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1 はじめに 1−1 なぜTeXなのか 1−2 目標をたてよう |
| 2 LaTeXをインストールしよう 2−1 その前に(Windows基礎講座) 2−2 LaTeXのインストール 2−3 今昔文字鏡のインストール 2−4 文字鏡スタイルファイル 2−5 漢文用スタイルファイル |
| 3 漢文の入力 3−1 漢文の入力 3−2 コマンドの意味 3−3 \kundoku{}{}{}{}の使い方 |
| 4 入力を容易にする方法 4−1 ATOKで簡単入力 4−2 perlで労力節約 :(ここは未完成) |
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LaTeX(「ラテフ」または「ラテック」)は文書の組み版を行うためのシステムです。D.Knuthという人物が開発したTeX(「テフ」または「テック」)というプログラムが元になっており、現在ではLaTeX2e(「ラテフツーイー」)というヴァージョンも存在しますが、文系人間の私にはその区別をつけることは困難ですので、ここではすべてをまとめてLaTeXと記述することにします。
私が、国語教師としてワープロソフトで文書を作成するようになってから随分たちます。MS-DOS時代には、パソコン自体も非常に高価だったので、学校にあるものを使うだけでしたから、私が個人のパソコンを購入したのは、Windows95がプリインストールされたDESKPOWERが最初で、添付されていたワープロソフトは一太郎6.3でした。当時から比べると、ワープロソフトも高機能化され、ずいぶんと綺麗な文書を簡単に作れるようになりました。
しかし、どうしても満足できないのが漢文の文書作成が簡単にできないことでした。入力自体が面倒ですし、編集も簡単にはいきません。何よりもできあがりが「美しくない」。なんとかならないものかと思っていた矢先に、同僚の数学教師から教えてもらったのがLaTeXだったのです。入力中の画面は、何やらとても複雑そうに見えるし、「コンパイルする」だの「プレビュー」がどうのと、とても取っつきにくいものに思えたのですが、完成した漢文の美しさに、「これはなんとしても修得せにゃあ」と発憤したのが3年ほど前のことです。
以来、漢文だけにとどまらず、様々な場面でLaTeXの恩恵にあずかっています。
漢文の文書作成に困難を感じている国語教師の皆さん、
漢文作成だけのためにでもLaTeXはチャレンジする価値がある
と、私は思うのです。
LaTeXはフリーソフトです。つまり、今あなたが自分のパソコンでLaTeXを使うとしても、インターネットに接続できる環境さえあれば、一切お金はかかりません。しかし、市販されているワープロソフトなどのように、CD-ROMを入れれば自動的にインストールできて、すぐ使えるようになる、という性質のものでもありません。パソコンに慣れていないと、いくつかのいささか面倒な(と感じる)設定をする必要があります。
具体的な目標もなしに、肩の凝る作業をするのはつらいものです。そこで、まず目標をたてましょう。下のファイルを御覧下さい。
ご存じの一節かと思いますが、この文書をLaTeXで作成することを当面の目標として、以下、話を続けていくことにします。どうぞ最後までおつきあい下さい。
既に何人かの国語の教員にLaTeXを紹介しましたが、普段、ワープロしか使うことがないためか、ファイルのコピーなどの操作に慣れていない人がほとんどでした。そこで、ここでは、Windowsの基本的なファイル操作の仕方について、詳しく説明します。案外、この部分でわからなくて困っている人が多かったので、少々くどいくらいの説明になります。「そんなことは常識だ」という方は、飛ばして下さい。
LaTeXの機能を十分に活用するためには、いくつかの別々のプログラムを、様々なサイトからダウンロードしてきてインストールする必要があります。以下がそのリストです。
随分たくさんあって、大変そうですね。初心者や、コンピュータ苦手人間にはなかなか敷居の高い作業のようです。もちろん、全部自分でやってしまうのなら1円もかかりません(インターネットの接続料金は別です)が、1のWIN32 TeX や 5の今昔文字鏡などは、ブロードバンド環境でもダウンロードには数十分から小一時間はかかってしまいます。
そこで登場するのが『[改訂第3版]LaTeX2e美文書作成入門』(技術評論社,2980円+税)です。2004年2月発売ですから、簡単にインストールできるものとしては、現時点で最新のLaTeXが、CD-ROMに収められています。上記の1〜4のプログラムを簡単にインストールすることができますので、非常に便利です。とりあえず本書によるインストールを勧めます。詳しくは、本書の「付録G Windowsへのインストールと設定」を御覧ください。この設定をしていないと、LaTeXはインストールしただけでは使えません。
『美文書作成入門』は、LaTeXの参考書としても重宝します。初心者にはお勧めの本です。
LaTeXの入力は、ワープロのように簡単ではありません。基本的なことを、自分で調べられるようにするためにも、本書には限りませんが、一冊は購入しておくとよいでしょう。
インストールガイドは、私などが書くよりもはるかに優れたサイトが幾つもありますので、そちらを御覧下さい。
ここからは、1〜4の設定が終わったものとして話を進めていきます。
