自己承認と成功哲学
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私は20代後半なかなか結婚できませんでした。31になってようやく結婚できましたが、5年間ほどの間はホントに苦労しました。

何度も何度もこれでもか、というほどうまくいかないことが続き、あまりの厳しさに慄然としたことも一度や二度ではありません。

「自分は結婚できないのではないか」

と自己承認を失いかけた時期がありました。自己承認を失ってしまうと、自己が崩壊して心の病になってしまいます。そうならないために、私は必死に成功哲学の本を読みふけったものです。

私を救った言葉は次のようなものでした。

「どうあっても実現したい願望があって、それが真に必要なことなら、半分実現したのと同じだ。あきらめなければ必ず実現する」

結局5年かかりましたが、この通りになりました。願望を実現した結果、私自身が自己承認を強めたのは言うまでもありません。

自己承認を失いかけた時は、成功哲学を学び直すのがよいと思います。成功哲学とは、

「よき動機に基づいた明確な目標を持って、反対の観念をあくまで拒絶すれば願望は必ず実現する。それが真理だ」という考え方です。

最初はそう言われても半信半疑です。しかし、疑ってみても始まらない。この真理に賭けるしかありません。そうして日々努力して、願望が実現すればこの真理に納得できるし、自己承認も強くなる。

結局、こういった成功哲学を信じることができる程度に応じて自己承認は強くなります。成功哲学が体得できるほど、宇宙から必要なことは必ず与えられる、という信念が確固たるものになります。それが自己承認をいよいよ強化する、というわけです。

自己承認ができていない人は
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「言葉の力によって自分自身を愚か者と言うならば、そしてそれを信ずるならば、彼は愚者となるであろう」

というのはパスカルの言葉だそうです。

「自分はダメだ」という想念を常に持ち続けるということは常に自分自身を害しつつあるということです。自分自身を常に害し続けるのは狂人だと言わなければなりません。しかし、世間にはこういった人が掃いて捨てるほどいます。

自己承認ができていない人はダメなものです。他人に何かを与えることはまずできないし、結果的に周囲へ配慮を要求するために、周囲の重荷になってしまいます。

体験でコーチングを申し込んで来られる人は毎日のようにいますが、最近は失礼ながらひとつのものさしが出来つつあります。それはコーチングする相手が自己承認できているか、いないかです。

もちろん私も自己承認できていなかった一時期があり、自己承認ができていない人に十分共感も同情もできます。しかし、自己承認できていなければ、必ずと言っていいほど意欲が不足しています。今後ともコーチングを受けてみよう、と思えるなら例外的に上出来と言えるでしょう。

自己承認ができていない人は基本的にコーチングに不向きです。お相手してもたいていは体験だけで話を聞くだけで終わります。ひと言で言って煮え切らないわけです。しかし煮え切らないだけならまだましなほうです。

長年自己承認できないで来た人は、話していてもブラックホールを連想し、こちらの生気が吸い取られるような感じがします。正直あまり相手はしたくないのが本音です。また気の毒に思って相手をしても何ともなりません。だから相手をするならそれなりの覚悟が要ります。冷たいようですがそれが現実です。

コーチングは自己承認ができている人、自己承認を一時的に失ってはいるが何とか回復したい、と思っている人のためのものだと思います。

結局、人間は「自分が思うとおりの自分になる」のであって、自分自身の値踏みがその人の人生を決めます。そのためには、本人が結果を出しながら少しずつ自己承認することを繰り返すしかありません。コーチングはほんの手助けに過ぎないわけです。

ちょっとした感動
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私のクライアントのA先生は、患者さんが診察室に入ってくると、立ち上がって挨拶するそうです。もちろん開業医です。

