▽民法で「夫婦別姓は認められていない」、憲法13条で「氏名は、保障する人格権」 |
意見交換会の冒頭、荒木市議は「私個人としては夫婦が同じ姓で暮らすことがごく自然と思っている。また、現代では会社でも通称使用も認められているので不都合はないのではないか。性の多様な在り方については詳しくないので、皆さんのさまざまな意見をお聞かせいただきたい」と述べた。
このあと、司会者からは日本では「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」と民法750条では規定され、「夫婦別姓は認められていない」と紹介された。一方で憲法13条で「氏名は、個の表象であり、個人の人格の重要な一部であって、保障する人格権の一内容を構成すると考えられています(最高裁判所判決昭和63年2月16日民集第42巻2号27頁)。判例上、氏名は、個人がその人らしく生きるために、重要な一部と認められています」と紹介した。
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▽夫婦別姓のメリットとデメリット |
意見交換会では夫婦別姓の反対派からは夫婦別姓にするために、内縁関係を選択した場合のデメリットとして「子ども」「相続」「税金の優遇」の3点が指摘され、さらに「別姓だと夫婦、家族の絆(きずな)、一体感が奪われる」「離婚率が高まる」「日本の家制度が崩壊する」などの危惧する声がでた。
逆に夫婦別姓の賛成派からはメリットとしては「夫婦別姓が実現できる」「プライバシー」「男女平等」―の3点が挙げられ、具体的に「自分の姓に愛着がある」「仕事の実績が旧姓に積み上げられているので姓を変更したくない」「姓を変更すると、運転免許証、銀行口座、保険などの各種手続きが必要となる」「事実上、婚姻の際に女性に対して改姓が強制されている」などの具体的な声が紹介され、「世界で夫婦同姓しか採用しない国は日本だけ。国連の女性差別撤廃委員会から、夫婦に同姓を強いる制度を改善するように3度目の勧告を受けた」との指摘も出た。
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▽正しく知ることが大切 〝教育の基本は家庭〟 |
LGBTは、「lesbian」(レズビアン、女性同性愛者)、「gay」(ゲイ、同性愛者)、「bisexual」(バイセクシュアル、両性愛者)、「transgender」(トランスジェンダー、出生時に診断された性と自認する性の不一致)の頭文字をとり、セクシュアル・マイノリティ(性的少数者)の一部の人々を指した総称。
大手調査会社によると、LGBTを含む「性的少数者」は7・6%、13人に一人の割合だと発表されている。
参加者からは「身体の性」と「心の性」が多くの人では一致しているが、必ずしも両方が一致せずに自身の身体に違和感を持つ人たちもいることを学んだ。
その上で、セクシュアリティは多様で「個人の尊厳にかかわる大切な問題である」との認識に立ち、職場や学校でカミングアウト(LGBTであることを告白する)当事者に対しては「職場や学校でできること、地域でできること、何があるか考えてみることが大切」と確認しつつ、当事者が未成年者のケースは「しっかり話を聴くことが大切。そして何よりも教育の基本は家庭」などの意見が出された。
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