J-POP / G-POP








・会期(年月日) 2008年10月29日()〜11月16日(日)
          休館日 なし
          時間  11:00〜19:00 (最終日 〜17:00)

・展示スペース A,B,C室

・作品展示内容   平面、映像ほか





Art・J-POP, G-POP

ファイン・アートとポップカルチャーがポストモダニズムの影響からその区別が曖昧になってから久しいが、
我々はいまだにレオナルドの絵画はアートだと思い、雑誌の写真はアートでは無いと感じているのも事実である。

しかしながら、我々の美や欲望の対象物はアートのモチーフとなりイコノロジーとなるとともに、その作品の持つ
アウラも可逆的に分散するということも起きている。

たとえば有佐の作品「Bird Cage」では日本の仏教を信じる家では普通に見られる仏壇に鳥かごを挿入し、
祈る場所であったそのモノを異化させる作品を作っている。これはシュル・レアリスムの手法に似ているが、
単なる異物を組み合わせることで面白さを狙ったわけでなく、我々が昔から守って来た生活習慣がなんらか
のきっかけで、他の習慣に取って代わられてしまい、意味が壊されてしまう危うさを表現しようとしている。

舟田は日本のアイドルをモチーフに作品を作っている。それは既存のアイドルだったり、彼女が感じるアイドル風の
友人やモデルだったりするのだが、それらに共通するのは男女の区別が曖昧な人物であったり、年齢が大人なのか
子供なのかも曖昧な人々である。そうしてその共通する中性的文化は日本のアニメーションやコンピュータゲーム、
キャラクターグッズ、ファッションなどあらゆる場面に登場し、ファイン・アートのなかにも多々登場している。日本は
それらのイメージ産物を文化戦略として世界に輸出しようとしているが、同時にそれらのイメージは去勢された
ピグマリオンコンプレックス(pygmalionisme)の輸出と見られる可能性があることに無自覚である。舟田の作品は
その部分を自覚させる可能性を持っている。

飯田は舟田とは異なり、自らをアイドル化しようとする。
アイドルの語源は「見る」を語源とするギリシャ語のιδειν(イデイン)であるが、飯田は自らを見られる対象物に
することで、見る存在としての自己(批評)を獲得しようとする。日本に於けるアイドルは英語に翻訳される意味とは異なり、
日本独自の芸能人としての存在を指す。アイドルは性的な魅力を前面に出すことをせず、また外見が最も重要で、
歌手としての歌唱力、役者としての演技力はあまり重要視されない。つまり恵まれた外見、あるいはある形式を確保できれば
特別な才能を持つこと無くアイドルになることができるということである。飯田はそのことをファイン・アートの領域で試みることで、
自らを現代のイコンにしようとしている。

笹岡(筆者)は簡単なテクノロジーを使いインスタレーションを制作している。テクノロジーは社会的需要の結果として発展し、
我々の生活に寄与しているが、そのことで我々の欲望のあり方と密接に結びついている。しかし笹岡の使うテクノロジーは
その本来の用途からは切り離され、あたかも実験室での現象のように表現される。自然は人工から生まれた概念だが、
それらを分離させず、あるがままの存在としてテクノロジーを捉えることは日本独特の考えであろう。そうしてそれは我々を
支配し制御するテクノロジーではなく、自然の一部としてテクノロジーを考える日本的なポピュラリズムである。

最後に疋田も又テクノロジーを駆使して作品を作る。彼は笹岡とは異なり冷たいテクノロジーとでも言おうか、化学反応を
使った作品を多く作っている。それらの作品は危険な素材を扱ったものが多いのだが、彼の作品から発生する化学反応は
美しい効果となって現れる。これらもまた用途からは自立した美的な出来事である。
日本には「毒をもって毒を制す」ということわざがあるが、ある科学的現象を機能から独立させることで、役と害を対立する
概念から外す疋田の作品もまた、日本あるいは東洋の独自性を持っている。

今回企画している展覧会は、我々の日常化している事象を作品化しようとしている作家を集めたものである。
情報やイコノロジー、テクノロジーは現代の我々の生活にとって重要且つ日常的なテーマであるが、それらを自覚的に
捉えようとしているアーティストを一同に展示することは、我々の生活を内証的に捉える契機となる。ドイツからも現代の
ポピュラリズムをモチーフとした作家が選ばれる。それは今日の両国の文化のあり方を比較するうえで好機であり、
意義深い試みになると信じている。また両国のアーティストがお互いの異文化を、アーティスト・イン・レジデンスを通して
経験し、自らの作品を相対化することは、今後の両国の文化の相互理解にも寄与するであろう。




参加作家

Patrick Borchers
パトリック・ボワシェ

Martin Brand
マルティン・ブラント

Julian Faulhaber
ユリアン・ファウルハーバー

Reinhild Kuhn
ラインヒルト・クーン

Rona Rangsch
ロナ・ランクシュ

Esther Ruthenfranz
エステール・ルーテンフランツ

Ulrike Stockhaus
ウルリケ・ストックハウス

ARISA Yuki
有佐祐樹

IIDA Yoshino
飯田淑乃

SASAOKA Takashi
笹岡敬

FUNADA Ayako
舟田亜耶子

HIKIDA Atsuyoshi
疋田淳喜


ドイツ展:8月29日(金) - 10月5日(日)
場所:ドイツ、ドルトムント/キュンストラーハウス、ドルトムント


日本展:10月29日(水) - 11月16日(日)
場所:日本、大阪/海岸通ギャラリー・CASO


 主催:キュンストラーハウス・ドルトムント 特定非営利活動法人キャズ
 ディレクター:ラインヒルト・クーン、笹岡敬
 助成:Japan Foundation, ifa, Sparkasse Dortmund, Kulturburo der Stadt Dortmund
 後援:CASO



有佐祐樹


Julian Faulhaber


舟田亜耶子


疋田淳喜


飯田淑乃


Martin Brand



Patrick Borchers


Rona Rangsch


Esther Ruthenfranz


笹岡敬


Ulrike Stockhaus


Reinhild Kuhn