写真新世紀 大阪展2004




写真新世紀 会場風景

「写真新世紀」は、写真表現の新たな可能性に挑戦する新人写真家の発掘・育成・支援を目的としてキヤノンが1991年秋にスタートした文化支援プロジェクトです。
作品サイズ、形式、年齢、国籍を問わない開かれた公募展として活動を続け、従来の銀塩写真はもちろん、デジタル映像を取り入れた試み、また他の映像表現分野とクロスするような実験的作品など、自由で独創的な試みを応援してきました。
今年(2004年)木村伊兵衛写真賞を受賞した澤田知子氏をはじめ、HIROMIX氏や蜷川美花氏、佐内正史氏、野口里佳氏など数々の写真家を輩出しています。

2003年春の「写真新世紀」第26回公募では、応募者総数1,150名、総数31,171点のなかから、レギュラー審査員の荒木経惟氏(写真家)、飯沢耕太郎氏(写真評論家)、南條史生氏(キュレーター、森美術館副館長)、森山大道氏(写真家)に加え、ゲスト審査員の鈴木理策氏(写真家)、マーティン・パー氏(写真家)の計6名の先生方がそれぞれ優秀賞を1名ずつ選出され、さらにそのなかからグランプリを選出しました。



今回CASOに巡回するのは、「写真新世紀」第26回公募で選ばれたグランプリ・優秀賞受賞者6名の受賞作品展、および2002年グランプリ受賞者、吉岡佐和子さんの新作個展「NUDY BRANCHIA」で、2003年10〜11月に東京都写真美術館にて開催された「写真新世紀展2003」をCASOの大きな空間にあわせて再構成するものです。

また、この展覧会は3月26日〜4月7日にせんだいメディアテーク(仙台市)、6月17日〜29日に福岡アジア美術館(福岡市)にそれぞれ巡回します。

今回の出展作家・関西在住の歴代受賞者によるアーティストトークを4月24日(土)、5月9日(日)のそれぞれ午後からCASO展示室にて予定しております。


参考:昨年春にCASOにて開催された「写真新世紀10周年記念 Futuring Power 大阪展」の模様







会期  2004年4月14日(水)〜5月9日(日) 11:00〜19:00 休館日・月曜(ただし5月3日は開館)
会場  海岸通ギャラリー・CASO A・B室 入場料無料
主催   キヤノン株式会社
協賛   株式会社住友倉庫


出展作家
  内原恭彦 (2003年度グランプリ受賞者)
  植本一子
  加藤純平
  藤田裕美子
  法福兵吾
  ヤマダシュウヘイ
  
【個展】 吉岡佐和子 (2002年度グランプリ受賞者) 「NUDY BRANCHIA」

内原恭彦
内原恭彦 「Raw Life」

 森山大道:選
 1965生まれ フリーランスフォトグラファー

 僕にとって「見ること」とは、他の何にもまして大きな喜びであると同時に、尽きせぬ興味をかきたてる不思議な出来事でもある。写真は「見ること」の喜びを一層強めてくれると共に、一瞬でしかあり得なかった「見ること」を、反復する出来事として永遠につなぎとめてくれる稀有な手段であるとも言える。
 あまりにも自明すぎて取り付く島もないほどの謎が、「見ること」にあるとすれば、大きな喜びをもって写真を撮り続け、それを見ることを繰り返すことで、謎は解き明かされつつ、さらに多くの謎を招き寄せることになるだろう。

植本一子
植本一子 「18才だった。」

 荒木経惟:選
 1984生まれ、日本写真芸術専門学校在学中

 東京へ来て5ヶ月が経ちました。ここは私の居るべき場所だと信じていたけれど、本当にそうなのかは今も分かりません。あなたの居ないここに、私が居ることは本当に意味があるのかな、なんて今さら思ったりします。東京はみんなが言う程、冷たい人ばかりではないみたいです。でもやっぱりあなた程の人はまだ見つけられていません。いや、きっとこれからなんだろうね。
 私の居場所なんて最初からどこにもなかったかの様に、今はなんだか自分がふわふわしています。広島に帰る気なんて一つもないくせに、「帰りたい。」なんてあなたには言ってみたりします。「一緒には居れないけど、一緒には生きれるよ。」と、あなたは教えてくれたけど、私はそんなこととっくに知っていました。ただ、私はまだまだわがままで子供なんだと思います。それがいいのか悪いのかは分からないけど、私はそんなに強くないんだって今頃分かったんです。

加藤純平
加藤純平 「evergreen」

 マーティン・パー:選
 1980生まれ、東京綜合写真専門学校卒

 僕は、ただ風に身をまかせる緑の筆跡を記録しただけだった。
 画面の中に様々なものが飛び込んでくるようだった。
 まるで、ある一定の時間だけカメラがブラックホールに成り代わったような気がした。
 僕は、その時間をコントロールすることしか出来なかった。

