・海軍航空隊(定数約3万人)
 母艦航空群:3 ※うち1つは、練習航空隊も兼ねる。
(各隊・FA6A:36、FA6R:6、S3BJ:10 他:8 ヘリ:6) ※アメリカの空母航空団よりも一回り小規模。

 支援航空群:1(揚陸艦配備・約80機)
 (輸送ヘリ:18、AV8:8)×3

 基地航空群:7(固定翼:6、ヘリ1)
 (PS3C:98、その他の航空機:21、ヘリ:90)

 総数:約540機(実戦部隊のみ)

※パイロット年間飛行時間平均
  ヘリ :200〜240時間
  固定翼:260〜320時間

※訓練航空群4個飛行隊有り。うち一つは、実戦機と同様の機種を装備し、有事の際は動員が可能となっている。数は通常の母艦航空隊の半分の規模。