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「大阪都」構想は大阪都「妄想」
自民党大阪市議団は「大阪都」構想に反対  市民の生活にどう影響?
大阪市市長選は11月27日に投開票が決まりました。橋下徹知事が率いる「大阪維新の会」は「大阪都」構想を掲げ、大阪市の解体・再編を提案していますが、自民党大阪市議団は「大阪都」構想に反対の立場を表明しています。そこで、これまで橋下知事が提唱してきました「大阪都」構想がいかに憂うべき、大阪市民にとって警戒すべき構想なのか「1問1答」で検証してみました。
 現在、「大阪都」構想というフレーズが一人歩きして、大阪市民、西淀川区民の方々にはまだよくわからないと思いますが?
荒木 「都」構想の柱は「広域行政を現在の大阪府のエリアで一本化」「大阪市内に公選の首長を8から9人置き、住民に身近な行政サービスを担わせる」―2本柱で、その流れで大阪市役所も解体・再編するという。一言で言えば、都構想の柱は「大阪都」への権限集中です。
 権限の集中は問題が多いですか?
荒木 大阪都への権限の集中は、地方分権に完全に逆行する考え。カネと権限を中央に集めて地方に分配した高度成長期の夢にすがるような発想。大阪都構想は中身がない、『大阪都妄想』だと思う。企業や産業を誘致し活動しやすく仕事すること。平たく言えば、カネを稼ぐ部門は都=府が担当することが都構想の本質だと思う。
 維新の動きはどうか?
荒木 維新の会の地域行政に対しても「地域の問題意識や住民の創意工夫を救い上げ、行政はそれを解決・実現するためにサポートするという、これから目指すべき自治や協働の発想が、彼らにはまるでない。

都構想は地方分権と逆行  大阪市から権限を奪う〝府県集権主義〟と批判

 都構想の「特別区」の存在はどうか?
荒木 大阪都構想のもうひとつの目玉が大阪市域の再編だ。維新の会は「市域を分割して公選首長を置くこと自体が「区ごとに地域に応じた予算を編成し、区長を競わせることで住民サービスが向上する」と主張する。
確かに一見すると地域主権的な発想に見えるが、その本質は企業経営やマーケティングの論理に近い。橋下知事の競争至上主義、橋下ブレーンとして都構想の絵を描く上山信一・慶応大教授の考えが如実に反映された施策と言えそうだ。
特別区はは「上から市域を切り分けて、財源や大規模な事業、それに関わる権限は府に集めるというのは、地方分権でも何でもなく、府県集権主義にほかならない」
 維新は公選区長と議会を備え、住民により近くなると訴えているが?
荒木 現在も区ごとに議員選挙で区民の意向は代表されています。枠組みを変えるから、あとは区長を選んで好きにやれという無責任極まりない構想だと思う。大阪市の機構や政策を特別区にするとかえって非効率になる。
 橋下知事は知事に就任以来、現在の耐震性に問題がある本庁舎(中央区大手前)を大阪市湾岸部(人工島)南港のWTCに移転することを提唱してきましたが?
荒木 咲洲の本庁舎化は防災専門家から耐震性の問題を指摘され、橋下知事は全面移転する構想を断念しました。移転賛成派の府会議員らが中心になって大阪維新の会を結成しました。府の本庁舎の咲洲への移転は耐震性でWTC、南港への府本庁舎の移転は〝失敗〟でした。
 維新の会議は大阪府と大阪市の「二重行政」を指摘し、都構想が提唱する大阪市を廃止、再編すれば解消すると言っていますが。
荒木 府全体の視点も、大阪市の視点もともに重要です。大阪市を解体し、大阪都にして司令塔をひとつにしたら合理されるイメージがありますが、決してそうとばかりいえない。まず、大阪市が特別区に分解されたら「大阪の都市」としてのまとまりが失われる。二重行政の指摘に対しても府と市で地域・分野を分担したり、合計して需要に対応しているものも多く、問題はないと思う。過剰な部分は、政策評価で整理縮小する。特別区の住民自治のメリットを、大阪市の廃止によるデメリットが上回る。

