サファイアのモデル


CHOBOKO

 先日(2012年2月)女優の淡島千景さんが亡くなられました。その訃報がニュース等で伝えられる中で、淡島千景さんが「リボンの騎士のモデルになった」ということが紹介されていました。これについては手塚先生が生前出演されたTV番組『テレビ探偵団』内での発言が情報源となって広がったものと思われますので、その実際の番組内でのご発言をちょっと紹介したいと思います。具体的には次のとおりです。




(『リボンの騎士』のVTRを見ながら)
「主人公にする時に誰かイメージして?」
という質問に対して、



『その頃ね淡島千景の大ファンだったわけですよ。ええ、まあ若い頃のね。
で、淡島千景ってだいたい女役なんだけど一回か二回男役をやってるんです。
それがすごく魅力的でね…。それで男になったり女になったりすると面白いなって思って考えたんですけれど。』

(『テレビ探偵団』昭和63年1月10日放送分より)



 ちなみに使われたのは戴冠式のシーンでした。「前半のクライマックスで一番視聴率が良かった」との手塚先生の談なのですが、DVD-BOXの解説書だと違ってるんですよね(^^;)

 それはさておいて、この発言で最も示唆に富んでるのは「本来女役の淡島さんが1、2度演じた男役にインスピレーションを受けた」という部分だと思うのです。「リボンの騎士」は宝塚歌劇の影響の色濃い作品ではありますが、私はサファイアというキャラクター自体は宝塚の男役とはまたちょっと立ち位置が違うと感じるのですよね、ですからこの発言を聞いた時に(主人公のサファイアが)宝塚の「男役」から直接イメージされたのではなくて、「女役の演じた男役」からイメージされたという部分に、とても納得がいく思いがしたのです。ですから実は、「サファイアのモデル=淡島千景さん」という部分のみが伝わるのは、ちょっとニュアンスとして不十分な感じがするのですけどね。
 それにしても手塚先生にインスピレーションを与えた淡島さんの男役がどんな魅力にあふれたものだったのか、とっても興味がありますね。