聞き方
790



クライアントのAさんですが、奥さんから、

「あんたの聞き方はなってない」

と言われたとのことで、ショックだったのだそうです。そうして、

「どうするのが正しい聞き方なのですか」

と私に尋ねられるのです。

まず、「聞く」ということに男女差があることを理解するべきです。女性は自分の気持ちを聞いてもらいたくて話しているのであって、必ずしも意見を求めているわけではないのです。とりとめもない話を聞いてもらうことによって感情的に満たされていく、それが女性というものです。だから、

相手が女性の場合は結論を急がない

というのが鉄則です。これを裏返せば、相手が男性の場合は、テンポよく、がポイントであるわけです。

しかし、男女ともに共通していることがあります。それは、聞くというプロセスで、

「私はあなたの味方ですよ」

というメッセージを体全体のオーラで表現する、ということです。コーチングではこの行為の見返りに料金を取っているわけですから。

空気の読めない人
789



クライアントのYさんの部下にひとり「空気の読めない」人がいるそうです。この人は某一流大学を卒業で中途採用なのだそうです。一旦は管理職にしたのですが、周囲とトラブルが絶えず、やむなく降格したそうです。本人は自分の何が悪いのか、よくわからない、と発言しているとのことです。

「この人をコーチングでなんとか指導できるでしょうか」

とYさんは訊かれるのですが、どう思いますか?

コーチングと言っても単に理想と現実のギャップを行動によって解消していく作業に過ぎません。空気が読めるということは、理想と現実のギャップを的確に把握できる能力のあることを意味しています。その逆に「空気が読めない」というのは、理想を検知する能力がない、ということを意味します。指導でどうこうできる問題ではなく、能力・適性の問題なのです。

「外部と接触しない社内部署で、それなりの仕事をしてもらうしかないのではないでしょうか」

が私の回答です。

「人は無限の可能性を持っている」

これはコーチングの建前ですが、きれい事です。空気の読めない人は空気の読める人にはなりません。「空気を読む」ということ以外で能力を発揮してもらうのが正しいと考えます。

減点主義と加点主義
788



人間幼いときは、すべて自分中心でものごとを理解します。

たとえば、お母さんは自分がお腹が減ったときにご飯をつくってくれる人、お父さんは日曜日に遊んでくれる人、お隣のオバサンは優しいが、近所の友だちは意地悪だ・・・といった具合にです。

しかし、成長するにしたがって、これらの人々はすべて自分と同じ人間なんだ、だから他人の身になって考えなければならない、ということを学習します。

ところが、他人の身になって考えなくてはならない、というのが頭ではわかっていても、これは結構難しいことです。たとえば「人見知り」という現象があります。その多くは子供や若者に見られます。しかし、大の大人でも人見知りする人はずいぶん多いものです。

たとえば掃除のオバサンといった人に、全く人見知りしないという人は、よほど修養を積んだ人です。たいてい多かれ少なかれ、人見知りしています。

どうして人見知りするのか、それは「自分が付き合う人はかくあるべし」という理想像があって、掃除のオバサンの年齢・人格・境遇がその理想像からかけはなれているからです。つまり理想像からの減点主義でこのオバサンを見ていると言えるわけです。

しかし、修養を積んだ人は、「同じ人間じゃないか」という視点から、掃除のオバサンと何らかの接点を容易に見出します。つまりゼロ・ベースの加点主義で接することができるわけです。こういった人は心も温かく、オバサンになにかといたわりの言葉をかけたりするものです。

また加点主義は優しさと同時に強さも併せ持ちます。

たとえば、上司があなたに仕事を依頼したが、あなたは忙しさのあまり、その上司の依頼をうっかり失念したとします。その結果、その上司があなたを口汚くなじった、としましょう。

この場面で減点主義を取ると、「あの上司は許せない」となります。

しかし、加点主義なら、「あの上司はああした人なんだ、しかたなかったな」となるわけです。これは加点主義は健全な絶望感から出発しているので、上司に対して変な期待感がないからです。

どちらがダメージが軽く、尾を引かないでしょうか。それはもちろん加点主義のほうです。

以上から次のことが言えるでしょう。

・減点主義は思いやりに欠けるが、加点主義は思いやりがあって温かい

・減点主義はストレスがたまりやすいが、加点主義は打たれ強くタフである

・人間理解が減点主義か加点主義かは精神的成熟度合いのバロメーターである


さて、職場のビジネス・コーチングですが、減点主義の人では、コーチングをする能力に欠けると言っていいと思います。せいぜいが自分と同じ仕事をしている相手のコーチングをこなせる程度でしょう。加点主義ではじめて、老若男女の幅広い年齢層を相手にコーチングできるわけです。その意味では、加点主義の人間力はすべてのマネジメントの前提条件と言えるわけです。