今昔文字鏡フォント10万字は、文字鏡研究会のホームページからダウンロードできます。最近はUnicodeが使えるようになってきたので、入力できない漢字に以前のように頻繁に出くわすことはなくなりました。それでも、今昔文字鏡があると非常に助かります。是非インストールしておきましょう。
ただし、使用に際しては、「個人用途に限り、商用に用いないこと」という条件がありますのでご注意下さい(学校の教材用の使用なら、まず問題はありません)。詳細は、文字鏡研究会のホームページに記載されていますので、一度目を通しておいてください。
文字鏡研究会のサイトの、「ダウンロード総合案内」というページから
の全部で34個のファイルを、
C:\MojikyoFonts
というフォルダにダウンロードしてください(このフォルダは新しく作ります・別の名前でもかまいません)。
ダウンロードにはかなり時間がかかります。慣れないうちは、余裕のあるときに一気にしてしまう方が、間違いがないでしょう。
正常にダウンロードできれば、フォルダの中には、MOJIKM**.EXE (**は任意の文字)というファイルが33個と、MOCM400.EXEというファイルが1個あるはずです。これを一つずつダブルクリックしていきます。展開先は同じフォルダです。2回目以降は「同じ名前のファイルがあるが上書きしてもいいか?」というようなメッセージが出ますが、「すべてはい(Y)」を選択して差し支えありません。
これで、インストールの準備ができました。
次は、Windowsのシステムに文字鏡のTruTypeフォントを登録します。これは、コントロールパネルの中のフォントのアイコンをダブルクリックして行います。フォント一覧のウインドウが開いたら、
ファイル→新しいフォントのインストール
と選んで、
C:\MojikyoFonts
を選択します。インストールできるフォントの一覧が表示されますから、33個あることを確認して、「すべて選択」し、「インストール」します。
他のフォントのインストールと同じ作業ですが、慣れない方は、文字鏡研究会のサイトで、図を交えて非常に丁寧に解説していますので、そちらを御覧ください。
10万字の漢字を一覧表から探し出すなんてのは、気の遠くなる作業です。「文字鏡キャラクターマップ」は目指す文字を探し出す「地図」のようなものです。使い方はいたって簡単ですので、実際に使ってください。
ここでは、文字鏡キャラクターマップのショートカットをデスクトップに作っておきます。
エクスプローラーでMojikyoFontsのフォルダの中を見て、
MOCHRMAP.exe
というファイルを探します。このファイルを右クリックすると、小さな窓が開いてメニューがでてきますので、ここから「送る(T)」を選択し、「デスクトップ(ショートカットを作成)」をクリックすることで、文字鏡キャラクターマップのショートカットがデスクトップ上に作成されます。
ショートカットをダブルクリックしてキャラクターマップが起動することを確認して下さい。右側の大きな窓の中に漢字が表示されていれば、フォントは正常にインストールされています。
今昔文字鏡の設定はとりあえずこれで終わりです。TeXフォーラムのインストールガイドでは、ほかにもLaTeX用のフォントの設定が紹介されていますが、さしあたりこれ以上のことをする必要はありません。
次の文字鏡スタイルファイルのインストールに進みましょう。
LaTeXでは、様々な機能をスタイルファイルというマクロファイルで追加することができます。今昔文字鏡を使うためのスタイルファイルには、愛知教育大学の堀田耕作氏が配布なさっている mjfonts.sty と、文字鏡研究会で配布されている mojikyo.sty という二種類のものがあります。ここでは、堀田氏の mjfonts.sty の設定の仕方について簡単に説明します。
まず、堀田氏のホームページ(Ghostscript 8.13 + GSview 4.6 の日本語版)から、Mjfontsパッケージを入手します。
こちらから、mjfonts2.lzh(895,575 bytes; 2002/02/15)というファイルをダウンロードしてください。圧縮ファイルになっていますので、適当な解凍ソフトを使って解凍(展開)すると、mjfonts.styを初めとするいくつかのファイルが作られます。この中の、mjfonts2.txtというのが、説明ファイルです。ここに書かれてあるとおりに設定します。
具体的には、
(Step4) 以下の設定はとりあえず必要ありません。というのも、dvioutで表示ができさえすれば、印刷も可能ですし、実用上支障はないからです。psファイルにしたり、pdfファイルで出力したりするのは、もっとLaTeXに慣れてからのことにしましょう。(ここでは詳しくは触れませんが、文字鏡フォントをpdfファイルで使うためには、ライセンス上の問題が生ずる可能性もあります)
設定の確認
文字鏡が正しく動作するかどうかを確かめてみましょう。WinShellを起動して、次のように記述してください。実際にキーボードから入力するのがベターですが、面倒ならコピー&ペーストしてもかまいません。大文字と小文字を区別してください。すべて「半角」です。
| \documentclass[a4paper,10pt]{jarticle} \usepackage{mjfonts} \begin{document} \TMO{62372}\TMO{62306}\TMO{62319}\TMO{62329} \TMO{69366}\TMO{69451}\TMO{69485}\TMO{69432}\TMO{69507} \end{document} |
