生かされて生きている
355



あるクライアントさんが言われました。

「目先は問題だらけで圧倒されてしまいます。自分は乗り切っていけるでしょうか。強い孤独感を感じます」と。

確かに「自分は自分の努力で生きている」と思えば不安になるでしょう。この場合は発想を変えたほうがいいと思います。

「自分は生かされて生きている」

というふうにです。

君は、生きているのではない、生かされているのだ、と気づいた生活をしたことがあるかね。生かされているということは、与えられているということだ。守られているということだ。救われているということでもある。この心が身についたら、すべてのことに感謝できるようにもなるだろう。まず、生かされて生きているのだ、という心に徹底しなさい。

『冥想ヨガ入門』  沖正弘著 日貿出版社 1975年 より抜粋

生かされて生きていると思えば、いいことも悪いことも「学び」として受け取ることができるのです。

悪いことといってもピンキリです。「我が子を失う」とか「自分が失明する」とかは究極の試練です。さすがにこういったことまで学びとして受け取れとは言いません。

「あなたを待ち構えている試練はもっと気楽なものではありませんか」

と言ったところ、このクライアントさんはずっと気分的に楽になった様子でした。我々を待ち受ける試練は必然で、ぜひともそこになければならないものです。いま現に究極の試練を体験している人のことを思えば、少々のことは充分喜んで受け取れるでしょう。

「生かされて生きている」に徹底すると、結局生かしてくれている絶対者---宇宙生命(神)と対話することになります。この絶対者はいたるところに遍在します。私たちは常に絶対者とともにあり、孤独ではない、ということになりませんか。

「生かされて生きている」に徹底すると、暗黒は光明に一変するのです。

性悪説
354



ビジネス・コーチングは性善説に基づいた手法です。つまり、

「どの人も育成できる」

という思想が根底になければなりません。しかし、現実はそんなに甘くありません。どんな組織もガンみたいな人材に辞めてもらったり、辞めさせたりしながら、成長・発展していくものです。

「どの人も育成できる」は一面の真理ではあっても、あまりにも育成しにくい、箸にも棒にもかからない人材は辞めてもらうしかないでしょう。コーチング関係でこれを言うことはタブーという感じがしますが。

クライアントのSさんは女性経営者ですが、配下の責任者に一人古参の男性従業員がいます。これが心意気悪く、仕事振りはマイペース、Sさんは

「この人は信用できない」

とはっきり言います。仕事が忙しくても、時間が来れば帰ってしまうし、有給休暇は目一杯取る。挙句の果ては、

「プライベート・タイムを充実させたい」

と会社で公言するそうで、Sさんは今まで何度となくこの男性と衝突したとのことです。辞めてもらいたいのですが、会社が持ち直して来つつある現在、辞めさせると代わりがいない。そうは言ってもベテランで、業務は熟知しているのです。

これを当面どうしたものか、というのがSさんの直面する問題です。そういうSさんの口ぶりから、表面的には当たり障りなくこの男性と接しているSさんの日常が見て取れます。

「Sさん、この人と1対1で向き合っては不利ですよ。2対1で向き合うのがポイントですね」

私はこう提案しました。Sさんには1名腹心の女性部下がいるのですが、この男性と折衝する場合、必ずこの女性も呼んでくるわけです。2対1なら常に多数派になり、常にこの女性が「そうだ、そうだ」とサクラをやってくれれば、Sさんだってやりやすいはずです。

それにたとえSさんとこの男性が決裂しても、この女性が収拾にはいることができます。あるいはこの女性に切れてもらって、Sさんが収拾にはいることも可能です。Sさんも、それは名案、と同意しました。

この男性、今後とも辞めさせずにそれなりに使えたら、ベストですが、直感ではなかなかそうも行かない感じがします。実際の現場では、

「人は無限の可能性がある」

とばかりは言っておれないのです。性悪説を踏まえたそれなりの知恵も必要です。

賃貸アパート
353



かねてからの持論なのですが、「サラリーマンで雇われていて自己実現」は特別な例外を除いてほぼ幻想と言っていいと考えています。そもそも会社が今後とも安泰という保証はないし、人事だって成り行きしだい。仕事は会社の都合で割り当てられるし、定年もある。そんななかでもやりがいを感じることは当然ありますが、極めて不安定なものです。

さて過日私に連絡を取ってきた中年の女性ですが、今の会社にやりがいを感じられず、会社を変わったものかどうか迷っていると言うのです。

聞いていてまず気になったのは、自分の人生どうしたい、といった志(こころざし)が抜け落ちていること。それに加えて、年齢的にいい転職先があるとは考えにくいし、たとえ条件のいい転職先であっても、この先どうなるか全く成り行き任せだということです。で、このように言いました:

