●年表改訂の概要

 宇宙戦艦ヤマト史においてヤマトは、劇場版の「完結編」では西暦2203年に水惑星アクエリアスの残骸に沈んだことになっている。しかしテレビ版の「III」(※一般認知度が一番低い)では、劇中時間は西暦2205年の開始となっている。「完結編」で急に変更になったのは、ひとえに西崎監督の鶴の一声が原因とされている。
 しかし時間経過から時系列を順に追っていくと、「III」の西暦2205年開始の方が妥当なものとなる。そこで今回は、「III」を西暦2205年「完結編」を西暦2206年となるように修正していきたい。
 もちろん不満に思われる方もあるだろうから、ここで少しおさらいをしてから年表に移りたい。
 もっとも、年中行事のようにやって来る異星人の襲来を、最低でも5年から10年置き、できれば四半世紀間隔ぐらいにしたいのではあるが……。

・ヤマト完結編に向けて

 さて、「テレビ版第一作(I)」もしくは「劇場版第一作」は、劇中では西暦2199年に始まっています。
 正確には、2199年8月21日に冥王星宙域で地球防衛艦隊とガミラス軍との戦闘があり、「ゆきかぜ」が沈んでしまいます。そこから10月に「ヤマト」が地球を発進し、翌年の2200年9月13日に、放射能除去装置「コスモクリーナーD」を携えて地球に無事帰還します。この点は、劇中の時間軸の面から見た場合まったく問題がないでしょう。でなければ、再三再四言われた「人類滅亡まで後○○日」というフレーズが意味を成さなくなってしまいます。
 それから丸一年後の2201年9月、ヤマトクルーは英雄の丘で再会し、新造戦艦アンドロメダが処女航海から地球に帰投します。ほぼ同時期、地球は新たな侵略の脅威にさらされ、その調査のためにヤマトは再び旅立ちます。白色彗星帝国との戦いの始まり、テレビ版「II」及び劇場版の「さらば愛の戦士たち」の舞台です。
 なお白色彗星本体は、劇中の解説では発見されてから90日で地球へと到達します。一方、謎のメッセージを発信したテレザート星から地球までの距離は約1万2000光年です。これをヤマトは三ヶ月の間に往復しなければなりません。
 しかし、劇中の開始からヤマト発進までの日数もあります。妥当に劇中の時間を考えれば、4ヶ月程度なければヤマトはテレザートとの間を往復できない事になります。ヤマトは劇中で限界ワープなどという手も使っていますが、白色彗星と競争している時点でテレザートから3ヶ月の旅程に変化を与えることは難しいからです。しかもヤマトは、劇中何度もガトランティス帝国軍やデスラーと交戦してタイムロスをしています。
 以上の事から、最も早くても2202年1月頃に太陽系各所で地球防衛軍及びヤマトと白色彗星帝国軍との戦いがあったと想定できます。しかもテレビ版「II」では、ヤマト損傷から復帰を果たし、さらにデスラーと最後の対決を行った後に白色彗星に挑んでいます。古代君だって、負傷から復活しなければいけません。このことから、土星での戦いから地球近傍での戦いまでさらに日数を浪費していなければ、物理的に時間軸が合わなくなってしまいます。この間、約一ヶ月といったところでしょうか。
 そしてテレビ版「II」の終幕から一ヶ月後、今度はテレビ版特別編の「新たなる旅立ち」が始まります。この時、劇中のヤマトは新たな乗組員を迎え入れた後に、デスラーからイスカンダルの危機を伝えられて、急ぎイスカンダル星への旅路につきます。
 この時、時間に関する解説や台詞はなかったのですが、ヤマトが日本近海で新乗組員を迎え入れる風景は春を思わせます。
 出発後のヤマトは、辛くもデスラーの救援に間に合い、イスカンダルの救援活動を行います。(※今回はゲーム版設定(PS2版)を使用するため、イスカンダル星はサンザー太陽系内で救われると想定します。)
 この時の移動時間をテレビ版「II」時点での限界ワープ2000光年という設定から割り出すと、片道は最短約37日となります。しかしこれでは、暗黒星団帝国の脅威からイスカンダル星とデスラーを救えない可能性が高くなります。
 一方ゲーム版では、デスラーが超長距離ワープの技術を地球側に伝えた事で、極めて短時間で救援に間に合っています。ちなみに、このゲーム版のワープ設定だと、星間物質の少ないところ(銀河と銀河の間など)では、装備さえあれば事実上の無制限ワープができるらしいです。
