『白鳥の湖』 in 『リボンの騎士』


CHOBOKO


 CMで見たDeAGOSTINIの『バレエDVDコレクション』シリーズの創刊号『白鳥の湖』がお手頃価格(¥990)で面白そうだったので買ってしまった。で、この『白鳥の湖』は『リボンの騎士』ともちょっと縁のある作品です。『白鳥の湖』は『リボンの騎士』の特に原作(少女クラブ版・なかよし版)で物語のモチーフとして取り入れられているようでして、例えばサファイアが『白鳥の湖』のヒロイン・オデット姫のように悪魔に白鳥の姿に変えられたりですとか、悪魔の娘のヘケートが登場するあたりは黒鳥のオディール
を連想させられたりと、「これは『白鳥の湖』が元ネタなのかな?」とうかがえるところがあります。
 少女クラブ版の巻頭にある手塚先生の前書きに「白鳥に変えられた王女さま、下界におりたかわいい天使の子(略)こういったおとぎ話は世界じゅうどこの国にもあるようです。(略)『リボンの騎士』はそういう昔からの美しい話、おもしろい話を集めて、私がつくった絵物語です。(略)』と書かれていることもあって、『白鳥の湖』もかなり意識して作品に投影されているのではないかと思うのです。
 アニメ版でもその名残は充分ありまして、第7話の『のろいの白鳥』は原作同様『白鳥の湖』をベースにした内容になっているのですが(ただし原作とは違ってサファイアが白鳥の姿に変えられることはなく、アニメオリジナルの内容になってます)、劇中で使われる音楽もほぼ『白鳥の湖』で占められています。私などはそれほどバレエに詳しくもないので最初は一番有名な「タ〜タララララ、タ〜ララ」の辺りしかわかっていなかったのですが、偶然TVで放送されていた『白鳥の湖』の公演をみて初めて、私の知ってた箇所以外のパートもほぼ『白鳥の湖』を使っているという徹底ぶりだったことに気が付いたのです。悪魔のパーティーのシーンとか、サファイアがオパール(馬)で駆けるとことかも全〜部『白鳥の湖』!
 一番驚いたのがヘケートのイメージ曲だと思っていた曲も『白鳥の湖』の曲だったこと!この曲はこの第7話以降もずっと彼女が登場するシーンで使われていたので、てっきりオリジナル(冨田勲さんの曲)だと思っていたので、びっくり。ちなみに原典は一幕で踊られる「乾杯の踊り」(「杯の踊り」or「クーペの踊り」とも言うらしい)の曲の一節で、宮廷での群舞の場面の曲。物語の山場とかで使われてる曲ではないので(王子の誕生日を祝う祝杯の踊り)、ある程度バレエやクラシックに詳しい方にとっての認知度や人気度がいまひとつわからないのですが、私にとってはヘケートの曲としてかなり馴染みのある一節となっております。私の中ではアニメのヘケートのイメージとあいまってコケティッシュでかわいい曲という印象になっているのですが、最初に紹介しましたDVDのシーンでは全員男性の群舞となっていたので少々違和感があるくらいでした(笑)それにしても原曲のクオリティはもちろんですが(まあチャイコフスキーだし当然ですが☆)、それを『リボンの騎士』という作品に溶け込ませた冨田勲先生のセンスには感服せずにはおれません。そういうわけで、『白鳥の湖』と『リボンの騎士』の両方をご覧になる機会のある方は、ヘケートのテーマをぜひ探してみてくださいませ♪♪♪




『白鳥の湖』に登場する悪魔ロットバルトの娘。オデットそっくりの姿で現れ王子を誘惑し罠にかけようとする。


余談:『バレエDVDコレクション』シリーズは自分のようなライトユーザー向けのシリーズだと思ったのですが、なんとこのシリーズ収録の『白鳥の湖』はバッドエンド版!初心者にはハッピーエンド版がいいのでは!?と思いつつ「こら〜王子しっかりせんかーい!」とつっこんだり、悪魔役のダンサーの人がやけに色っぽかったりと、なかなか楽しませていただきました。作品の解釈とかは結構好きなのだけど…でもやっぱりオデットがかわいそう…ううっ…