985 先制攻撃



人間対立心があるときは、相当辛いものです。対立心というのは、いろいろいさかいを続けて来た苦手な相手に向き合う時に経験する、あの独特の気持ちです。わだかまり、と言ってもいいかもしれません。

こんな場合、相手からこれまで受けた仕打ちにお返しをしてやろう、とうかがっているようでは、人間関係がいよいよ悪化するのは明白ですし、何よりも自分の心が地獄です。つまり、自分の心の持ち方で自分を害していると言えるでしょう。

やっぱり、こんな場合は意識的に礼を尽くし、誠を尽くす、これがベストだと思います。相手に会ったら、わざわざ、さっそく、声がけするのです。

「あ、○○さん、おはようございます。いい天気ですね」

というように。これ以上できない、というくらいに礼を尽くし、誠を尽くす。この姿勢は自分を守ってくれるのです。それは相手が無視しようと、いかに理不尽な態度を取ろうと、

「ま、それは相手の問題だ」

と割り切ることができるからです。相手を視界に認めたらこんなふうに「先制攻撃」するのがいいのです。紅白でもトリを歌うのは最後まで緊張を強いられますが、オープニングで歌えば後は楽でしょう?

私のコーチングでは、しばしばこの「先制攻撃」をオススメしています。

984 自己啓発セミナー系社員研修



自己啓発セミナー系社員研修というのがあります。つまり自己啓発セミナーの会社が、企業経営者から社員研修を請け負うというものです。私も2度ほど会社から派遣されたことがあります。今の企業に所属し続けることを前提に話をすれば、経営者にも従業員にも等しく訴えることができますね。

自己啓発セミナーが、手段を選ばない自己実現を言うのに対し、自己啓発セミナー系社員研修はあくまで今の企業に所属し続けることを前提に、話をします。おなじく「不可能を可能にする」というテーマでも、会社を変わる、という選択肢には一切ふれず、与えられたテーマのチャレンジを主張しています。このあたり、当然なのですが、微妙なすり替えとある種の欺瞞は感じるのです。

「単に使われているだけなら、いつまで経っても自己実現できないんだけどね。それを自己実現のように言うのはどうかなあ」

その説くところは正論なのですが、ふとこう呟かざるを得ない気持ちになります。もちろん禁句です。このあたりビジネス・コーチングとパーソナル・コーチングの差に似ています。ビジネス・コーチングでも「組織を辞める」は禁句です。しかしパーソナル・コーチングは何でもありなのです。

983 転職でコーチング



たまに転職でコーチングを受けたい、と言われる方があります。

独立するというのなら、コーチングは向くと思います。しかし、転職にはおよそ向かない、というのが正直な感想です。

・採用企業との出会い、採用担当者との相性、といったことは自分で一切コントロールできない。

・採用後もどんな仕事ができるのかは成り行きまかせである。

つまり、転職は明確にこうなりたいという意図はあっても、後は成り行きと妥協の産物なのです。転職はエージェントのアドバイザーと付き合ってればいいので、それ以上コーチングで何かかできるとは思いません。もちろんコーチを付けるのは自由ですが、それは人生のメンターという意味であって、転職に関してはエージェントのアドバイザー以上のことはできないでしょう。

他人を変える、というテーマでコーチングしても、Aという努力がBという成果に結びつくとは限りません。むしろほとんど結びつかないのが実情でしょう。転職も同じだと思います。面接のハウツー本に目を通したら、後は自然体と気迫でしょうね。

982 人事を尽くして天命を待つ



コーチングのテクニックというほどではありませんが、必ず押さえておかなければならないポイントがあります。そのひとつは「自分でつくりだせることか、他から与えられることか」の峻別です。

仮に離婚の危機を迎えた夫婦がいたとして、夫婦を続けたいのだが、相手がどう出るかわからない、という微妙な状況に立ち至ったとします。たいへん苦しい状況ですが、いかに相手に処していくかは、やっぱりこの「自分でつくりだせることか、相手から与えられることか」の峻別がポイントです。長期的にみれば自分でつくり出したことが、相手から与えられることの一部ではあります。しかし既にやってしまったこと、起こってしまったことは悔やんでみてもどうにもなりません。やはり今自分でコントロールできること、できないことで切り分けるしかないわけです。

