■第二章・あとがき

 はい、他でも何度も言ったようにも思いますが、まずはここまで私めの駄文にお付き合いいただき、ありがとうございました。
 しかし、ここまで一気に全部読破された方は、少しお疲れではないでしょうか?(苦笑)
 何しろ、この第二章の全体文書量は、単純な文字数で86万文字以上、小説としての原稿用紙量に換算すると約2600枚に達する文章量が存在していたのです(苦笑)
 並のノベルズサイズの本で約4〜7冊分にも達しています(最も薄いとされるライトノベルなら10冊分近いと言う数字になります(汗))。まあもっとも、これを10ヵ月程度で書き上げた(文面チェックなど誤字脱字の校正作業すらロクにせずにですが(油汗))、物書きでもない私自身が一番疲れてしまったんですけど(自爆)

 最初は、単なる仕事の合間のチョットした息抜きと、仮想戦記に対する実験的な意味をこめた思考ゲームのような形で始めたものですが、自分自身をある一定の条件で縛るため(基本的に私は無精者です)に毎週土曜日の更新としたのですが、最後だから言いますが、これがホントに大変でした。
 おかげで、何をするにもスピードを重視せざるをえず、校正作業がまず第一に犠牲になってしましました。この点だけは、暇を見つけて校正作業を行い修正だけはしたいと思いますが、お見苦しかった点をこの場にてお詫び申し上げます。



 さて、「八八艦隊1934」は、第一章が何とかして健全な国家財政で『八八艦隊』そのものを生み出し、それに勝利させるため(だけ)の<一点突破戦術>であったとするなら、第二章は『八八艦隊』からは少し離れて、少し大きくなった国力を保持するようになった日本帝国の可能性を、主に日本の外交的選択から考えてみる<全面展開戦略>をコンセプトとしていました(笑)。
 また、戦争という一つの流れを、古くから巷に溢れかえるコンピュータ戦術シュミレーションゲーム(『提督の決断』、『大戦略』シリーズなどが有名でしょうか)のキャンペーン・モードが、戦術級ゲームという必然から戦術的行動がその後の分岐に影響していくのなら、政治的(またはある種の戦略的)選択により作られていく多数の可能性を内包したものが存在してもよいのではないかと言うコンセプトもあります。
 後者は、最近めっきり見かけなくなったゲームブックや、ここ数年一部ジャンルで溢れかっているビジュアル・サウンド・ノベル的手法にもヒントを得たところはありますが(故にバッドエンドもありました(笑))、筆者の個人的感想としては概ね成功したのではと思っています。
 ただ、html形式と文章構成の性格上、文そのものが節ごとにぶっつりと分けられた事で、文面そのものをその時の都合により変化させやすいという幅を持たせたため、全体としてひどく統一性のない文章となった事、初期の想定よりもはるかに多い分岐・文節が発生した事による文章量そのものの異常増大など、この時点でも見ても問題は多々あるように思います。

 なお全体を通しての足かせとして、選択の時の(外交的)主導権があくまで(主人公たる)日本にある事、エンディング以外では核分裂反応兵器は出さない事、可能なかぎりどの国においてもパージ(粛正)やクーデター(革命)、敵国による首相暗殺は行わない事、そして戦争当事者の個人(一人の兵士・軍人)の視点から物事を捉えないことを設けました。
 特に最後の点は、仮想戦記小説としての体裁を整えるためのような登場人物を出す事は、こうしたものの場合全体を陳腐化させる元となると感じたためと(ああ、もちろん戦場での擬音などが全くないのも完全に意図したものです(笑))、第一章から第二章の一部では雑誌掲載の研究論文や口語調の概論的展開をしている事、そして何より個人の視点から書いていては、単に連載スピードが落ちるだけでなく、私のライフワークになるほどの文章量になるのが書く前から分かり切っていたからです(自爆)。
(丼勘定の試算では、最低でも三倍の文章量に膨れ上がります(汗))
 このため、この第二章は仮想戦記としての小説とも史文・研究文とも言えないような、ある種ヌエ(もしくはキマイラ)のようなものにしました。これが、成功だったのか失敗だったのかは私にはまだ判然としませんが、妙に断定的な文調で煽らない仮想戦記的なものというのもたまには良いのではないかと思っています。(小説という媒体が、読者に訴えかけやすい語調・文調を選ぶのは当然といえば当然なのですが。)

 なお、今回の試みは仮想戦記に対するある種の限界を露呈させる事と、恐竜的進化の終末点の一つの形を少しでも提示できたとするなら、私のもくろみは成功したと言えます。また、多少なりとも読む側が能動的(ゲーム的な選択ができたり、一部数字による戦闘シュミレーションを提示する事で見る側が独自で思考が展開できたりなど。また、hits数について最初に明記したのも、訪問者の参加意識を能動性に喚起できないかと思ったからです。)に見る事ができるようなものがてきないかと言う試みでもありました。
(けど、もっと筆力があれば、小説風にして「胡蝶の夢」のような展開にもしたかったんですけどね(苦笑))

 なんだか書き出すと際限がなくなりそうですので、この辺りで終りたいと思いますが、もう一度長い間お付き合いいただいた事にお礼を述べて最後にしたいと思います。
 ではまた、どこかの平行世界で会える事を願いつつ、これにて「八八艦隊一九三四・第二章・皇国の行く末」は最後にしたいと思います。

二〇〇三年如月某日 文責:扶桑かつみ

 

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