（前略）

眉間あるいは前額部の内側に注意力を集中することが、どうして必要であるのだろうか。それは我々の注意力を眉間に集中すると、生命力の流れをそこに集中することになるのである。身体の生命力は注意力の仕向くところに流れるのである。

眼球の位置とその人の人生の見方とには、相互関係があることに注意するがよい。あなたが意気消沈し、憂鬱になっているときは、普通あなたの瞳は下向きになっているのである。それはあなたが潜在意識の内容、記憶の貯蔵庫ならびに習慣的にいだいている想念の型に調子を合わせているからである。これに反し、あなたの瞳が真っ直ぐに前方を見るとき、あなたの心の角度がその時点に即して心が真正面を向いているのであり、現在の観点ではっきりものを考えるようになっているのである。さらに瞳が少し上目つきになっているとき、あなたの心の角度が霊感を受ける領域にはいっているのである。それゆえ、あなたは実際に試してみるがよい。あなたが失望したり気持ちが滅入ったりしたときは、両眼を上方に見上げ、注意の焦点を上げてみよ。そして意気が奮い立つや否や試してみるがよい。その時あなたはきっと意識の昂揚を感じ、それだけでも精神状態をある程度実際に支配できるものであることがわかるであろう。これは単に私の言葉の暗示のためではないのである。試みに、悲しみに沈み落胆している友人に自分で実行させてみよ。彼に数分間視点を上に向けているように指示するのである。するとあなたは彼が生き生きとしてきて明るくなり、人生に新たなる興味を持つようになるのがわかるであろう。

（後略）

『心の力の秘密』　ユージン・ロイ・デービス　１９６４年　伊藤正・谷口雅春共訳

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