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2016年10月19日開催

子ども達の未来の可能性を
大阪での子育てに悩み苦しむ、外国人ママたちを家庭訪問で救いたい!

講師:小野あんな 氏    NPO 法人多文化共生センター大阪スタッフ

 荒木幹男市政報告会は10月19日、西淀川区大和田2丁目の市立西淀川区民会館(エルモ西淀川)でNPO 法人多文化共生センター大阪スタッフ、小野杏奈(おの あんな)さんを招いて開かれました。小野さんは、外国人ママたちは国籍、言語、文化、習慣のちがいからたくさんの困難を抱えることが多く、「子どもが安心して勉強できることは親の生活にかかっている」とレポートされました。

 小野さんは大学院で地域の日本語教育について学ぶ。2014 年多文化共生センター大阪が行った「外国人母子の生活支援事業」にて教室コーディネーターを務め、その後、多文化共生センター大阪のスタッフとして勤務。現在は外国にルーツをもつ子どもたちの学習支援教室「きらきら」の教室運営コーディネーターを務める。
同多文化共生センター大阪は主に大阪市に住む外国人や外国にルーツを持つ子どもたちのサポートを行っている団体。現在は外国にルーツをもつ子どもたちのための学習支援教室を定期的に開催している。
<小野さんは以下の活動内容を報告しました。>

孤立から生まれる生活環境の悪化…
 同多文化共生センター大阪は、大阪市西淀川区を対象地域として2年間外国人住民の調査を実施してきました。2年間で出会った外国にルーツを持つ子どもたちは106 人。そのうち約97%の子どもは、家庭内に外国出身の保護者しかいません。また、そのうち約25%が母子家庭で、全員外国出身のお母さんです。子どもたちの保護者も、子どものために何かしたい気持ちはあります。しかし、目の前には厳しい現実があります。子ども達の未来の可能性を広げるため、学習支援教室のとりくみを行っている。。

最も効果的だったのは家庭訪問
 3年間で出会った外国人家庭は63家庭213名。そのうち40%が母子家庭です。また、ある地域をみると、母子家庭率は80%以上に上り、10人のうち8人のお母さんが日本語もわからない中たった1人で子育てをしているという現状がわかりました。
相談会を設けたこともありましたが、ふたを開けると参加者は数名だけでした。悩みを抱えているひとは多いはずなのに、なぜ相談会に来ないのだろう、相談会に足を運ぶのが難しい理由は何だろう。 私たちは外国人住民の家に話を行くことにしました。
実際に家に行くと、外国人住民の生活の環境がよくわかりました。ワンルームのアパートに家族5人で暮らしている。家の中には日本語が全くなくスペイン語など他の言語のみ。日本にいるとは思えない異文化な環境の中、外国人住民は生活していました。
 相談会に来ない理由を聞くと「通訳を準備してくれていても、その場限りの相談は困る」、「日々困ることに出会っている。「すぐに相談できる場所や人がほしい」などの声が数多くありました。しかし、最も多い回答は「信頼している人に相談したい」というものでした。公共の情報が少しずつ多言語化されていますが、当事者の手元にそうした情報が届いていることはまだまだ多くありません。なにより、彼らが本当に求めているのは身近に相談を聞いてくれ、寄り添ってくれる人や機関であることがわかったのです。

どんな理由であっても、子供たちに悲しい思いをさせたくはない!
 私たちは、日本語の読む・書く・聞き取る・話すことが難しくひとりではなかなか解決できない悩みごとをもつママたちのご家庭に訪問し、寄り添い、話を聞くことで、ママたちが日本での生活・子育てをスムーズに送れるようサポートしたいと思っています。また必要であれば、行政、学校、各種機関等につなぎ問題を解決できるようにサポートします。
私たちが出会ってきた外国人住民のほとんどが、日本で暮らし続ける予定だと話しています。日本で暮らす外国人住民は、当事者間で悩みを共有し、解決するにはどうすればいいかを考えています。それは日本語が不自由な中、限られた情報から選択することしかできないということです。しかし、そこに私たちが関わることによって、選択肢の幅を広げたり、各機関へ繋げることが可能になります。

ママたちが日本社会と繋がることで子どもの将来も広がる
 外国人ママに寄り添い、抱える問題の解決の糸口をいっしょに探すこと。それは今まで日本社会と隔てて生活していた彼女たちと日本社会へと繋ぐということでもあります。日本語を読む・書く・聞き取る・話すことがむずかしいママたちは日本人と比べ、圧倒的に情報量が少ないです。そして、その子どもたちにもやはり情報が届きません。ママたちが日本社会と繋がることで子どもの将来も広がっていきます。

小野さんは出席者に「日本に居住する外国人住民の総数は何人ですか?」
と問いかける
「子どもが安心して勉強できる」ことは
親の生活にかかっている」とレポートする小野さん

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