海岸通ギャラリーオープニング

トワーズ ユートピア展

会期 2000年9月30日〜11月26日
ロバート・C・モーガン教授による
NY Arts Magazine誌(2000年11月号)掲載の評論
その日本語訳

TowardsUtopia - ユートピアに向かって -

 『Utopia』とはギリシャ語の「ユー(ない)」と「トポス(場)」を組み合わせた造語であり、その語源は一五一六年にトーマス・モアが著書の題名につけたことに遡ります。
 一九九三年、ニューヨーク、グッゲンハイム 美術館では「グレート・ユートピア」展、また今年、パリ国立図書館では「ユートピアの歴史」展が開催されました。これらは過去を振り返り、その時代においてユートピアがどのようなものであったかを探る実証的なものです。
 本展は、現在のユートピアがいかなるものであるのか、作品を透過しアートの世界でアーティスト各々が目指すものが何なのかを「観る」展覧会です。世代、個人的背景、表現する方法の違いは明確であ りながら、アーティストは共通言語化された「アート」の世界で各々のアート(Utopia=何処にも無い場)に向かって歩み続けています。その行為には社会的な意思はなく、あくまで個人的な意思のもとに 作品は生み出されます。 アーティストのこの行為はいかなる時代が到来しても繰り返されるでしょう。そして個々の試みは、まだ見ぬ 社会の新しい価値をも生み出すことができると確信しています。
■ 協力:株式会社住友倉庫
■ 協賛:アサヒビール株式会社 株式会社資生堂 松下電器産業株式会社
    住友建設株式会社 住友電設株式会社 日建設計株式会社   
    大和証券SBキャピタル・マーケッツ株式会社 セントラル警備保障株式会社
■ 助成:財団法人野村国際文化財団  
■ 後援:国際交流基金  
■ 機材協力:日本ビクター株式会社  
『この展覧会はギャラリーヤマグチの企画のもとに進められ「実行委員会方式」で実現いたしました。』
 
オープニングレセプション
9月30日(土)午後5時〜7時・海岸通ギャラリー・CASO ラウンジにて
==<終了:多数の御来場ありがとうございました>==オープニングレセプションの模様


桑山 忠明 - project for CASO
 何もないスペースに作品が設置された瞬間つくられる空間は、体験したことのない新たな次元を感じさせる。 空間に踏み入れた時、見る人は時間を忘れ、その空間が一体何なのかを考える作業を始めているだろう。
 1932年名古屋生れ。1956年 東京芸術大学日本画科卒業。1958年渡米、以来ニューヨークにて制作在住。90年初頭からヨーロッパ <チューリヒ(スイス)/ロイトリンゲン、インゴルシュタット(ドイツ)/ブリュッセル(ベルギ−)/ザルツブルグ(オ−ストリア)>、日本<川村 記念美術館、千葉市美術館、北九州市立美術館>で「one project for one space」を展開。今回で15作目。

 

五感の芸術 -その身体性の拡張
 石原友明は写真を使うことによって視覚を、藤本由紀夫は音によって聴覚を、そして大久保英治は大地を 歩き、自然素材を使うことによって視覚的な触覚を 各々の表現は鑑賞者に五感を意識させると共に、 五感という人間の感覚機能の回路を新しく切り開いてくれる。日常の何気ない風景や身の回りのものに、 その隠れた秘密が存在していることに気づかせてくれるでしょう。
(本展は99年ハンブルクのクンストハウスで開催された大阪・ハンブルク友好都市提携10周年記念事業「日本現代美術展−大阪からの3人 のアーティストたち」を新たに構成した展覧会です。企画協力:加藤義夫芸術計画室)

 

New Generation '00
 ドイツより参加した安藤由佳子はヘルメット状のテントの中での日常性を表現し、その中に映し続けるビデオではその日常性の不安な状況を示唆した映像を流している。また、近作の短編ビデオをも緊迫した、しかし取り留めのない日常を端的に表現している。
 丸尾直子は人工物が放つ光りと自然の光りの同調に興味を持ち、強い筆跡でおおらかに表現している。
 井谷菜々はシルクスクリーンという古典的な手法ながら、シルクの目を埋めるようにしてモノトーンの世界を追求しているのだろう。版画の手法ではあるが、モノタイプとも言える作品である。
 三浦洋子は従来より絵画を意識した仕事を続けている。今回は新たな展開を見せてくれている。それは彼女の中での絵画の新たな可能性として、カンレイシャを表面に張り付け、見る人の位置によって表面の表情が違ってくる効果を示している。このことは他のNew Generationの作家にも言えることだが、彼女等の中での新しいディメンシオンの模索であるように見える。
 若きアーティストの今後の発展を期待しています。

サイモン・フィッツジェラルド -trace
 1957年英国生。1981年 コベントリー芸術大学油画卒業。1986年 京都市立芸術大学大学院油画修了。
 近年のペインティング「 Breath(呼吸)」シリーズは、その微妙な色彩とラインで作家個人の身体の状態、精神の状態をありのままに表現した静謐な作品を展開している。今回Space Dで-Blue Room-とも言える青色地の6点のラインペインティング、ギャラリーヤマグチのスペースでは木肌のドローイング21点を展示している。緊張感の漂うSpace Dと木肌のドローイングは何の関係も無いように見えるが、画面に集中した精神性が伝わる。木肌が主題ではなく、木肌にあるラインに作家は集中しているのです。
 "Drawings are about searching, paintings are about what I find." - S. Fitzgerald



その他のイヴェント
オープニングレクチャー
9月30日(土)午後2時〜4時・海岸通ギャラリー・CASOラウンジにて
『Subjective Utopia in Art』
ロバート・C・モーガン N.Y/ロチェスター工科大学教授<美術史/美術理論>
●参加費無料 50名先着 電話予約要Tel:06-6577-0998

==<終了:約80名の参加がありました。>==
==<多数の御来場ありがとうございました>==

New Generation '00 talk
New Generation '00出品作家と推薦者によるフリートーク。
自作について。自身にとってのこれからの美術、これからの美術の場について。
10月1日(日)午後2時〜4時・海岸通ギャラリー・CASO ラウンジにて
●参加費無料

==<終了:約20名の参加がありました。>==
==<多数の御来場ありがとうございました>==

帝塚山学院大学 美学美術史ワークショップ 「アート・スペースの可能性」
10月26日午後5時〜6時30分 海岸通ギャラリー・CASO2階ラウンジにて
講師:山口孝(ギャラリスト)、藤本由紀夫(アーティスト)
主催:帝塚山学院大学美学美術史学科・帝塚山学院大学美学会 
●問合せ先:帝塚山学院大学 TEL0723ー65ー0865

==<終了:約80名の参加がありました。>==
==<多数の御来場ありがとうございました>==

 

アートヴィデオ上映
海岸通ギャラリー・CASO 2Fラウンジにて常時御覧いただけます。
・TADAAKI KUWAYAMA "PROJECTS'96"
・大久保英治”四国と天と地の間 阿波の国から歩く”
・YUKIKO FUJIMOTO"see+hear"
・Robert Irwin "The Beauty of Questions"他

レビュー
オープニングレクチャーにお越しいただいた、ロバート・C・モーガン教授による
NY Arts Magazine誌(2000年11月号)掲載の評論です。


Towards Utopia: Osaka, Japan
by Robert C. Morgan
on November 02, 2000
from NY Arts Magazine Vol.5 no 11 November 2000
by courtesy of the author

(日本語訳のページ)

 

 








▲back