活動報告トップページ>荒木幹男市議 日大大阪支部総会にて講演


荒木幹男大阪市議・前議長
日大校友会大阪支部〝大阪都構想〟で反対の立場から講演
 荒木幹男大阪市議(前議長)は11月9日、北区内のウエスティンホテル大阪で開催された日本大学校友会大阪支部(中礼思無哉支部長)総会に招かれて約40分間にわたって「〝大阪都〟構想」をテーマに特別講演した。荒木氏は反対の立場から「都構想」を解説し、橋下市政の功罪にも言及した。荒木氏の情熱を込めた熱弁に会場のあちことで聴衆のうなずく光景がみられ、拍手が送られた。

都構想のコスト数百億円
 荒木氏は最初に「大阪都構想」の概略を説明し、都構想の実現には初期費用として「システム改修費」(430億円)▽「庁舎改修経費」(191億円)▽「移転経費」(5億円)▽「表示板などその他」(10億円)の合計640億円がかかることを説明した。
さらに都構想のランニングコストも「民間ビル賃借料」(53億円)▽「議員増含む人件費」(17億円)▽「システム運用経費」(60億円)―かかることを明らかにした。
そして「うそや、まやかしだらけの都構想のパッケージ案。効果はまるでなし、コストは膨大」と批判した。
荒木氏は大阪市と大阪府の二重行政との批判に対しても「それぞれに需要があります。体育館、図書館、プール、道路、水道、商工融資など、府も市もかなりの利用率で、両方ともがんばっています」と現状を説明した。
「橋下さんや維新の会は、当初、『二重行政の廃止で4千億円の税を浮かす』と豪語していたが、政令指定の大阪市は、大きい仕事はもう、せんでええ。市内の税収を府によこせ。市はもう黙っておれ。こういう構図がある」と大阪都構想の本質を解説し批判した。

広域自治体の行き詰まり
 そして荒木氏は現在、市内にある24の「行政区」と区長が首長になる「特別区」の違いを説明。そして「独立した自治体の特別区になれば、税収の低いエリアと、高いエリアとでは、何倍もの財政の開きが出て、財政調整ができなくなる。特別区になると市内で受けられる行政サービスに差が生まれる」と財政調整の限界を強調した。
さらに広域自治体の行き詰まりの状況を説明した上で、「大阪都みたいな、金と手間のかかる行政をわざわざつくるのにエネルギーを使うより、企業や住民に蜜着している市町村、特に大阪市みたいな市にもっとまかせてもらうほうが良い」と基礎自治体の可能性に言及した。

橋下大阪市長の「功罪」
 荒木氏は橋下市長の「功」については区長や校長の公募とか、給料カットとか、塾代のバウチャ、小学校の芝生、中学校の給食、大阪都の議論とか話題にこと欠かないが、「あれこれやっているけどその本当の効果、もしくは失敗の評価というものは年月がたたないと分かりません。いま言えることは役人とか議員とかが目を覚ました、ということではないでしょうか。あと、行政とか政治の世界に色々な方が興味を持ってくれるようになった、ということでしょうか。また、地域の方々も、やっぱり政治は気を付けて見ておかないといかん、えらいめに遭うと実感されたことでしょうか」と指摘した。

それでは「罪」はどうか。「今言えることは、橋下さんは、大阪府の借金を増やした、ということです。投資もせんままに。それは罪です。黒字、黒字というてましたけど、自治体は借金組めば、毎年の見かけは黒字にできるわけです。それよりは、借金の残高が増えたか、減ったか。それにつきます。」

都構想を超えて
 最後に荒木氏は地下鉄の民営化についても言及。
「民営化のための民営化なのか。民営化は手段であって、目的ではありません。では、その目的は何か。そこがはっきりしないから私らはブレーキを踏んでおるわけです。」との立場を紹介しながら、「将来、地下鉄網をどうしたいのか。この大都市圏の動脈として、社会のにぎわい、発展のために、どんなビジョンを持って仕事をするのか、ここをちゃんと考えておかないと、いけない」と苦言を呈した。
そして、「どのような交通ネットワークで、社会の需要に応えるのか。あるいは需要をつくりだすのか。社会に果たす責任のビジョンをもっと出さないといけない」と警鐘を鳴らした。


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