境界/反復
井谷 菜々 NANA ITANI

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左より trace53 trace52 trace54 trace51


会場写真

 私はシルクスクリーンを媒体に色を刷り重ねて制作をしています。
目詰まりをそのままに次の色を重ねるという単純な行為を繰り返し、作品と版と自分とを対話させて来ました。
 今回の展覧会ではこれまでも制作に当たりインスピレーションを得てきた自然や生活の中の様々な「際」をテーマにしています。
空と山の際、日射しが作り出す光と陰の際等々。
特別の情景ではないけれども日常の中で常に目がいってしまう情景です。
 今回はその際の持つ色や形を見たそのままに表現することを試みました。
土と光であれば、土色と黄色。空と山であれば、青と緑。という具合です。
形も決して自分の思い通りにならない分、想像していた以上のものに出会えることもあります。
 
 版を何度も刷り重ねる行為は、知らず知らずのうちに刻み込まれた記憶を思いださせるような作業です。どんなに慌ただしい世の中にあっても自分自身が忘れてしまっていても繰り返し刻まれてきた記憶というものは自分の中から決して消えないものだと思います。
そして人はいつも何気なく見ている風景は情景の中に今という時の積み重ねの重みやその価値を知ることが出来ると思います。
 私にとっての尊い風景・情景がテーマではありますがそれはどんなものでもいいのです。
 私はそれぞれの中に刻まれた風景や情景を思い起こす「きっかけ」となる作品作りと展覧会を目指しています。