最遊記――峰倉かずや原作。人と妖怪が共存する「桃源郷」に起こりつつある異変。妖怪が突如見境無く狂暴化する事態に際し、その原因である、科学と妖術の融合「牛魔王蘇生実験」を阻止するべく、観世音菩薩は玄奘三蔵を西域へと遣わす。「人間でもあり、妖怪でもある」がゆえに自我を保ち続けている3人、孫悟空、沙悟浄、猪八戒と共に。
夫・牛魔王復活を目論む玉面公主。その先妻の子である紅孩児が、一行に刺客を放つ。だが紅孩児自身、己の行動に迷いを感じていた。
科学と妖術、人と妖怪。本来相容れぬものの交わりは禁忌とされる。それぞれに突きつけられる過去と罪。自分が信じるのは自分のみ。そして己が心に写ったもののみ――。
そんなに期待していたわけではない作品が、クリーンヒットだった時の嬉しさったらないですね。そんな舞台でした。
劇団アクサルの舞台は、以前テニミュルドルフ戦のころに萩尾望都の「11人いる!」で直也が主人公タダを演るときいて、ちょっと観たいなあと思っていたのですが(この漫画だいすき)、最遊記かーどうだろうなーそれもエロガッパってタマですか直也が?! なんて思ってました。
冒頭は、暗い舞台にそれぞれの苦悩を抱える4人の主人公たちが浮かび上がる。悟空が三蔵によって光の中に連れ出されます。血にまみれたような八戒が、苦悩する悟浄が。爽快感のある楽曲とシャープなライティングの中に登場するキャラたちが中々スマートで、おっ?! と思ってるうちに、するりと引きこまれました。違和感感じる暇もなかった。原作に沿ってテンポよく進むお芝居、駆け引きのような4人の会話、早口でしかもマイクがないので聞き取るのが大変ですけど、面白かったです。
アクションがとてもすごい。戦闘シーンもかなり派手に動くのでもっとちゃあんと見たかったのですが、ああ私ときたら、0.1もない視力のくせに、この日うっかり眼鏡もコンタクトも忘れていました。幸い双眼鏡は高性能なのでよく見えるのだが全体像が捕らえられなくて大変でした…。
小ネタというかギャグも色々でちょうかわいい。です! 面白かった!
■Shower of bullets 〜玄奘三蔵(柄谷吾史)
中でも私がずっと見てたのが三蔵! 三蔵!
最初の宿屋にどかどかと踏み込んでメシを待つ一行のシーン。三蔵法師って皆こんな奴ばっかりなの?! とわはわは笑う3人に向かって三蔵が銃を発砲、うわあ! と3人が投げた熱いおしぼりが飛んできて「あっつ! あっつ―――!!!」と叫ぶ三蔵に 萌 え た 。ごめん可愛かったぁ…(笑)。最初のこれで好きんなっちゃいました。
酒と煙草と博打を好み、経文と銃とハリセンを駆使する高僧。そうハリセン。本気で叩くのこの人! カッチョイイ!
