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2017年6月22日開催

「日本と中国の付き合い方」
胡氏、未来に向けた日中関係構築の必要性を
市民同士の交流の大切さを強調

荒木幹男市政報告会は6月22日、西淀川区大和田2丁目の市立西淀川区民会館(エルモ西淀川)で甲南大学総合研究所(神戸市東灘区)所長の胡金定(こきんてい)教授を招き、「日本と中国の付き合い方」をテーマに講演、日本の側から母国の中国を見つめてきた胡氏は日中交流の歴史をたどり、未来に向けた関係構築の必要性を説いた講演に参加者らは真剣に聞き入った。
胡氏は1956年、中国福建省廈門(アモイ)市生まれ。85年に来日。大阪外国語大、神戸大で学んだ。甲南大には96年に着任し、99年から教授を務め、日中の比較文化、文学、異文化マネジメント、中国ビジネス、中国語教授法を研究、講義を行っている。


ステレオタイプからの完全脱却を
 胡氏は「グローバル化の時代、大学も地域連携が重要」と強調し甲南大学は「現在、堺市、和歌山、徳島で湾岸ネットワークを構築している」と〝学問の象牙〟に閉じこもるのではなく、大学が一つの接着剤となって積極的に地域連携に力を行っている現況を紹介した。
胡氏は「中国は56の他民族国家から形成されている」と紹介し、「私は来日、33年目になるが、日本人の中国のイメージは良くない。逆に中国人の日本人のイメージは真面目だが、排他的、本心を言わず中国人を低くみている。安倍首相は第1次政権では安倍さんは中国包囲網を築き、日本人はすぐ変わる。信頼できない見られている」と両国の偽らないイメージを披歴した。そして中国の中華思想は「中国には孔子、老子の思想はあるが中華思想は元々ない。日本人がつくったもの」と否定し、「年間、280万人の中国人が来日し、大阪にも多くの中国人が訪れている。現代の中国人は日本と接触し、これまでの負の日本へのイメージを払拭し、リニューアルしている。逆に日本からの中国への観光客は激減している。中国へのイメージのステレオタイプからの完全脱却が必要」と呼び掛けた。

先人の「和魂洋才」の思想を
 そして胡氏は戦後の保守政権下での日中国交正常化までの歴史的経緯、日中の架け橋となった東洋製罐の社長で政治家、高碕達之助の人物に言及し、「周恩来首相は高碕をこのような人物は二度と現れない」と高く評価した。次いで中国経済について言及。「日中貿易は日本では22%占め、アメリカの16%を超えた。中国の外貨準備高は世界一で、アメリカ国債の30~40%は中国が購入している。中国は国家社会主義で中国の企業の70%は国営企業。社長は習近平国家主席。中国の新幹線の総距離は3万キロ。北京から上海まで乗車したが、新幹線の騒音は小さく、乗り心地も快適だった。スーパーコンピューター、GPS機能も世界一の水準となっている。日本のマスコミは中国を誉めたら売れないので誉めない。事実は事実として認めなければならない」との見解を示した。
そして「日本には〝日本的技〟や『徳』の思想ともいうべき優れた経営手法や哲学がある。今こそ、『和魂洋才』という日本の先人の知恵を生かしてほしい。日本と中国は対等の意識を養成し、難しい問題は理屈で詰めない。それが中国の伝統的な知恵」と述べた。

胡氏、日本人の心の琴線にふれる秘史も披露
 また、胡氏は文化大革命後、中国で初めて公開された日本映画「君よ憤怒の河を渉れ」に主演した俳優、高倉健の中国での存在感や、日本人の心の琴線にふれる赤穂浪士(赤穂藩の旧藩士)47人、いわゆる「赤穂四十七士」の一人に、中国人の血統を引く人物として武林唯七(ただしち)がいたことなども紹介した。

友情の交流深める
 胡氏と荒木幹男市議との交流対談では、「赤穂四十七士」の武林唯七の秘話や現代の日中関係の政治的な課題にも言及し、「日中両国は好むと好まざるに関わらず、一衣帯水の隣国同士。中国には『愛屋及烏(あいおくきゅうう)』ということわざがある。国ではなく人として交流することによって愛が広がり、ひいては強固な日中友好関係を再構築できると信じている」と将来の日中友好に言及すると、荒木氏も「これからも日中友好に寄与していきたい」とさかんにうなずいていた。

「これからも日中の草の根の交流を深めたい」
と握手を交わす荒木氏と胡教授(右)
「日本と中国は対等の意識を養成し、難しい問題は
理屈で詰めない」と提言する胡教授
参加者の質問に
丁寧に答える胡教授

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