またサラリーマンが自分のキャリアを考える場合、いかに○○したい、○○になりたいと考えても、業界事情とか、成り行きで、厳然と他から与えられる部分はあります。特に大組織ほど、この他から与えられるウェイトは高いことでしょう。たとえば人事なんかがそうで、誰しも悶々とするものですが、決定は受け容れざるを得ないのです。「自分でつくりだせることか、他から与えられることか」の切り分けは絶対必要です。

両者を峻別した場合、他から与えられることは、

「仕方がない」

と明快に考え方を割り切ることができます。その結果、心の平静と平安が得られます。もしこうした平静や平安がなく、心を整理できないままで対処した場合、得られる結果は心の乱れをそのまま反映することになります。まずは気持ちを整理しなくてはならないわけです。

つまり、「人事を尽くして天命を待つ」という澄み切った境地がコーチングするということの最大の目的である、と私は言いたいのです。クライアントさんがこの境地に達すれば、おのずから最善の結果がついてくることでしょう。

981 外的コントロールに対する社会一般の認識



テレビは自分から観ることはほとんどありませんが、家族がつけていれば、結果的に観てしまいます。最近ふと観てしまったのが、5つ子ちゃんの成長記というドキュメンタリー番組です。カメラマンが家庭の一角から子育ての様子をカメラに収めていて、それに語りがつくのですが・・・

私の感想は、なんとも両親の日本語がきたないなぁ、ということ。

「○○しろってんだよ。バカ!」

といった言葉が子供に向かって日常投げかけられています。この両親は決して取り立てて品がないとか、粗野だというのではないのです。平均的な日本の親という感じです。取材陣もそうした言葉を愛情の発露ととらえて、特に違和感を感じている風もなし。これが外的コントロールに対する社会一般の認識なんだなぁ。まだこの程度のものなのか、と呆れました。

子供が小さいうちはこれで大過ないように思うかもしれませんが、大きくなると絶対家庭内の問題を引き起こします。親の言葉の真似を兄弟同士でやるし、親の言葉を親に返すようになるからです。自分自身が外的コントロールの家庭で育ったので、このあたり身に滲みてわかっているのです。

家庭不和というのは親が子供の幼少時に投げかけてきた言葉の総決算です。やっぱり天皇家みたいな言葉使いが理想でしょう、と言ったら笑いますか?

私個人の自分の家族に対する言葉使いは確かに天皇家ほど上品ではないと思います。しかし、外的コントロールが皆無である点では遜色ないと思っています。

一度、自分の娘たちにこう自慢したことがあります。

「お父ちゃんは、ただの一度だって君たちを責めたり、批判したことはないだろう」

娘たちは確かにそうだ、と答えましたが、外的コントロールゼロを標榜している人間としては当然だと思っています。
999 畢竟何を学ぶべきか
998 信によって立つ
997 今やってることと陸続き
996 わかっていても問いかける

*
995 祈りて願ふ事は、すでに得たりと信ぜよ、さらば得べし
994 人見て法説け
993 長く続けたほうが勝ち
992 よくある話ですね
991 良きクライアントは良きコーチである

*
990 夢や目標がない
989 出会いと転機
988 外に出て行くべし
987 プロのコーチは昼間は何をしているのか
986 コーチングの金銭感覚

*
985 先制攻撃
984 自己啓発セミナー系社員研修
983 転職でコーチング
982 人事を尽くして天命を待つ
981 外的コントロールに対する社会一般の認識
*
980 優雅さということ
979 控える・持ち上げる
978 短所を直す・長所を伸ばす
977 コーチングの認定
976 コーチングの研修

*
975 自分に寛容であれ
974 他人のふんどしで相撲をとる
973 フィードバックは北京ダックのようなもの
972 英語の勉強
971 便所の落書き

*
970 無能であっても理解ある上司
969 西はりま天文台
968 出ました、2.0
967 プラスアルファ
966 自分をつくらず正直に

*
965 鉢のとれた鉢かづき
964 学びは受身ではなくて取りに行く
963 今年は歩こう
962 すんだことだし、もう忘れましょうよ
961 星空ウォッチング

*
960 想いは現実化する
959 「決める」までがコーチング
958 ナバホ族の精霊
957 日経経営セミナーに4度目の登場
956 心で見る

*
955 「気」の良さ + 自負 = 感化力
954 相反する価値観の使い分け
953 2008年はアウトドア元年
952 リアルとバーチャル
951 “I”メッセージは舌禍を最低限に抑える働きがある


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