 人は、何かを見るときに、見ることでそれを手に入れようとする。
 しかし、僕が見ようとしたものを写すのではなく、写りこんだものをそのままカメラが見たものとして、受け止めるのである。写真は、常に新鮮である。人間の眼とは異なる機械の眼が僕たちを新しい世界へと導いてくれる。目に見える世界ではなく、見えないことを大切にしてゆきたい。

藤田裕美子
藤田裕美子 「Underwater Umbrella」

 鈴木理策:選
 1979北海道生まれ、フリーランスフォトグラファー

 浮遊し、ゆれ動く視覚。
 雨の中で眠りにおちるかどうか、
 睡眠と覚醒の境界線上をいったりきたりのような浮遊状態を感じる。
 デジタルカメラの感覚も同じ。
 流動的に移り動いてゆく現実の様相を固定しようという意志はなく、
 ふわふわと宙を漂っている。
 あとかたもなく消えてしまう儚さ
 雨のように

法福兵吾
法福兵吾 「Artificial sensitivity」

 南條史生:選
 1976生まれ フリーランスフォトグラファー

 世界の顕われ。
 存在のアラワレは、とても静かに、
 私達がミルことのできる世界に隠れている。
 それらは、まるで私達に関心のないように振舞っているけど、
 微かな波長を発し沈黙の気配を漂わせて
 いつも私達のすぐ側にいる。
 それらを私達の世界に確かに介在させるための、写真は強力な「ナニカ」だ。

ヤマダシュウヘイ
ヤマダシュウヘイ 「Untitled」

 飯沢耕太郎:選
 1974生まれ フリーランスフォトグラファー

 曖昧さの持つある種の強さ、を表現したいと常々考えています。
 社会的なルールから微かに(しかし確信犯的に)外れ、物質そのものの存在感がチラリと立ち現れる瞬間。そこに生まれる距離感や空気感は見る側と被写体との関係を曖昧にしてしまい、意味の世界とカタチの世界との狭間で永遠の往復運動を繰り返す被写体のイメージは、その曖昧さゆえに何処にもカテゴライズされず、また何かを主張することもせず、ただそこに在り続けます。そんな存在に私は強く惹かれるのです。
 今回のシリーズでは、固有名詞を持った人ではなく、また標本としての人間でもない、その狭間に存在する人(間)を表現することを試みています。



 【個展】 吉岡佐和子(2002年度グランプリ受賞者) 「NUDY BRANCHIA」

吉岡佐和子 Flying Hippo 吉岡佐和子 NUDY BRANCHIA
 Flying Hippo ,2001  Nudy Branchia ,2003

1972生まれ、フリーランスフォトグラファー

 自分の半身を求め彷徨う魂の救済は、あらゆるものの本質をダイレクトにみつめる写真の先にあるような気がしている。
 今回撮影した「海の宝石」と呼ばれる雌雄同体の微小な生物、ウミウシの、想像を超えた色かたち。
 巻貝が身を守るための殻を捨て進化した生物。
 敢えて生命の枝を剥き出しにして生きるその様は、小さな生命の一つとして地上に誕生した本質的な輝きに満ちている。
 これは、混迷する現代社会に生きる人類が、いずれ定め辿るべき方向であるように思う。


"NUDY BRANCHIA" :裸の枝を揺らしながら跡形もなく消滅する、溶け込む、という意味から名づけられた今回の展覧会には
吉岡さんが見つめ、撮り、デジタル技術を駆使して表現されたコラージュの世界が広がっています。NUDY BRANCHIAという
美しい未来のかたちとして表現されたウミウシの世界をご覧ください。

吉岡佐和子 NUDY BRANCHIA 吉岡佐和子 NUDY BRANCHIA








アーティスト・トーク

● 4月24日 (土) 14:30〜16:30   
** 終了 **
   開催場所: CASO展覧会場内 (定員50名)

   

 内原恭彦(2003年度グランプリ)、植本一子、加藤純平、
 藤田裕美子、法福兵吾、ヤマダシュウヘイ


受賞者による作品プレゼンテーション。展示しきれなかった受賞作品もプロジェクターでご紹介いただきながら、今後の作品制作に対する意気込みをお話しいただきます。
内原恭彦
 内原恭彦 「Raw Life」より



● 5月9日 (日) 14:30〜16:00
    開催場所: CASO展覧会場内 (定員50名)
   

 佐伯慎亮 (第23回公募優秀賞)
 たけむら千夏 (第24回公募優秀賞)
 吉岡佐和子 (第26回公募優秀賞)


関西出身の歴代受賞者2名と、B室にて個展「NUDY BRANCHIA」開催中の2002年度グランプリ受賞者吉岡佐和子によるアーティスト・トーク。
2001年度の展覧会を共にした3人のそれぞれの近況、活動をご紹介いただきながら、写真表現の新しい可能性を模索してゆきます。


 いずれも要予約
 参加ご希望の方は、写真新世紀 (03-5482-3904) にお申込みください。
  (キヤノン株式会社 文化支援推進課 担当:高橋、佐藤)







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