ごまかしの利かないストレートなお芝居。箱が小さい分役者の一挙手一投足が客に見えてしまうから、ほんとうに、真っ向勝負が求められるかんじですね。遊座第2回公演「リンゴの木の下で」観てきました。こじんまりとしつつも、笑いと涙と人情と確かなお芝居と、それにプラスして私のようなチャラいファンも受け入れるサービス精神もある(笑)。最後にジャズの生演奏もあって、派手さも加味してくれてます。もちろん目当てはマサだけど、茅野先生ニーズをわかってる。ちゃあんと少しながらダンスシーンも盛り込んでくれてました! イェイ! そんないい席でもなかったけれど、近くで踊る彼を観れたのはやっぱり嬉しかったです。
戦後間もない昭和の時代に演芸場跡で身を寄せて住んでいる少女春子と、その地下で何かに励んでいる月岡という男。そして生きて行くために進駐軍のバーで演奏するジャズバンドを始めようということに…という粗筋。素人が楽器持って四苦八苦するスウィングガールズみたいな話かと思ってたんだけど(笑)ジャズバンドつーのはむしろおまけで、混乱の時代のしたたかな人情といくつかの嘘がメインでした。
春子役は横山智佐! 役者としての彼女を観るのは実は初めてです。彼女もよかったけど、月岡役の井之上隆志がすーごいよかった! なんともキュートなおっちゃんでした!
ストーリー部分というか伏線の回収…というほど大きなものではないけど、え、その話なにか裏があるっぽくなかった? 明かされないんだ? のまま終わってたり、一言説明あってもいいのに、みたいなのがあったり。雪之丞さんがピーターとうまくいかなかったのはわかったけど今はこんな暮らししてんのよ、とかいう台詞あってもよかったのにとか、バンドはどういう顛末になったのかとか、チャーリー佐々木はあれっきりなの? とか、何よりも、赤木春子というのは本当は何者だったのか? 腹違いの彰の妹…じゃないよね? 深山が「何人いるんだ」とかなんか誤魔化してるっぽかったもんね? 彰と無関係だったのならなぜどこから来た子だったのか、月岡が拾ったといってたけど(じゃあやっぱ演芸場の一人息子彰とは関係ないんだ)なんで今は演芸場跡でこういう暮らしをしてるのか…。ラストで戻ってきた月岡に、何かを言いかけてやめるシーンがあったけど…。
ただ、戦後の混沌とした世の中で、みんながちょっとずつ何かを誤魔化して嘘ついたり隠したりそれでもとにかく生きようとしてて、な雰囲気の中には、いちいち明らかにしていく必要もまあないのかもしれないが。赤木春子とは何者? だけは思わせぶりだっただけにちゃんとしておいてほしかったな。
マサの役は生真面目な割りといいとこのぼんぼんの学生さんって設定で、特にかわいくもかっこよくもない役だけど、育ちが良いゆえの空気読めない感はとてもよく出てましたよ(笑)。
ラストに役者さんたちの生演奏で数曲ジャズナンバーを披露してくれるのだけど! マサはバンドのメンバーではないので、ほんのちょっぴりですがダンスをしてくれるの! サービスサービスう!
あと、主人公の名前が赤木春子で、登場人物に安西っていうのがいたので、スラムダンクかよ! と思いました(笑)。
普通にお芝居として楽しめました。東京に住んでたらこういうのちょくちょく毎晩観にこれるのになあ私、とか思った。
(追記)メルフォで「リンゴ〜」についての感想を送ってくださった方ありがとうございました。なるほどお、そういう解釈があるのか! (反転→)月岡さんが実は死んでいて、最後に帰ってきたシーンは春子の夢(←反転終了)ならば、春子が何かを言いかけて止めたのも、バンドがどういう顛末を迎えたのかとか、一言あれば説明がつくところを、説明しなかったのも頷けるかもしれませんね。それはアリかもしれない。
そういう不思議を孕んだ舞台であるのなら、ますますあれこれ説明は必要ないように思えますね。
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