美術における自然
−鳥取からの発信−

大久保英治、岡野元房、河本文則、
中田稔、安田政彦、山田和之、
高木義隆、福田新之介、山本修司

Eiji Okubo, Motofusa Okano, Fuminori Kawamoto,
Minoru Nakata, Masahiko Yasuda, Kazuyuki Yamada,
Yoshitaka Takagi, Shinnosuke Fukuda, Syuji Yamamoto









・会期(年月日) 2007年12月1日(土)〜12月22日(土)
          休館日 なし
          時間  11:00〜19:00(最終日のみ〜17:00)

・展示スペース A・Y室


「美術における自然 −鳥取からの発信−」

[主 催] 「鳥取の現代美術展」実行委員会
[観覧料] 無料
[出展者]
   大久保 英治(出品作家、本展覧会監修者)Eiji Okubo
  (鳥取の出品作家)
   岡野 元房 Motofusa Okano
   河本 文則 Fuminori Kawamoto
   中田  稔 Minoru Nakata
   安田 政彦 Masahiko Yasuda
   山田 和之 Kazuyuki Yamada
 (協賛出品作家)
   高木 義隆 Yoshitaka Takagi      
   福田新之介 Shinnosuke Fukuda
   山本 修司 Syuji Yamamoto

[ギャラリートークとレセプションのご案内]
   展覧会初日の12月1日(土)午後3時より会場で出品作家を交えたギャラリートークを開催します。
    司会:尾ア信一郎 (鳥取県立博物館美術振興課長) Shinichiro Osaki
    ※終了後、会場でささやかなレセプションを開催します。どうか御参集下さい。

 参考:昨年2006年12月の展覧会:「大久保英治と鳥取の現代美術作家展〜鳥取の自然から〜」



 昨年に引き続き、大阪南港のギャラリーCASOで美術と自然をテーマにした公募展を開催いたします。古来より自然は多くの美術家にとってインスピレーションの源泉でした。本展では都市化と工業化の進む現代の日本においてなおも豊かな自然に恵まれ、素材やモティーフとしての山林や海浜に接することが容易な鳥取県で活動する若手作家の斬新な表現を「自然」をキーワードにして紹介いたします。

 本展の監修にあたる大久保英治は日本を代表するランド・アートの作家として知られ、1999年以来、鳥取県岩美町にアトリエを構え、制作の拠点としています。本年も大久保はかつて江戸時代に県内を遊行した木喰上人の足跡をたどって鳥取県を縦断するワークショップを開き、多くの参加者とともに県内各地で歩行と制作を繰り広げました。絵画や写真といった枠におさまることのない大久保の一連の活動は現代の美術家と自然の新しい関係を示唆しているように思われます。

 本展覧会は自然や土地との関わりを作品の主題にする若手作家を公募し、大久保英治の新作とともに「鳥取からの発信」として大阪でその創造の一端を紹介する試みです。今回はプランの審査を経て選考された五名の作家がなんらかの意味で自然や土地と関係をもつ作品を発表します。あわせて大阪で同様の意識をもって制作にとりくむ三名の作家の作品を特別出品し、作家相互の交流もはかります。



 大久保英治 OKUBO Eiji  「影シリーズ」

大久保 英治

1944年兵庫県西宮市出身の国際的ランドアーティスト。
現在は、大阪に在住。鳥取県岩美町にアトリエをかまえる。

《2007年 主な個展》
・「大久保英治とたどる木喰上人の道 ・」(鳥取)
・「大久保英治・静寂の空間〜竹、石、松葉、土の世界を〜」(なんばパークスホール/大阪)

《2007年 主なグループ展》
・「アジアアートフェスティバル昌原2007」(韓国)
・「国際美術展」(江陵市立美術館/韓国)
・「ヒルサイドギャラリー 〜 新たな出発にむけて」 (ヒルサイドフォーラム/東京)




 岡野元房 OKANO Motofusa  「-コスモス(宇宙)-鳥取-」 

岡野元房

職業 美術作家
1966年 鳥取県生まれ
武蔵野美術大学彫刻科卒業
現在、鳥取県岩美郡岩美町牧谷を拠点として「ART工房ダリヒゲ」を主催し、美術作家活動をしている。



 山田和之 YAMADA Kazuyuki   「塗」

山田和之

1977年 鳥取県生まれ
2001年 京都市立芸術大学大学院 美術研究科終了
2002年 個展(ギャラリーcoco)
2004年 鳥取県美術展大賞
2005年 倉敷現代アートビエンナーレ出品
2006年 「大久保英治と鳥取の現代美術作家」展(海岸通ギャラリーCASO)
2007年 個展「山田和之作品展」11月27日(火)〜12月4日(火)(ギャラリー風)




 河本文則 KAWAMOTO Fuminori   「コンセキ」

河本文則

1975年 鳥取県生まれ
1999年 名古屋芸術大学美術学部彫刻科卒業
2006年 「大久保英治と鳥取の現代美術作家」展(海岸通ギャラリーCASO)



 中田稔 NAKATA Minoru   「共働」

中田 稔

1958年 鳥取県生まれ
1997年 グループ研究・論文で第32回教育美術賞受賞
2006年 「大久保英治と鳥取の現代美術作家展」(海岸通ギャラリーCASO)



