溝江 勝 展
MASARU MIZOE EXHIBITION

インスタレーション 「人は幸せになるために胎内に還ります」







・会期  2009年5月5日(火)〜5月10日(日)

・時間  11:00〜19:00 (最終日は17:00まで)

・会場  海岸通ギャラリー・CASO C室



 海岸通ギャラリー・CASOにて、溝江勝展「インスタレーション/人は幸せになるために胎内に還ります」を開催します。
 この作品は、私の少年期の心象風景でもあり、頻繁に起る少年犯罪への提唱でもあります。
 平面「のびるイチゴ♂」「のびるイチゴ♀」2点の下から、りんご袋にエアーブラシで黒の点を吹付けた無数の袋(生殖細胞)
が不規則に置かれ、破れた袋から所々部分的に削られた白い球体が広がっていきます。その中心から一つとして同一の
ものはない、金の球体が一列に浮遊したり、床の下に潜り込んだり蛇行しながら(人生の過程を表現)不定形の白いオブジェ
の中を通り抜け、最後に半円球に彫り込んだオブジェ(胎内)へと還っていきます。


 この作品を制作するにあたり、同じ青森県出身者が起こした二つの事件が心を冷たく過る。1968年10月永山則夫連続
射殺魔事件、アメリカ軍基地からピストルと弾丸を盗み国内を逃亡し、四人の善良な市民を次々と殺害、国民に衝撃と
不安を与えた。裁判の中で「俺が貧乏だったから無知で、無知だったから事件が起きた」と述べている。牢獄でマルクスや
カントの思想関係の本を読み、書き記したノートは10冊となり「無知の涙」が刊行され、ベストセラーとなった。
 もう一つは2008年6月秋葉原無差別殺傷事件である。容疑者の加藤智大は、携帯サイト掲示板に「親が周りに自分の
息子を自慢したいから、完璧に仕上げたわけだ俺が書いた作文とかは全部親の検閲が入ったっけ」「中学生になった頃には
親の力が足りなくなって、捨てられ、より優秀な弟に全力を注いだ」と記述。両親について「殺しても足りません」と記している。
これから裁判の中で明白になって行くだろう。

 この二つの事件に巻き込まれた被害者は、幸せになる為の人生を送るはずであり、又、加害者も生まれる家庭を選ぶ
ことはできないが、幸せになる為に生まれて来たはずである。この作品の前に立った時、もう一度人生を振り返ってくれる
ような表現をしたいと思っている。

 1968年私は当時16歳、そして2008年56歳、この40年間にアートの世界も読売アンデパンダン展が新世代の表現噴出の
場となり、従来の考え方では絵画や彫刻と呼びにくい作品が、次々と発表された「反芸術」の時代から、グローバリゼーション
が進展する近年、各地で参加型アートが多数展開され、作品を体感し、観客と一緒に生成的に制作を進める時代へと変わって
来た。1960年代後半の私は、肩まで髪をのばし若者文化に従順し、そして8年後髭をはやした。今は髪も短く髭もすっかり
白髪混じりとなり、2008年12月くも膜下出血で倒れ青森市民病院にはこばれた。後遺症ものこらず個展を開催できることを
脳外科の先生方そしてスタッフに感謝している。青森を拠点に長い間制作してきた雪国のイメージのする作品にも、ぜひ触れて
頂きたいと思う。


溝 江 勝
MASARU MIZOE

 1952年青森県青森市飛鳥生れ。
1984年〜2001年までエンバ美術賞展(エンバ中国近代美術館)
/日本国際美術展(東京都美術館)
/吉原治良賞美術コンクール展(大阪府立現代美術センター)
/ABC&PI展(ABCギャラリー)/TAMON賞展(柏そごう)等、
各現代美術コンクール展27回展示(入選、買上げ、賞候補等)。
1997年より主にグループ展、個展で発表を続ける。