下手な考え休むに似たり
787



コーチ21修了者として、コーチ21からのメルマガを継続して受け取っていますが、そのメルマガで、代表の伊藤守氏が、

「コーチはアドバイスしない」

をコーチングの定義として掲げられています。アドバイスしないことによって、また別の視点が生まれるのだそうです。

一般に知られているコーチングとは、セッションの際に、クライアントの課題に対する答を教えたり、一緒に解決策を考えたり、アイデアを提供することはありません。

その代わりに、クライアントに対して適切な質問を投げかけるに過ぎないわけです。

「今の状況をよい方向に変えるには、どうしたらいいのですか?」

「ふんふん、なるほど。それで、あなたは本当はどうしたいのですか?」

「どうすれば、それができるのでしょうか?」

このように問題の解決策はクライアントが本来持っているので、コーチの役目はクライアントが解決できるように引き出してあげるというものです。

そういう考え方もあるのでしょうが、私個人とは全く考え方が異なり、今回またまたコーチ21との考え方の乖離を痛感する結果となりました。

私はAという案にインスパイアされて、Bという案が生まれ、Bという案にインスパイアされて、Cという案が生まれるという、加速度的なシナジー効果こそ、対話の醍醐味だと思っています。

なぞなぞか禅問答のような対話をコーチングと言われるなら、私の提供しているサービスはコーチングとコンサルティングを組み合わせたもので、純粋なコーチングでないのは明らかです。

下手な考え休むに似たりなのです。クライアントが迷い道に入って行くのに、コーチから提案するべきでないとしたら、疑問を感じざるを得ません。私個人はそのアドバイスしない、純粋のコーチングというサービスをお金を払って購入しようとはまるで思いません。

はっきり言って付加価値低く魅力薄です。やはり、しかるべき提案ができる人、こうした人に対してのみ、私は料金をお支払いしたいと思います。

志なくしてコーチングなし
786



これまで体験コーチングを申し込んで来られたうちで割りとよくある事例です:

事例1.
上司と折り合いが悪く仕事にやる気が出ない。私生活で資格試験を目指したり、英会話を習いに行ったりすることを考えている。

事例2.
仕事にトラブルが多く先行きが不安。将来の仕事としてコーチングに興味があり、いろいろ話を聞きたい。

事例3.
前職をうつでやめた。今の職場がまたうまくいかず、うつが再発するのではないかと不安である。

どれも本人にとっては大問題なんだろうと思います。もちろん話を聴いてあげたり、相談に乗ってあげたりすることは可能です。でもどの人もクライアントとしてお付き合いはできそうにありません。なぜだかわかりますか?

いずれの事例にも共通しているのは、志の欠如です。こうしたい、こうなりたい、という志がないのです。それでも真剣さが感じられる文面ならお相手してもいいです。でも真剣さが文面から読み取れなかったら?文面ながめてため息をつくしかありません。毎度どう返答しようか思案します。
800 米国人と加点主義
799 加点主義こそ家族円満の秘訣
798 何で検索しても
797 雑談して終わり
796 コーチングを信じる

*
795 やるべきでないことはやらない
794 ポジティブ・シンキング
793 上司に対するリーダーシップ
792 上京しました
791 おっしゃってることに共感できないですね

*
790 聞き方
789 空気の読めない人
788 減点主義と加点主義
787 下手な考え休むに似たり
786 志なくしてコーチングなし
*
785 口先だけの承認では絶対部下を欺けない
784 ゼロ・ベース評価は上司・目上にも有効
783 身を捨ててこそ、浮かぶ瀬もあれ
782 コミュニケーションは言葉だけにあらず
781 承認はゼロベース評価

*
780 文頭で批判しても、文末で承認する
779 うだうだと人と関わること
778 NLPに対する私見
777 無為にして化す上司
776 究極の自己承認の言葉

*
775 視界狭窄
774 結局コミュニケーションの問題
773 強い心
772 目指すのは9勝1敗
771 格好をつけない

*
770 えらいことになってしまった
769 ガチャガチャ感
768 手柄を相手に譲る
767 内なる自分の承認がもらえるならそれでいいじゃないか
766 感謝は承認である

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765 漫才の傾聴
764 連続のドタキャン
763 女性は30〜40代が旬
762 ブログはコーチの条件
761 承認によって元気をもらう場

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760 行動力、ある人ない人
759 日経経営セミナーは無事終了
758 屋号
757 歩なし将棋は負け将棋
756 我流もまたよし

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755 面の考え方
754 セミナー・インデックス
753 SEO起業塾
752 所変われば品変わる
751 鬱を通告するセッション


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