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「大阪都」構想の〝矛盾〟 特別区制度では市民サービスの大幅な低下は必至
 大阪都構想の〝目玉政策〟が大阪市域の再編です。この「特別区」が導入されれば大阪市民、西淀川区民にとってどのような影響を及ぼすのか。荒木幹男・自民大阪市議団幹事長に聞きました。
 大阪維新の会は大阪市域を8~9に分割して公選首長を置くことで、「区ごとに地域に応じた予算を編成し、区長を競わせることで住民サービスが向上する」と主張していますが。
荒木 確かに一見すると地域主権的な発想に見えるが、その本質は企業経営やマーケティングの論理に近い。橋下知事の競争至上主義の考えが如実に反映された施策と言える。
 橋下知事は大阪市制のもとでは、区が自由に使えるお金は数千万円しかないが、大阪都になれば二百億円使えると宣伝していましたが。
荒木 とんでもない詭弁。大阪市民として多くの財源が市内24区に使われていることを意図的に隠している。仮に独立して「特別区」になったとしても固定的な経費は「自由」にはなりません。仮に都制に移行すると、都区では権限が縮小され財政的には厳しい状況に置かれ、住民サービスの低下は免れない。区民税法人税分などさまざまな税が都に吸い上げられる

▽区民税法人税分などさまざまな税が都に吸い上げられる
 住民サービスの低下が避けられない具体的な理由は?
荒木 都制である限り、重要な権限が大阪都に吸い上げられる。東京都の例ですと消防・上下水道・都市計画などの権限は特別区でなく、都にあります。また、財源が大幅に広域体行政の大阪都に吸い上げられることになる。政令指定都市である時よりも相対として大幅に税収が減少することは確実です。
 どのような税が大阪都に移りますか?
荒木 東京都のケースだと区民税法人税分、固定資産税、事業所税、都市計画税などが都に移っています。政令指定都市をなぜ、解体しなければならないのか。本音は大阪市、堺市の財源をむしりとりたいということです。
東京都に準じて計算しますと、2008年度決算ベースで大阪市である場合より2700億円以上が都に吸い上げられることになります。区民が使える財源は減少します。都区の間における大きな地域格差が生じ、市民生活は深刻な社会不安に脅かされます。今は大阪市を中心としたまとまりの中で、政治的経済的集中度、所得水準などを異にする多様な地域の間での再配分が成立しているのです。

▽9市のうち7市が大幅な赤字5市が財政再建団体レベルに
 都区に分割すれば、各地域の大きな格差が露呈するわけですか。
荒木 そうです。財政の地域格差は、普通市への分割のケースについて大阪市が行った試算からも明らかです。さらに、財政収入が少ない都区では、低所得層が多いので歳出は逆に大きくなります。
 都区間の格差問題は、より拡大するわけですね。
荒木 どのように都区財政調整が行われても、総歳入額が減少しますので、現在の大阪市の行政サービスは現在よりも、よくなることは有り得ません。関西や大阪の経済成長を牽引し、そのエンジンとなり、市民サービスを担うことができるのは大都市、大阪市です。大阪市を解体することがあってはなりません。

【大阪市分市の場合の財政状況】
※9市に分割でシュミレーションしたケース 大阪市試算 平成20年度決算ベース(単位億円)
1市▲146(実質赤字比率=マイナス16%)=東淀川・淀川
2市▲122(マイナス15%)=福島・此花・港・西淀川
3市▲193(マイナス24%)=大正・阿倍野区・西成
4市▲147(マイナス20%)=住之江・住吉
5市 1465(―%)中央・西・浪速・天王寺
6市 589(―%)北・都島・旭
7市▲172(マイナス25%)城東・鶴見
8市▲136(マイナス25%)東成・生野
9市▲230(マイナス27%)東住吉・平野

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