世の中で一番楽しく立派なことは
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「福沢諭吉 心訓七則」というのがあります。

福沢諭吉が書いたものと俗に言われていますが、実際は後世の偽作なんだそうです。よく観光地のみやげ物なんかに書かれています。

世の中で一番楽しく立派なことは
一生涯を貫く仕事を持つことです

世の中で一番みじめなことは
教養のないことです

世の中で一番寂しいことは
仕事のないことです

世の中で一番醜いことは
他人の生活を羨むことです

世の中で一番尊いことは
人のために奉仕して
決して恩に着せぬことです

世の中で一番美しいことは
全てのものに愛情を持つことです

世の中で一番悲しいことは
うそをつくことです


ニセモノとはいえよくできていると思いませんか?

さてこの中で個人的に一番インパクトあるのは

「世の中で一番楽しく立派なことは一生涯を貫く仕事を持つことです」

こんなのは絶対学校で教えてくれません。ポイントは「一生涯」というところで、たとえばプロジェクトXの勇者であっても、定年退職してしまえば「過去の栄光は思い出の中に」という方が多いのではないかと思います。

人生80年。定年後20年も残っているのです。個人的には最後の20年でもプロジェクトXしていたいと思っています。世は老人力の時代です。だから今こそ真剣にライフワークを考えなければなりません。

私がライフワークに求める条件とは:

1. ひとりでもできる
2. 年取ってもできる
3. 人のためになる(人と関わることができる)

思うにコーチングは「人がより良く生きるのを支援する」ことです。当然のこと、ライフワークを支援できなければなりません。

以上の想いをホムペにしてみました・・・

ライフワーク・コーチングの奨めというのがそれです。

いきなり、ライフワークのためにコーチングを受けようと言う人は、まずいないと思います。しかし、差し迫ったニーズから始めたコーチングであっても、是非ライフワークまで進んでいただきたい、と陰ながら願っています。

コーチングは低成長時代の産物
134



1960年代は日本経済の高度成長期でした。1973年になると石油ショックが来て、最初の低成長を経験します。私はこのあたりがマネジメント・スタイルが変わる萌芽期だった、と見ます。

つくれば売れた時代は、成功体験の踏襲でよかったわけです。だから軍隊式に上司は部下に指示・命令して、あとは外的コントロールで締め上げる、というスタイルでした。

外的コントロールとは選択理論心理学のいうところの、1. 批判する、2.責める、3.文句を言う、4.ガミガミ言う、5.脅す、6.罰する、7.ほうびで釣る・・・です。

しかし、何が売れるかわからない低成長時代は、「成功体験は失敗の元」です。上司の指示・命令通り部下にやらしているようでは、企業はとても生き残っていくことはできません。社会も複雑になってきましたし、技術も高度化し、上司もどう指示・命令したものか、ほんとうのところはよく解らないのが実情なのです。こうなると現場の担当者が自分で判断し、自発的に動くことが求められるわけですね。

となるとマネジメント・スタイルもコーチングで部下の意見を引き出すという形にならざるをえません。この場合、外的コントロールはどうあっても避ける必要があります。外的コントロールがあれば、意見の引出しなど覚束ないからです。

高度成長期の末期に「巨人の星」とか「アタックNo.1」とかのスポ根アニメがありました。1969年ごろだったと思います。きたえ方は「外的コントロール」そのものです。当時はこうした軍隊式、スパルタ式のやり方がよしとされたわけですね。いまは全くはやらなくなりました。

ただ問題は「巨人の星」とか「アタックNo.1」で育った世代やそれ以前の世代がまだまだ職場に多いことで、こうした古い世代には、コーチングなどという、部下のご機嫌取りなんぞやってられない、という人が結構多いわけです。だから古い世代と新しい世代の間に軋轢があるわけですね。

マネジメント・スタイルからみれば、現在は過渡期ということになります。

ですから、ビジネス・コーチングは低成長時代がもたらした「産物」ということになります。ただし、マネジメント・スタイルとしては、「軍隊式・スパルタ式」よりもコーチングの方が生産性は高く、確実に進化・進歩してますね。

盛り立て・盛り上げ
133



コーチングの親戚のファシリテーションは、1:n のコーチングという捉え方が一般的になされます。それで問題ないと思いますが、私のファシリテーションの捉え方はひとことで言えば、

「座の盛り立て・盛り上げ」

です。盛り立てて、盛り上がれば、議論百出、百家争鳴、意見や気付きの引出しが容易です。

ところが、一般論でいうと、1:1のコーチングには「座の盛り立て・盛り上げ」の意識がどうも希薄だと思います。何か「あなた答える人、私質問する人」でこじんまりまとまる傾向にあります。

コーチングをソリューションとして買ってもらおうとするなら、「座の盛り立て・盛り上げ」がまず来て、しかる後に引き出しが来るべきでしょう。

座を盛り立てた時のノリが思わぬ気付きを引き出す、のです。

「座の盛り立て・盛り上げ」で私が注目しているのは、タレントのタモリです。「笑っていいとも」を25年やってるわけですが、彼の能力を持ってすれば、コーチングなんぞ朝飯前のはずです。