「大阪都構想の導入は困難」と行財政専門家

 行財政専門家も「大阪都」構想の導入は厳しいとの判断を下したそうですが?
荒木 大阪都構想の導入を巡っては橋下府知事自身が昨年4月「新たな大都市制度を議論するため」と「大阪府自治制度研究会」(座長=新川達郎・同志社大大学院教授)を設置しました。そして昨年末の最終会合で「大阪都構想の導入は困難」との見解で5人の委員が一致しました。府、大阪市による政策協議会を設置すべきと提案し、委員会からは「一時の熱狂に踊らされないよう」「ポピュリズムにならないよう」という意見が飛び出している。
 自らが委嘱した行財政の専門家たちから都構想導入の再考を促がされたわけですね。
荒木 行財政家の専門家の提言に橋下知事は「府としては受け止めるが、維新としての政治活動は別」と研究会に抗議しています。「虚構・大阪都構想への実証的反論」の論文を著している高寄昇三・甲南大名誉教授は「特別区方式は、大阪市が一体として処理してきた公営企業と生活行政を分断し、細分化し、総合的生活行政システムを破壊する暴挙」との見解を表明しています。
 府全体では都構想の賛意が多いとの世論もあるが?
荒木 都構想は政令指定都市の理念を軽視しています。東京都は戦時中、集権化のためにつくられた例外的なケース。府市が協力・妥協して政策を進めるべきで、府市は「2馬力」と分担で、実績を挙げてきた。大阪市民、区民の方々には「大阪都」構想の内容、功罪をしっかりと確認した上で判断していただきたく思います。

論 点
「大阪都」(大阪市廃止)の疑問点
① 本 質
府による大阪市の吸収合併、大阪市の廃止に他ならない。 大都市自治の破壊。
②大阪市の自治
府全体の視点も、大阪市の視点もともに重要。 都構想は、大阪市の自治の伝統、地域集権を無視するもの。
大阪都は旧大阪市域に、特定開発以外は十分配慮しないおそれがある。 大阪市は自己決定権を失い、都の決定に依存する。
特別区に分解され、大阪の都市としてのまとまりが失われる。 現在も区ごとの議員選挙で区民の意向は代表されている。
特別区による住民自治のメリットを、大阪市の廃止によるデメリットが上回る。
③指定都市制度と東京都制の見解
指定都市のような大都市自治体による制度は、海外でも一般的。 都構想は、指定都市の理念を軽視。東京都は戦時中、集権化のためにつくられた例外。
地方分権の時代のモデルには不適当。
④大阪発展のための具体的な政策
大型インフラとともに、きめ細かな都市整備、景観、文化なども都市の発展に重要。 府市の「2馬力」と分担で、実績を挙げてきた。
大阪という都市に責任を持つ自治体がなくなるのはマイナス。 地下鉄の新線は、府市の適切な資金分担が前提。大阪都構想ではかえって政策が遅れる。
府市が協力・妥協して政策を進めるべき。
⑤府市の二重行政
府と市で地域・分野を分担したり、合計して需要に対応しているものも多く、問題ない。 過剰な部分は、政策評価で整理縮小する。
⑥財政運営
累積赤字は大阪市、大阪府ともに大きい。 府・市の税収不足分は地方交付税で国から補てんされている。
大阪市の機構や政策を特別区に分解するとかえって非効率になる。
⑦大阪都への権力の集中
大阪都への一元化・集権化は危険と偏狭さがある。 府内の市が府に意見がいいにく状況がさらに強まる。
権力のチェック、政策論争の可能性が弱まる。
⑧世論解釈
府全体の賛成多数は大阪都を正当化しない。 大阪市内と府内で結果を分けて報道すべき。
大阪都の内容、功罪を説明した上で賛否を問うべき。
⑨「本音」の憶測
知事は、大阪市が長年築いてきた資産の一挙獲得を狙っている。 市役所跡地の売却・開発、それによる府財政の改善を狙っているではないか。
知事への権力集中も。

報道陣の質問に答える
荒木幹男・自民大阪市議団幹事長
後援会であいさつする
平松邦夫大阪市長
後援会の席上、あいさつする
荒木幹男市会議員

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