 少し脱線しましたが、以上の事からここではゲーム版設定を採用し、劇中時間は一ヶ月以内という事にします。これで2202年3〜5月頃です。そしてヤマトは、古代守とスターシアと古代守の子供、サーシアをつれて地球に戻ります。
 そしてヤマト帰投から約一年後、突如出現した重核子爆弾により地球は暗黒星団帝国に占領されてしまいます。つまり、劇場版「永久に」開始の時点で2203年3月〜5月です。
 かくして辛くも地球から脱出したヤマトクルーと共にヤマトは再び遠征へと旅立つのですが、今度の敵本拠地は40万光年彼方です。しかもガミラス同様に相手の本拠地はまるで分からない未知なる敵です。いったいどれほどの時間が、劇中で経過するのでしょうか。
 劇中では時間に触れられることはないのですが、地球脱出時に負傷して逃げ損ねた森雪の状態が一つの指標となります。彼女は負傷し、そこから回復して後にパルチザン運動に参加しています。我々の常識から考えると、数ヶ月は必要でしょう。また地球側の残党がパルチザンを組織して重核子爆弾の起爆装置解体に向かう頃、ヤマトはようやく敵母星へとたどり着きます。これにも、組織の再編成から情報収集など考えると、数ヶ月は必要となります。
 しかも暗黒星団帝国母星と地球との距離は、イスカンダル星の約三倍の距離です。これらの事から、片道は最低でも三ヶ月程度と考えられます。またゲーム版では、敵に翻弄されて暗黒星団や白色星団の中を行ったり来たりしています。恐らく、敵母星に至るまでに、半年程度が浪費されているでしょう。
 以上の理由により、暗黒星団帝国との戦いが終わりヤマトが再び地球に戻ってくるのは2203年暮れとします。
 そしてさらに一年後、再び乗員を補充して訓練に励むヤマトと復興した地球は、ボラー連邦とガルマン・ガミラス帝国の星間戦争に巻き込まれてしまいます。
 しかもその余波により、ガミラスの惑星破壊ミサイルが太陽に命中し、太陽が核融合の異常増進を始めてしまいます。太陽の異常膨張による人類滅亡までの期限は一年。これがテレビ版「III」の舞台です。
 そして期限一ヶ月前にヤマトは、シャルバート星で太陽の異常増進を止めるハイドロコスモジェン砲を受け取り、デスラーの協力もあって地球の危機は辛くも回避されます。
 以上の事から、テレビ版「III」の場合ヤマトが旅立つまでの時間と、そこから太陽を元通りにするまでの11ヶ月が劇中の時間となります。つまり約一年間が必要なので、終幕のタイムスケジュールは2205年暮れぐらいとなります。
 そしてその後、今度は異次元空間より別の銀河系が突如出現し、銀河系核恒星系辺りで星同士が激しい衝突を始めます。この世界の宇宙は、色々大変です。
 そしてヤマトは調査の途中に、ディンギル帝国軍に突如襲われます。このディンギル帝国は、地球から約3000光年彼方にあります。しかし、アクエリアスの影響により自らの母星を失い、アクエリアスの進路上にある地球を奪うべくアクエリアスを利用しての侵攻を開始します。これが劇場版「完結編」です。
 このとき劇中では、アクエリアスをワープさせる事で時間が明確に示されており、彼らは3000光年を二十日間で踏破しているので、劇中時間は多く見ても一ヶ月程度です。
 あまりに短期間の間の出来事になるので、年単位でカウントする必要はないでしょう。唯一の疑問は、テレビ版「III」と劇場版「完結編」との間に存在する幕間の時間です。
 これまでの通例ならば約一年となるでしょう。最低でも、地球が一定レベルで復興してからとなります。民意の点で、未知の敵から奇襲を受けたという状況を作り出すには、どうしても一定期間の幕間の時間が欲しいところです。
 どちらにせよ、劇場版「完結編」は2206年内のできごとであり、約一年というタイムスケジュールを採用すれば2206年暮れが最後の幕という事になるでしょうか。

 以上の事を踏まえて、年表を再構築していきたいと思います。

(ああ、やっぱりそれぞれの戦役の間には、最低でも10年単位の時間が欲しい……。)


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