エラそうでやさぐれててスマートでどっかエロくて怒りっぽくて怒鳴り散らしててでも受でした(おい)。剥き出しの肩から二の腕の、細いのにがちがちに筋肉ついてる腕が素敵。
回想シーンではなぜかエセラッパーになって登場する三蔵の師匠・光明三蔵。幼年期の三蔵(紅流)も同じ人がやってるんですが、にこにこるんるんしながら師匠とラップを歌ってみたりする三蔵ちょうかわいかった。♪ズッズッダーン♪シェキシェキダーン♪て。
そしてその寺の師範代だった札使い・朱泱との対決。三蔵に運命を狂わされた朱泱、術で動きを封じられる三蔵。そしてその三蔵の銃口を自らの頭に向けさせる朱泱。三蔵に迷いは無く。かっこよいシーンでした。大の字で床にはりつけられ、朱泱の錫状ががんっ!と三蔵の顔の真横の床に付きたてられるシーンがちょうかっこよかった。
■Metamorphose 〜孫悟空(斉藤准一郎)
三蔵にスポットが当てられている分、悟空は少し影が薄かったかもしれない。全然知らなかったのですが、悟空役の彼と、紅孩児役の斉藤洋一郎さんは双子さんなのですね!! 途中、右手の袖に走って引っ込んだ悟空がすぐに左手袖から現れて、えっ?てなるシーンがあったのですが、ここはお二人が演じてたわけで。パンフみてようやくわかった(笑)。
棒さばきとかアクションとか、彼だけではないけど、シャープでかっこよかったです。
■Brotherhood 〜沙悟浄(郷本直也)
案外違和感なく入れてびっくりした。すごいいいアニキって感じで乱暴だけど人のいい沙悟浄でした。大分昔に読んだイメージではもっと殺伐としたイメージでしたが(悟浄に限らず、もっと救いのない話のような記憶があった。でも読みかえすとそうでもなかったな)、人の良さはにじみ出てます(笑)。高い身長、細い体。どうも左手を骨折してたようですが、錫状さばきも鮮やかで、うん、かっこよかった。
人と妖怪の間に生まれたエロガッパ。生き別れた腹違いの兄と再会する。
後半、ひょうたんを割って金閣にごめんて謝るところとか、みんなにボコにされるとことか、カーテンコールで一番に泣いちゃうのがこのエロガッパだってとことか。蜘蛛の糸に巻かれてでっかいボールみたいになっちゃったり、ギャグも満載でした(笑)。
あと清一色の攻撃で心臓の横に種?埋められてもがいて八戒にかきつくとことか萌え?かなあ?(笑)
■Confront 〜猪八戒
なーんーでー眼鏡が無いか! びっくりだよ。アクションで落ちるからかなあ。でも直也(悟浄)より背が高い! スマートなこの二人はとても見目がよかったです。
温厚で天然でボケでツッコミ、気功の使い手で、パーティー内での立ち位置は保父さん。でも麻雀で負けがこんできたときにキレたのが可愛かったなあ(笑)。あと清一色とのエピソードで悶え苦しむ演技がとても…とても…らしかったです(笑)。
それ以外に、舞台バージョンならではのオリキャラたちもとってもいい味だしてました。あとカミサマ! すごくかわいくて憎たらしくて無邪気でかわいかった!
そして特筆すべきは玉面公主。夫・牛魔王の後妻で、その蘇生を企む悪女――のはずですがなに演ってるの男の人?!! そういえば女キャラのきなみいませんでした。ああびっくりした。
ものすっごい濃いキャラでえげつないほどの演技が笑いを誘う。原作より衣装が派手になってるのはこの人だけ(笑)。で、蘇生実験の協力者である博士(ニィの字が出ないので博士で通す)とのラブシーン? 抱き合う二人にカーテンが引かれて暗転ー。というシーンがあるのですが。
千秋楽のこの日だけの展開なんですよね? カーテンが閉じる瞬間玉面公主が「ちょっと待ったあ!!」とすごい形相でその隙間から出てくるんですが(笑)。「このままこのシーン終わらせないわよ!!!」と息巻く玉面に「ほんとにやるんですか…」と引く博士。「覚悟は決めてます!」と二人で苦笑い…。
うわあー。濃いキスシーンきたー。
張りきってた玉面公主も、「ながかったっ……!」と漏らしながらよろよろ退場、「ちょっと恥ずかしいっ(汗)」てゆった玉面がちょっとうかつにも可愛かった。博士は「舌は入れない約束だったでしょう!」と口元を拭いながら後を追いました。なんだあれ(笑)。
漫画原作をちょっと忘れてたってのもあるんですけど、決めの台詞とかがいちいちかっこよくて、んー、絵になるお話だなあ!とか思った。
最後、作中で光明三蔵が飛ばす紙飛行機をみんなでひとつずつ客席に向かって飛ばしてくれました。三蔵と悟浄が一番泣いてた。
んで何度かのアンコールのあと、さっと引っ込んじゃった三蔵をあとの3人が引っ張り出してきて、フクロにしようとするとこを、ダッシュで花道に向かって逃げてっちゃう笑顔の三蔵、それを追っかけてく3人、という感じで終わりました。かわいくて、面白くて、お芝居の好きな、劇団を好きな、そんな人たちの集団なんだなあということが、初めてみた私にも伝わってきて、楽しかったです。
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