「あなたの話を聞いている限り、要は賃貸アパートから別の賃貸アパートに移るということですね。持ち家一戸建てを目指す、という話では全くない。たとえば賃貸の6畳から賃貸の8畳に移ったところで、多少はいいかもしれないけれど、大勢に影響はないでしょう。仮に広くなったとしても、他の条件がかえって悪くなる可能性も大いにある。むしろ「持ち家一戸建て」とかいう構想がないほうが問題なんじゃないですか?」

「・・・・・・」

「やっぱり問題は、人生の後半どう生きるかという構想、つまり人生設計のあるなしであって、会社を変わるという問題じゃない、と思いますがどうですか?」

「そうですね」

「どうです、私と出会ったのはよいきっかけだと思って、この際じっくり今後の構想を考えてみられては?」

「はい」

以上でセッションは終了。目先の利害で会社を変わるのは「屋うつり貧乏」そのものです。その意味では賃貸・一戸建てのたとえは解りやすく、なかなか機能したのではないかな、というのが実感でした。

いずれにせよ、ただ給料をもらって歳を取っていくだけではつまらないと思うのは誰しも同じです。人間生きていくには志(こころざし)が要るのです。

願望実現
352



「コーチという職業の目的は何でしょうか?
それは、『クライアントの願望実現をサポートすること』です。」

ある方はこのように書いていました。もちろん正しい答えなのでしょうが、私は実のところあまり共感できないのです。コーチの成功哲学の受売りや真似事に基づいた、したり顔の質問に付き合わなくちゃならんのかと思ってしまい、いささかうんざりします。

願望というものは明確になった時点で、遅かれ早かれ実現するものです。あとは明確なビジョンを保持しながら、徹底して反対観念を拒絶しておればよいのです。

明確な願望を持って邁進できる状態になるということは、極言すればもはや平坦な道なのです。コーチ(メンター)はいてもいなくてもよい。自分が必要と思えばつければいい。私はそう思います。

願望がはっきりしているくらいの人なら、成功哲学の受売りなんかに付き合わず、成功哲学そのものと付き合うほうがいいです。具体的には自分にとっての「聖典」を時間を見つけては何度も読むことでしょう。

成功哲学と言ってもたくさん流派があり、自分と合う合わないがあります。私はナポレオン・ヒルはぴんと来ません。昔からトラインのファンです。

では、私にとってのコーチの仕事とは?

「明確な願望を持って邁進できる状態になるまで、自己基盤の整備をお手伝いすること」と言っていいと思います。つまり願望実現の前段階です。そのためにはやはり差し迫った悩みの解決をお手伝いできなければなりません。

解決と言っても問題が雲散霧消するようなことはまずなくて、一歩一歩ジャッキでものを持ち上げるように進んでいくわけです。また問題を持ったまま、同居・共存していくアプローチもあります。悩みの解決、個人的にはこれが一番チャレンジングです。

スカイプアウト
351



我が家の電話はISDNで、1回線で電話番号を2つ取っています。当然電話機は2台使っているのですが、そのTA(ターミナル・アダプター)が昨日故障し、嵐のような雑音が出て、電話機が使用不能となりました。

コーチングの予定が入っており、困ったのですが、スカイプから外部にダイヤルする有料のスカイプアウトという機能があったのを思い出し、急遽申込むことにしました。クレジットカードで決済できます。10時間分が1500円でした。これだと世界中どこにかけても1時間の通話が150円です。

カード決済に15分ほど時間がかかりましたが、決済完了で自分のメール・アドレスにその旨通知されます。

早速スカイプアウトで国内通話してみました。電話番号は+813○○○○○○○○のように国内でも国際電話のようにダイヤルします。音質はかなり悪く、少々聴き取りにくい感じです。またワンテンポ遅れる感じもあります。やはりスカイプ同士のほうが音質は格段にいいです。ふつう国内通話に使う人はいないでしょう。私の場合は非常事態で止むを得ませんでした。

電話が故障したおかげでスカイプアウトを体験できたのですが、世界中どこにかけても1時間150円は激安です。尤もスカイプどうしなら全くタダなわけです。とにかくすごい時代になったものです。
400 福島健康保険医協会
399 修了証
398 群れないというありかた
397 資格発行
396 全方位苦情処理

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395 N番煎じ
394 紫外線パワー
393 コーチング本
392 いかに盛り上がるか
391 カウンセリングのアカデミズム

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390 非情なビジネス・コーチング
389 コーチングとは
388 コールド・リーディング
387 ボケの論理
386 最も記念すべき日は

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385 コーチングより重要なカウンセリング
384 一日研修
383 自分の造語
382 充電が必要
381 ライフ・ミッション

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380 後は自分で考えるしかない
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378 ハウツー本の弊害
377 一石二鳥?
376 ミリオンセラーというのはいかに途方もない存在か

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368 初めて見るわが子
367 上司はつらいよ
366 行き先あってのコーチング

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365 不況型人間
364 職業観
363 春の陽気
362 認定制度
361 気持ちはわかります

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