四方山話
〜先輩から聞いた話や大きな声で言えない話など〜

 殴り込み ……と言っても別にヤクザの世界ではない。結構前の事だが、大阪市西淀川区の中島工業団地に有る
某土木資材リース会社の受付の係員はとても横暴で生意気だったそうだ。運転手をさげすむ行動言動が
やたらに多かったそうだ。ある日荷物受付のために運転手が集まっていた時受付票の書き方が悪いとか
そう言う事で口論になった。一人の運転手はかねてから受付担当に目の敵にされていて口論はいまさら
別に珍しくも無かったのだろうが受付担当が伝票を窓から放り投げたのを機に運転手が逆上。脇のドアを
開けて詰所へ殴りこんだ。周囲が止めに入り事無きをえたがそれ以来この会社の受付詰所のドアの鍵は
年中閉まっていたらしい。ところが!話がそれで終らない。ほとぼりがさめた頃、同じ運転手がたまたま
荷物を積んでやって来た時だ。受付の態度は前以上に横柄になっていた。殴られた怨みはあるだろうし
気持はわからんでもないが……その運転手の伝票が最後尾に回されたことで再び口論となりドアに鍵が
掛っている事に安心したのか受付担当も強気だったがその態度に他の運転手も激怒。遂に一人が窓を
蹴破って中へ突入、多勢に無勢な担当は半殺しの目に。事務所から社員がかけつけた時にはすべてが
終っていた。目撃者が誰も名乗り出なかったので全員書類送検だけとなったようだ。周囲で見ていた筈の
他の運転手は誰一人として証言するものは無かったらしい。そしてその日以来この会社の受付業務は
すべて警備会社に委託されて最近はなんら問題なく事務処理は行われている。
 泥酔とは……  岐阜県立陸上競技場。今でも我々が運んだ電光掲示板は稼動しているのだろうか。あの日我々は大阪
摂津市鳥飼からその荷物を積込んだ。長さ12m、巾3.2m。10トントラック4台。余談だが10トンの荷台の
長さは長くても9.5m。かなり後にはみ出す。バランスも悪く重心がかなり後にあるので段差を乗越えると
前のタイヤが浮きそうになる。「素面じゃやってらんねーぜ」と一人が言う。そう、その頃の運転手は程度の
差はあっても運転中に酒を飲む奴は決して珍しくなかった。冬場のウイスキーやワンカップはもう常備品と
言えるくらいだ。その日の我々も例外ではない。出掛けにワンカップのサービスパック(10個セットで少し
安いのだ。今でもあるのかなあ)を購入、何個かデフロスタ(フロントガラスのくもりとり)の吹出し口に置いて
出発するとヒーターのおかげで程よい燗がつく。真冬はともかく秋口はこの位がベストだ。……しかし現場
到着時にはほとんど無くなっていた。一人10本飲み尽くし、現場が結構温かいので気持良くしばし仮眠。
時間になって起きてみれば工事の打ち合わせ間違いが発覚、電光掲示板の土台を手直しするため最低
半日は時間待ち。運転手同士話し合った結果下っ端に銭を渡して樽のビールを買ってこさせて宴会(オイ)
樽が4本、追加で買った一升瓶が2本空になった所で昼になり監督に昼食を御馳走になる。しかし午後も
なお時間待ちが続きさらに飲む(オイオイ)午後3時過ぎ最初の荷物を降ろしはじめた頃にはへろへろに。
荷物そのものは単体なので始まったら早い。1時間とかからず全台荷降し完了。列を連ね国道21号線を
西へ向かい、関が原から高速へ登り最初のパーキングで全員車を止めて爆睡。目覚めたら夜中だった。
 海へ 関西新空港。急ピッチで進められ突貫工事だった埋め立て人口島。これの工事で最大の不祥事は一体
何だっただろう。予測の3倍近い早さで沈下した地盤を修復する為に追加予算を組む羽目になった事か?
それは確かにあるかもしれない。工事で渡るたびに地形を変える島の中はトルネコのダンジョンのようで
場所すら満足には把握できなかった。いや、だがそれを言うなら削った予算が結果として空港島入り口に
あるツインゲートタワーを低くしてしまった事はどうなのか。それはともかく我々運送業者の語り草になった
事件がある。まだ空港へ渡る連絡橋が無かった頃荷物をどうやって搬送していたか。もちろん船なのだが
それはフェリーのような大型の船ではなく台船なのだ。台船とは平たく言えばいかだのような物で海上に
床しかない船が浮いているのである。決して波が穏やかではない紀伊水道でそれでは果たして安全だと
言えるのかどうか。そして心配は現実のものとなる。ある日の午後トレーラーやトラックなど10数台を乗せ
仮設の港を出た直後この台船は転覆した。普段から運転手だけは別の船で運んでいたのがせめてもの
救いだったかもしれない。私の会社の取引相手のトラックはわずか納車1ヶ月の新車だったが空港公団は
「台船は転覆するものだ」と言い放ち賠償を渋ったとか。結局訴訟の末半分ほどは賠償されたらしいが。
 うーむ……その@  奈良県の某所へ運んだ荷物は屋根。トタン屋根と言えば想像できるだろうか。工場の屋根などはこれが
使われる事がままある。今回もそうだったのだが、搬入先が瓦工場だった……。何でトタン屋根?
自分のとこの瓦を使ったら安く済むんじゃないのだろうか。工場長に聞いたら「俺瓦屋根ってあまり好きじゃ
ないんだよなぁ」と言う返事が返ってきた。……あんたさー、自分の仕事……いや、やめておこう。
人には色々と事情があるんだよ。きっと。
 うーむ……そのA  屋根屋の関連でもう一つ。滋賀の某所にやはり屋根を運んだときに現場に来ていた業者さんに受取りの
サインをもらいに行った。…………「雨森」さんと言う人だった。屋根屋には向いてないと思う(笑