■あとがきもしくはいいわけ

 よくぞここまでたどり着いた我が精鋭達よ(笑)

 さて、如何だったでしょうか。お約束的状況から始まった筈の架空戦記は?
 え、ヤッパリ「バババババー!」ていう擬音がないと寂しい、熱い会話や手に汗握る戦場でのドラマがないのは物足りない、ですか?
 じゃあ、今度は管理人にせっついてそう言う「小説」を書かせますので、今回はこれで我慢してくださいね〜。

 さて、私個人としては軽い気持ちで始めたこのコンテンツでしたが、皆さんにとってはいかがだったでしょうか。
 私は、いつもは簡単な統計数字やグラフ・表以外無視して物事を追いかけます。お金の問題も、なるべく丼勘定で追いかけます。
 ですが、今回書くに当たって資料を調べ直したりすると、意外に知らなかった事、間違って覚えていた事、先入観で思いこんでいた事などのおかげで、新たな発見(?)も沢山ありました。
 そして、私自身が大東亞戦争を見返すという点では、とても意義深かったです。
 そしてそこで感じたのは、知るためだけに読むという資料の探し方も良いが、何らかの方向性を持って史実の資料に向き合うのも一興ではと言うことです。視点を少しでも変えれば、必ず新しい発見があるのだと少しばかり考えさせられました。
 ただし、気楽に始めたという点からなら、今回も大失敗でした。断言します(笑)
 このあとがきなどの戯れ言の数々を含めると、原稿用紙にして1000枚以上に達してしまいました。長編小説で一番薄っぺらい作品が、原稿用紙200枚と言われますから、当初予定の二倍以上の分量に達した事になります。
 相変わらず、文章調整ができていないのは、私自身にとっての反省材料でした。

 なお、この作品は、当サイト(太陽帝国)が大河ドラマ型「架空史」、多数分岐型「架空戦記」という二つの路線を突っ走っているので、一つぐらい「オーソドックスな架空戦記」があってもよいのではと思い始めました。そして本コンテンツは、そうしてサイト設立初期に箇条書きレベルで送り届けたものの大幅改訂版になります。
 なお、史実の分岐点として大東亞戦争開戦時から扱ったので、今回のような流れになりましたが、「十五年戦争」とサヨクセンセー方が言うタイムスケジュール内でも色々フラグは存在すると思います。
 そして、これ以前で近代日本に「有利なフラグ」なら、日露戦争の帰趨そのものと、小村=ハリマン協定の締結が最大の分岐点になるでしょう。また、「十五年戦争」の期間内であるなら、「満州事変」、「浜口雄幸首相暗殺未遂」、「永田鉄山暗殺」、「五・一五事件」、「二・二六事件」、「支那事変」、「三国防共協定」、「ノモンハン事変」、「三国軍事同盟」、「日ソ中立条約」、「仏印進駐」など様々なフラグがあります。
 そして架空戦記ファンとしては、どれも魅力に溢れた食材です。これらすべてをバタフライさせれば、派手なだけの戦争などなくとも、非常に面白いものができあがるでしょう。誰か地に足が着いたストーリーで、しっかりと書いてくれないでしょうか。
 ただし、日本の国家財政の視点から見ると、浜口雄幸内閣が崩壊した時、もしくは三六年の予算編成で陸軍の反発から高橋是清が縮小財政に失敗した事が、大日本帝国が崩壊に向かうかどうかの最後の分岐点ではないかと思います。
 張作霖爆殺で始まり、浜口雄幸内閣が暗殺事件を原因として崩壊した時点で撃鉄が起こされ、陸軍の動きを阻止できなかった高橋是清が自ら行った危険な拡大経済政策に匙を投げた時点で、日本の軍部の暴走と国家財政の崩壊が始まっています。後は、戦争がどうなろうが、日本の国家財政破綻という構図に変化ないでしょう。各種クーデター、クーデター未遂や支那事変以降の動乱は、事態を加速させたに過ぎません。それが私が結論に至った、ファンタジーを排除した当時の日本の状態なんですよね。
 ただこんな素材は、本来の影響が致命的な割に、地味すぎて市販品の中では使えないでしょう。「大逆転 高橋是清財政改革に成功す!」や「浜口雄幸首相暗殺を阻止せよ!」じゃあ誰も手に取りませんよね。まあ、ナゼか設立された重武装警察が最初の改竄点になり、政治謀略、青年将校、帝都、クーデターが重要素材になるので(その後の日本の行く末はエピローグ程度でよい。)、押井守氏の作品みたいなのができそうですが(苦笑)

 話が随分逸れましたが、とにかく今回は史実になるべく沿って進みながらも、可能な限り日本にとって有利な戦争終結までを描き出すことに重点を置いて推し進めてみました。
 だから、史実の資料そのままの転載もありますし、どこかで見たような文章、展開に出くわすかもしれません。まあこの点、寛容な目で見ていただければと思います。
 それに、そう言う意図は、「あえて」含ませています。オーソドックスさも、今回のテーマの一つでしたからね。

 なお、この作品をもし小説化するのなら、すべてを組み直して人物とそれなりの物語を配したうえで『軍艦大和の航跡(異聞・大東亞戦争)』と言ったあたりの名を付けたいですね。もちろん、夢は三隻並んだ大和級戦艦がレイテ湾に突っ込む表紙を、高荷先生に描いていただく事ですよ(笑)

 では、また違う平行世界で逢いましょう。

文責:扶桑かつみ 二〇〇五年七月吉日

あ、そうそう忘れるところでしたが、エンディングという事で最後に彼女を紹介して終わりたいと思います。

 

軍艦「信濃」(1945年1月状態)および USS「Montana」(1951年10月状態)