 安田政彦 YASUDA Masahiko   「COLORS I ・ II ・ III」

安田政彦

1961年 鳥取県生まれ
1995年〜鳥取大学附属小学校にて図画工作科専科として、
造形活動における題材開発に取り組む。(9年間)
1997年グループ研究論文「感性を培う“みる”授業の実践」で
第32回教育美術賞を受賞
2003年〜 鳥取県ジュニア美術展覧会運営委員




 高木義隆 TAKAGI Yoshitaka   「hysteria」

高木義隆

1994年 ギャラリー白(大阪)〈1995〜2001〉
1998年 ギャラリーキャプション(岐阜)
1999年 CAP HOUSE(神戸)
2000年 ギャラリーエスプリヌーボ(岡山)
2001年 キュービックギャラリー(大阪)〈2002〜06〉
2005年ギャラリーDECO(名古屋)〈06〉




 福田新之介 FUKUDA Shinnosuke   「トリニティ」

福田 新之助

《主な個展》
1983年 個 展(ギャラリー白/大阪)〈1983〜85,87,88,90,95〜2007〉
2005年 Traffic-5 ?ファッションと美術のTraffic 5つの個展(海岸通ギャラリーCASO/大阪)
《主なグループ展》
1982年 YES ART(ギャラリー白/大阪)〈1983,85〜90〉
1986年 アートナウ’86(兵庫県立近代美術館/神戸)
1989年 美術の国の人形展(宮城県美術館/仙台)
1997年 洛外芸術展(中央美術院画廊/北京)
2005年 倉敷演劇祭・弁慶と義経舞台美術(芸文館/倉敷)〈他,1996,98,2000〉
2007年 架空通信「百花撩乱」展(兵庫県立美術館/神戸)



 山本修司 YAMAMOTO Shuji   「木跡」

山本修司

1959年 愛媛県松山市に生まれる。
1982年 大阪芸術大学美術学部卒業
2005年 Traffic-5 5つの個展(海岸通ギャラリーCASO/大阪)
2006年 個 展(ギャラリー白/大阪)〈1981,85,95〜98,2000,02,04〜06〉
2007年 百花撩乱展(兵庫県立美術館/ギャラリー棟)
2007年 美術における自然展(海岸通ギャラリーCASO/大阪)
2008年 クンスト.クルップ展 1月14日〜19日(ギャラリー白/大阪)
2008年 個 展 2月18日〜23日(ギャラリー白/大阪)1959年







 「美術における自然」に寄せて
  尾崎信一郎


本展は「自然」をテーマに鳥取県内で作品プランを公募し、選抜された作家たちの作品と
鳥取にアトリエを構えるランド・アーティスト、大久保英治の作品をともに展示する試みである。
二回目の開催となる今回の展示では同様の意識に連なる三名の大阪の作家の作品を加え、
作家相互の交流を図ることとした。

 昨年は初めての試みだったこともあり、「自然」というテーマに対して直接的な応答がみられた
ように感じられる。具体的には流木や砂、土といった文字通り自然の素材の導入であり、多く
それらの素材は作家の身近な環境からもたらされ、これらの素材に対して砕く、重ねる、晒すと
いった単純な作業を加えることによって作品が実現されていた。

 今回の五名の出品者のうち約半数は昨年に引き続きの出品となった。昨年、広い空間での
展示によって刺激を受けたためであろうか、作品はさらなる進境をみせている。流木の集積を
無造作に提示した山田和之は自らの本領である平面表現に戻って、焼く、浸す、塗るといった
行為の痕跡を提示し、河本文則はデリケートなレリーフから一転して生命的でスカトロジカルな
オブジェを出品し、中田稔の風雨にさらした鉄線も昨年の砂のコラージュに比べて強い存在感を
示している。作品としての強度を増したこれらの作家に加えて、和紙のスクリーンに人と自然の
原初的な関係をとらえた映像を投射する岡野元房と風景や素材の時間的変容を色相の異なった
三枚の写真パネルとして提示する安田政彦はいずれも映像や写真と関わる視覚的な表現であり、
物質性を強調した先の三人と好対照をなしている。昨年の出品者がそれぞれの作品をさらに充実
させた理由としてはギャラリーCASOでの発表という経験に加えて、世代のうえでもキャリアに
おいても彼らを指導する立場にある大久保英治との共同作業が大きな意味をもったと考えられる。
大久保は今回もこれらの若い作家たちにとって制作の場における教師の役割を果たすとともに、
悠然とした作品で応えている。

 現代美術に関わる作家が少ない鳥取という土地で作品を公募し、審査を経て、遠く離れた大阪の
会場で展覧会を実現することは決して容易ではない。しかしこのような機会が出品者たちにとって
得難い経験となっていることは明らかであり、彼らの表現の広がりと深まりはこの点を証明している。
「自然」というゆるやかなテーマも自らの表現を一貫したモティーフに沿って強化していくうえでわかり
やすい手がかりとなっているだろう。このような教育的な試みが持続されることの意義は大きい。
むろん展覧会への参加は一つのきっかけに過ぎない。変貌することを恐れず、今後も若い作家たち
が制作に邁進することを望みたい。

    (おさき・しんいちろう 鳥取県立博物館美術振興課長)