植村佳菜子
小説の作品シリーズ I
「ゴミ箱の家」



UEMURA Kanako







・会期  2009年4月7日(火)〜4月19日(日)

・時間  11:00〜19:00 (最終日は17:00まで)

・会場  海岸通ギャラリー・CASO Y室



 植村佳菜子展

  小説の作品シリーズ I

   ゴミ箱の家

 最近、こんなゆめをみる。
 すっかりゴミ箱と化している我家。
 窓や玄関から、突然どおっとモノが溢れ出す。
 わたしは先に庭へ逃げ出していた様で、他人事のようにとうとう雪崩れたか……、
とただ呆然と眺めている。
 自分の力でなんとかできそうな事なら慌てるのだろうが、こんな惨事ではどうしよ
うもない。
 割れた窓硝子から飛び出した机や、本箱や、段ボール箱をただ眺めている。新聞や
ハガキなんかの紙くずが風に飛ばされて、庭の柵を越えて道へ落ち、ズルズルと情け
ない音を立てながら引きずられてゆく。
 拾わなくてはと思いながらも、体はちっとも動かない。
 こんな現実にはありえないゆめを、何度も繰り返しみる。
 ゆめの出来事と繋がるといえば、我家はまるでゴミ屋敷の様になっていて、家の
中がモノモノモノで溢れている。
 父が家出してから、いっそうひどくなった母の買い物癖。
 その母も去年亡くなり、母が遺したモノに囲まれて、この家でひとり住んでいる。