屈託
210



先日、電車の中で前の会社の上司だったK氏を偶然見かけました。15年あまりの年月が流れていました。上司と言っても直属ではなく、2階級上で、その昔は私の結婚披露宴に主賓で来ていただいた方です。

先方は私に気がつかなかったようです。私は近づいて行って名刺を出し、挨拶しました。頂戴した名刺は1部上場企業M社の子会社の社長となっていました。「賞味期限は終わっているんだ」と自嘲されていましたが、新卒入社の生え抜きの社員の勝ち組でしょう。

さて、ほんの少し気になったのは、ソトモノとウチモノの区別を感じたことです。すでに退職した私はソトモノです。だから心から懐かしいという感じとはちょっと違いました。生え抜きのK氏ですから、無理からぬところです。

ソトモノとウチモノの区別は組織を離れればなくなる、ある種の「屈託」だと思います。組織に属したままで、この「屈託」がなければできた人です。

「屈託」のないのが魅力的な人なのだ、これはK氏と再会したのをきっかけに思い当たったことです。もちろんコーチングに関わる者として「屈託」のない人柄でいたいと思います。

打たれ強さ
209



ある営業職のクライアントさんですが、顧客から叱られたり、苦情を言われたりした後、ついその相手を避けてしまう、と言われた方がありました。これはずいぶんもったいない話です。

叱られた時、いざこざがあった時、人間必ず本性が出ます。その本性が筋が通ってゆるぎないものであれば、感情の軋轢があっても、相手がかえって認める結果となります。通り一遍の人間関係ではない、裸のお付き合いがそこから始まるわけです。

叱られた時、いざこざがあった時、一見人間関係のピンチのように見えますが、実は人間関係が深まるチャンスなのだと思います。相手が多少興奮していたとしても、こちらが挑発に乗ったりせず冷静に対応すれば、だいたい相手の心をつかめるものです。

叱られた時は、叱った側が叱るという形で自己主張したわけですから、むしろ叱った側に心理的な負い目があります。素直に叱られてみせて、なおかつ悪びれなければ、決して評価は下がらないどころか、かえって上がります。

叱られた後は、

「今日はいろいろありがとうございました」

で別れて、次に会った時は冒頭に、

「この間はいろいろありがとうございました」

で切り出し、そのあとはまるでわだかまりがない。こうした爽やかさがファンを作っていくのではないかと思います。

リフレッシュ
208



昨日はアマチュア・オーケストラのコンサートに行ってきました。マーラーの「復活」という作品で、オケ・独唱者・合唱団合わせると200名程度にはなるであろうという大曲です。

無料のコンサートで、聴衆の質はお世辞にも良いとは言いがたく、小さな子供が開始直後に騒いでヒヤリとしたのですが、会場から早期に出てくれたようで、後は尻上がりに盛り上がっていきました。演奏が白熱すると、曲の合い間の一瞬の静寂が際立ちます。聴衆も固唾を飲んで聴き入っているのが、ヒシヒシと伝わってきます。最後のクライマックスでオルガンの低音とともに、鐘が強打されると、さすがに鳥肌が立ちました。

今朝はまだその余韻が残っています。おそらく出演者の多くは、半年間何度も何度も練習したことでしょう。昨日は出来はともかく、燃焼しつくしたに違いありません。ですから、どうしても出演者のエネルギーをもらってしまい、こちらまで気力充実するのです。

とはいうものの、昨日行く前は、よく知っている曲だし、以前実演を聴いたこともある。少々おっくうだなぁ、どうしようかなぁ、などと思っていたわけです。そこをエイヤと家を出た。もし家にいたら、昼寝でもして時間が過ぎたことと思います。

職場と家庭を往復して、休みは寝ている、このパターンは避けないとリフレッシュしないと痛感しました。やはり、リフレッシュのコツは職場・家庭以外の第3の世界の空気をいかに吸い込むか、ですね。クライアントさんにも第3の世界の空気を吸う大切さを、訴えていこう、と改めて思った次第です。

長所を認める
207



私が若い頃は、どうも人の悪い点がまず目に付いたものです。ですから、当時は人を拒絶するような雰囲気があったように思います。

今でも人の悪い点が目に入らないわけではありませんが、昔よりもずっと肯定的に人の長所を認めることができるようになったと思います。年齢を重ねていろいろ経験してくれば、相手の苦労というのは他人事ではないので、それに素直に共感できるからでしょう。

今では大体どんな人とも初対面で打ち解けることができます。イヤな人というのはやはりいるものの、少々クセの強い人でも、それなりにやっていけます。

人の長所を肯定的に認めることができるようになれば、相手の言うことに多少トゲがあっても、悪くは取らず好意的に解釈できるようにもなります。結局、どれだけ人の長所を肯定的に認めることができるか、が精神的成熟度のバロメーターである気がします。

コーチングやカウンセリングをやっていて、クライアントさんの精神面の成長をとくに感じるのは、クライアントさんが、人の長所を肯定的に認めることができるようになって、排他的ではなくなり、より包容力を持つに至った時です。

そういった理由で、どれだけ人の長所を肯定的に認めることができるか、は人生を開く鍵である、と最近思うようになりました。

停滞の時期
206



誰にでも停滞の時期はあります。

毎日、同じような日々が続いて結果が出ない、出せない、これが停滞ですが、その方がむしろ普通ではないでしょうか。そうそうブレークスルーはできません。

「果報は寝て待て」「待てば海路の日和あり」

というのも真ですけれど、コーチングではやはりちょっとでも悪あがきすることになります。しかし、クライアントさんも停滞している関係上、意気軒昂というわけにはいきません。

「あなたはどうしようと思いますか」

という質問は停滞しているクライアントさんにはむしろ荷が重いと思います。それが解らないから停滞しているわけですから。

「〇〇するってのは、どうでしょう?」

停滞しているクライアントさんには、努めてこんなふうに言うことにしています。こうした提案が引き金になって、そうだ、そういうやり方もあったな、というアイデアが結構出たりします。

停滞の時期はテンポ良く、軽く、勢いをつけるのが良いようです。
250 拒絶か黙殺か
249 守破離
248 坊主
247 誹謗中傷
246 ベストを尽くすということ

*
245 自覚と開き直り
244 用件と情緒
243 素性を明かす
242 キヨ
241 感情のコントロール

*
240 横並びの習性
239 いい人と付き合い、悪い人を遠ざける
238 電話口の声
237 どうしたら迷わなくなるか
236 口先だけ

*
235 気管支炎
234 ヤフーの「カウンセリング」
233 よきこと来たる
232 群れられない人
231 愚痴

*
230 「答え」の所在
229 コーチング・モード
228 商業主義
227 起業ネタ
226 一張一弛

*
225 独身者の週末
224 停滞期
223 志を持つ
222 生かされて生きているシステム
221 質問するな、承認せよ

*
220 リコメンデーション
219 子育て
218 逆説のパラダイム
217 宗教的素養
216 前世

*
215 ライフワークをオンする
214 苦労
213 イネビタブル・コーズ
212 損得
211 鷹揚に担がれる

*
210 屈託
209 打たれ強さ
208 リフレッシュ
207 長所を認める
206 停滞の時期
*
205 アナライザー
204 天球
203 20点を取ろう
202 もっと悪かったかもしれない
201 ホームページは必需品


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001〜050 051〜100 101〜150 151〜200 201〜250
251〜300 301〜350 351〜400 401〜450 451〜500
501〜550 551〜600 601〜650 651〜700 701〜750
751〜800 801〜850 851〜900 901〜950 951〜999
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