もし、クライアントさんが「今日はとくに(話題が)ないんです」、と言ったとしても、タモリなら座を盛り立てながら、クライアントさんから「話題そのもの」を引き出してしまうことでしょう。

極論すれば、コーチングとは「何を質問するか」より、「いかに盛り立て、いかに盛り上げるか」だと思うのです。この見解はケシカランと言う人もいるでしょうが・・・

断定口調
132



過日北海道に講演に行った際、小樽に寄って、かの地の石原裕次郎記念館に入ってきました。小樽は石原裕次郎が少年時代を過ごしたところなんだそうです。

裕次郎さんは映画の出演本数が非常に多く、カッコよく、やはり昭和の銀幕の大スターです。52年の短い生涯でしたが、あまりにも密度の高い人生だったわけですね。

・・・と、ある映画通の方に語ったところ言下に、

「裕次郎なんて大した役者じゃないんだよ」

と言われました。たしかに裕次郎は言語不明瞭なところがあり、そういう見解も成り立ちます。

問題はその断定口調に対して、私が二の句を継ぎにくかったこと。たとえばこれが、

「裕次郎なんて大した役者じゃない、とオレは思うんだけどね」

と個人の見解として語られたなら、もっと話しやすかったでしょう。

結局、この世の中にはいろいろな考え方、感じ方があり、多くの場合どちらが絶対正しいとは言えません。裕次郎を評価するのも正しいし、評価しないのも正しい。ならば客観的事実として断定するかのごとき発言はやはりふさわしいとは言えないでしょう。

つまり断定口調は、I am OK, you are OK. の考え方を拒絶するわけです。やはりI am OK, you are OK. から出発して、お互いの意見交換を十分した後、お互いの相違点を調整するのがあるべき姿と考えます。

結論としては、

「断定口調で語るのはやめましょう」

ということ。

私ももともと断定口調でしゃべっていたタイプでしたが、コーチ業やっていると、断定口調がいかに有害か痛感するしだいです。上司が断定口調で常日頃語るのなら、部下が自由闊達に意見を出すような風土づくりはムリというものでしょう。

断定・放言の類はコミュニケーションに百害あって一利なし、だと思います。

承認
131



昨日は旧国立○○病院で講座を持たせていただきました。4時間のコースでした。

私としては満足のいく出来で、受講者のみなさんも熱心に聴いていただけて、まずはほっとしています。

それはさておき・・・

日本の聴衆はシャイで、たいていノリがよくありません。指名すれば答えてくれても、「どうですか、みなさん」と言ってもまず何も返ってきません。といって悪気があるわけでは全然ないのですけどね。

そうした状況下、人前で話すときになんと言ってもうれしいのが、うなずきながら聞いてくれる人です。

なんでうれしいのか?やはり自分が「承認」を欲しているからでしょう。欲しているなんてものじゃなく「渇望」している、と言ってもいいくらいです。

講座は何度もやっているのですか、今回は改めて自分を省みて、「承認」の重要性に思いいたりました。

思うにすべての人はいずれの場合にも「承認」を欲していると私は思います。

いきなし「そうじゃないでしょう」とやると、いかに正論であってもコミュニケーションはうまくいきません。言ってる内容の承認がもし仮にできないとしても、話者の気持ちの承認はいずれの場合もできるわけです。

ですから、何事もまず「そうですね」と受けとめる。そして反論あるなら、「ただ、□□はちょっと違うと思いますが、どうでしょうか」と持っていけば当然うまくコミュニケーションは進められるわけですね。

承認はホントに大切です。
150 ケチでなければ
149 神経質過ぎるほどのフィードバック
148 イメージング
147 親は変えられない
146 悪者家族

*
145 話の長い人
144 趣味と親友
143 波間に漂う質問
142 自己の欲求に忠実に生きるとは
141 あくまでも平静に

*
140 ET
139 悪いこともいいことも続く
138 人生の勝利者
137 宗教心
136 クライアントの質

*
135 世の中で一番楽しく立派なことは
134 コーチングは低成長時代の産物
133 盛り立て・盛り上げ
132 断定口調
131 承認
*
130 どうということはなし
129 夫婦の間
128 取次ぎ人
127 老人力
126 宗教的素養

*
125 NLP音痴
124 アサーティブネス(続き)
123 アサーティブネス
122 仕事をしない
121 実習

*
120 なめられないために
119 度量
118 天気・気温を語ろう
117 依存症
116 フィードバック

*
115 差し迫ったニーズ
114 プロマネ
113 咀嚼力
112 ゴールを疑ってみる
111 コーチはトレーナーに非ず

*
110 コーチングの行き着く先
109 恵まれた交友関係
108 仮説力
107 引きつけて撃つ
106 体験コーチングの実際

*
105 体験コーチングというけれど
104 体験コーチング
103 一生懸命を疑おう
102 レベル間の往来
101 ライフ・レベル


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001〜050 051〜100 101〜150 151〜200 201〜250
251〜300 301〜350 351〜400 401〜450 451〜500
501〜550 551〜600 601〜650 651〜700 701〜750
751〜800 801〜850 851〜900 901〜950 951〜999
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