ファイル名を test.tex として保存します。メニューからコンパイルし dviout でプレビューしてみてください。ひらがな4文字と変体仮名5文字が表示されれば正しく設定されています。
もし、何らかのエラーが出るようなら、どこかで設定を誤った可能性があります。(Step2)(Step3)の記述をもう一度見直してみましょう。
残るは、漢文を入力するためのスタイルファイルの設定です。
このファイルは、京都工芸繊維大学の藤田眞作先生が作成なさった、スタイルファイルを使わせていただきます。藤田眞作 個人ページで公開されていますので、ここからダウンロードします。TeX/LaTeXのページにある、縦組パッケージと縦組・横組パッケージの中から
の各ファイルをダウンロードして、
C:\usr\local\share\texmf\ptex\platex\tategumi
というフォルダの中に入れておきます。tategumi というフォルダは他の名前でもかまいません。適当な名前のフォルダを作ってその中に入れればOKです。ただし、フォルダの名前には空白や漢字を使わず、1バイト文字(いわゆる半角)のアルファベットだけを使います。
これで、すべてのファイルの設定が終わりました。
大変な作業だったと思いますが、これ以降は設定の作業はありません。ワープロで文書を入力するのと同じ作業をするだけです。
さて、いよいよ漢文の入力です。
これからの作業は、普通のテキスト入力です。WinShellで作業を進めていきます。ひとまず、以下のようなファイル(renshu.tex)を作って下さい。日本語の部分以外はすべて「半角」で入力します。アルファベットの大文字と小文字とは区別されますので、注意しましょう。
| \documentclass[b5j,11pt]{tarticle} \pagestyle{empty} \usepackage{sfkanbun,shiika,plext} \usepackage{mjfonts} \begin{document} {\LARGE 四面楚歌} \end{document} |
入力できたらコンパイルしてdvioutでプレビューします。
いかがですか? 漢文が表示できたでしょうか。後は、ひたすら入力を繰り返すだけです。教科書などについてくるテキストファイルなどがあると、本文の入力が「少しだけ」楽になります。
ここに私が入力したものを置いておきますので、ダウンロードしてコンパイルしてみて下さい。先に紹介したPDFファイルの原稿(「ソースファイル」と呼んだりします)ですので、同じものをdvioutで見られるはずです。
簡単にソースファイルの中のコマンド(命令)の意味を解説しておきます。
| 1 | \documentclass[b5j,11pt]{tarticle} | 1行目に必ず書かねばなりません。 [ ]の中は省略できます。tarticleは縦書きの文書を意味します。 |
| 2 | \pagestyle{empty} | ページ番号を付けない設定です。省略するとページ番号が自動的に振られます。 |
| 3 | \usepackage{} | mjfonts.styやsfkanbun.styなど、機能を拡張するマクロパッケージを読み込む命令です。「,」(コンマ・半角)で区切ることによって、並べることも可能です。 |
| sfkanbun,shiika | 藤田眞作氏による漢文及び詩歌パッケージです。漢文の訓点を打つ際に必要になります。2−5で設定しました。 | |
| plext | LaTeXで縦組みをする拡張命令を利用可能にするパッケージです。標準の状態で利用可能になっています。 | |
| mjfonts | 堀田耕作氏による今昔文字鏡パッケージです。2−4で設定しました。 | |
| 4 | \begin{document} | ここからが本文になります。これ以前を「プリアンブル」と言い、パッケージファイルの読み込みや各種設定の命令を記述します。 |
| 5 | \Large,\LARGE | 文字の大きさを指定する命令です。 |
| 6 | \kumdoku{}{}{}{} | 訓点入力用フォーマットです。これについては、この後で説明します。 |
| 7 | \end{document} | 本文の終わりを意味します。これ以降に記述された内容はLaTeXは、すべて無視します。未編集の本文などを置いておくと便利です。 |
sfkanbun.styを読み込むことによって利用可能になる訓点入力用フォーマットです。引数を4つとります。
○第1引数(A):親文字の漢字が一文字入ります。この文字に対して以下の訓点が振られます。
○第2引数(B):親字の読み仮名をひらがなで入力します。省略すると何も入りません。
○第3引数(C):送り仮名をカタカナで入力します。省略すると何も入りません。
○第4引数(D):返り点を入力します。レ点・一点・二点・上点・下点……はそのままの文字を入れます。
一レ点・上レ点などは、\ichireten / \uereten などの命令が用意されています。
これ以外にも、様々な設定が可能です。まさに「かゆいところに手が届く」ものですが、これ以上ここで述べることは、藤田眞作氏の著作権を侵害することになりかねませんので控えます。氏の著書『続LaTeX2e階梯・縦組編』(アジソン・ウェスレイ・パブリッシャーズ・ジャパン 1998年発行)を、是非ご一読ください。
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