また接客業のスマイルをやってみろ、といわれたら何の抵抗もなくできるそうです。

「世間の多くの医者はカルテ見ながら患者は横目でちらり、『スマイル』なんて言われた日には顔が引きつるでしょう。だから開業してもはやらないですよね」

とこの人は言います。この人は医業は接客業という信念を持っておられるのです。だから患者さんにちょっとした感動をあたえるサービス精神が必要というのが持論です。

医者の患者に対するサービス精神に感動してこそ、その患者がその気迫で癒されると私は思います。投薬だけで人間を治せると思っている医者に大した人はいないでしょう。

A先生は続けます。

「大体治る病気は自然に治るし、治らない病気は治らない。医療はそうしたものです。だから医者が患者にかける言葉が何よりも大切なんですよ。コーチングだって同じでしょ」

A先生もいいことを言います^^

コーチングも接客業です。クライアントさんにはもちろん能力・適性がある人もない人もいます。つまり、はかばかしい成果の出せる人と、そうでない人がいるということです。

しかし、そうした成果はさておき、クライアントさんにちょっとした感動を与える言葉がかけられたら理想です。そこまでいかなくても、クライアントさんが満足できて、意欲を出せるは言葉は絶対必要です。

その意味では、A先生の考え方に全面的に賛成です。

自分の生き方を肯定すること
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コーチングで一般のクライアントさんが求めるものは何か?

私はこれはひと言で言って「感化力」だと考えます。私がクライアントの立場なら、コーチのよき心情、よきアイデアに感化されたい、と思います。

自己を否定しているようでは、他人に対する感化力など望むべくもありません。ですから、コーチする人は十分自己が肯定(承認)できていなければならないのが容易にお分かりいただけることでしょう。

よくコーチ志望者で自分に自信が持てないという人がいます。能力ということであれば自分に自信が持てないということも多いと思います。しかし、能力がどうあれ、自分の生き方には自信が持てないとダメです。たとえ挫折の連続であっても、負けずに挑戦を続けて来て、何がしかの結果を出せたなら、その生き方は肯定できると私は思います。

自分の生き方が肯定できる人なら、その人の状態がどうであれ、他人に一定の感化を与えることはできるはずです。自分の生き方を肯定できるというのは「反省はあっても後悔がない」ということです。

「ああ、あの時はあれで仕方なかったなぁ」

と思えればそれで十分だと思います。

逆に少々能力があっても、自分の生き方が肯定できないなら、その人には感化力はありません。

結局コーチングのエッセンスはコーチが自分の自己承認をクライアントにお分けする行為ということができると思います。

ただお分けするのは、承認であって、批判ではありません。自己承認ができる人がよく他人を批判するケースがありますが、そんなのは誰だって願い下げでしょう。現実問題としては、クライアントに肯定できる点があまりないことだって多いのです。その時は、「気持ちだけでも肯定する」ことがポイントです。その上で前後策を一緒に考える、というわけです。

クライアントの中には一時的に自己承認ができないでいる人、慢性的に自己承認ができない人、といろいろおられるわけですが、相手に合った形で自己承認をお分けする必要があるのです。特に慢性的に自己承認ができない人に対しては、こちらが十分に自己承認できていないと、「役不足」だということになります。

結局、コーチの優劣はその人が自分の生き方を肯定できて、どれだけ自己承認できているかにかかっています。もし自分の生き方が肯定できないで、コーチ業を目指すというのであれば、根本的にうまく行かないと思います。「でもしか」ではダメで、信念が要るのです。

メモ魔vsメモ極少派
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世の中にメモ魔という人はいます。

ただその多くは取ったメモを後日見返したりすることはないのだと思っています。メモをとること自体が目的になってしまっている本末顛倒のケースが大半ではないかと思います。

個人的にはスケジュール等を忘れないためのメモとか、電話番号を書き留めるメモは必要と思いますが、セミナーに出席して大量のメモを取っている人には疑問を感じざるを得ません。単にメモを取ることによって本人が安心したような気分になっているだけではないかと思います。

独断ですが、理解度はメモの量に反比例する、と私は考えています。

コーチングのセッションでも、慣れてくるに従ってメモの量は極少になります。初心者ほど大量のメモを取るものです。

ただかく言う私も、クライアントさんの調書(バランス・ホイール)を取るときは、克明にメモを取りますし、それをレポートにまとめるようにしています。またクライアントさんが自身の課題を延々列挙したような場合も、メモは取ります。後々のセッションに役立つからです。何をメモするかはケース・バイ・ケースです。

何をメモにして残し、何を聞き流すのか、これにはコーチのスキルが間違いなく反映することでしょう。しかし、メモはあくまで補助手段、結局はいかにクライアントを理解するかに尽きるのは言うまでもありません。
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