都市近郊事態
  「環境・人間・記憶」  それぞれが、独自に迫った軌跡

  吉原祥子、尾村いさむ、ナカノカオリ
  YOSHIWARA Shoko, OMURA Isamu, NAKANO Kaori


 写真展。

尾村いさむ ナカノカオリ 吉原祥子
尾村いさむ ナカノカオリ 吉原祥子



「環境・人間・記憶」
 大都市は、すでに自然を失ったかのようです。高所から見下ろす都市は、さながらコンクリートの砂漠かと見まがうほどです。
 その都市を大きく抱き囲むように、「農」を中心とする水田や畑、緑の中に村落が点在する都市近郊地帯が広がっています。都市は、この地帯の自然と農を抜きにして、考えることは出来ないのではないでしょうか。しかし、このエリアにもまた、その固有の風景に、人の心に、深い傷跡が刻まれている・・・。
 この「都市近郊地帯」、これが「3人展」の共通のフィールドです。「3人展」の作品は、この地帯の自然と人間生活の過去と現在に、それぞれが独自の思いを込めてかかわり、その軌跡を刻んだものです。
 尾村氏は、この地帯の最も広大なエリアに広がる水田地帯に、農業近代化の名のもとに、すでに60年代から進行している「圃場(農地)整備事業」のリアルな実態を写しながら、変貌する農地とともに、多様な生態系の行方を見つめています。
 吉原氏は、その農に携わる人々の村落に分け入り、少女の頃の記憶を重ね、不協和な現実を写しながら、今日の自らの心のありようを見定めようとしているかのようです。
 ナカノ氏は、その村落の中の古い歴史を持つ農家に、長女として生まれた固有の体験を見つめながら、「家」と向き合い、人間的な自立への道を写し取ろうとしながら、その向こうに社会への道筋を探ろうとしているようです。
 3人展が迫るこれらの展開は、それぞれの極めて個別なアプローチであるにもかかわらず、わが国の広範な都市近郊地帯で、今日も多くの人々が、心を揺らし遭遇している普遍的な事態そのものではないかとおもえてなりません。そして、これらの写真が語ろうとするものは、いまや同時代を生きる都市生活者にとっても、同じ目線で語り合うべき普遍的事態…といえるように思います。
   (今展のコーディネーター・滝みつる)


 会 期 2003年10月14日(火)〜10月19日(日)
  午前11時〜午後7時(最終日は午後5時まで)

 会 場 海岸通ギャラリー・CASO スペースD
  (大阪市港区海岸通2-7-23 電話06-6576-3633)

 10月18日(土)17:00から作家3人によるトーク、およびパーティーを開催した。


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